HOME >> 協会からのお知らせ >> 第23回 静岡県建設業協会賞
審査委員長 山梨 清松
第23回の建築部門には、15件の応募がありました。
第1次審査は、協会建築委員が応募書類を基に行い、第2次審査は審査委員が第1次の審査結果により優秀な作品7点を絞り込みした後に現地調査を実施して、施工方法・難易度・工夫・安全管理等の観点から採点を行い、その結果、最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞3点、特別賞1点を選定いたしました。
審査に当っては、工事発注機関・工事規模等にとらわれないで、発注者の条件、現場条件、周辺環境条件等を総合的に評価するように努めました。いずれの応募作品も良いものを作ろうという会員企業の意気込みが感じられ、協会賞の存在が有益であることを内外に示す一助になるものと期待いたします。
最優秀賞の平井工業(株)による「平成16年度財団法人静岡県教育会館建築工事」について、敷地は静岡市の中心部にあり、車や人々の往来が頻繁にあり、又、駿府城の堀に近く、狭小敷地の中という施工環境の厳しさでは、今回応募された対象作品の中では最も厳しい現場条件の中での作品であった。特に、躯体工事においては、湧水のリスクもあり、仮設計画,地下水対策、安全対策に十分配慮され、又、苦労の多い現場であったと想像できる。この劣悪な施工環境の中での建物の仕上がりは見事である。建物内部の吹き抜けも、建物の中心空間として、その存在を確実なものとし、その為の施工の緻密な計画、材料の選定、設計者との綿密な打合わせや部分的に実物を使ったデモ等を行い、設計者の意向を完全なものとして作り上げた努力には敬意を表する。建物細部に亘るディテールも見事で、熟練した現場監督の管理の見本のようであり、協会賞の最優秀作品としてふさわしく選定された建築物である。今後、この建物が多くの人々から大いに利用され、愛されていくだろうと予感を感じさせる作品と評価いたしました。
優秀賞の(株)石井組による「芝川町 複合的文教施設建設工事」は、建設現場の敷地も狭く、交通量も多く、複雑な地盤であり、工期も短いという4条件の中、万全の施工計画、安全管理に努め、周囲への徹底した管理のもとに建物を完成させたことは、大いに評価できる。ひな壇状の敷地周囲の防音,多数の別途工事との調整等、困難な条件を取りまとめての工事である。又、途中での生徒の現場見学は良い企画であり、物作りの大切さや、楽しさを体験してもらえたと思う。高低差のある敷地で、高低差を考慮した工区分けが隣接する施設に対する安全管理の跡が見られる。
優秀賞の(株)杉浦組による「どんぐり保育園新築工事」は、小屋裏現わしという木構造の良さが大変建物への親しみやすさを感じさせている。多角形の反面、プランされた勾配屋根という複雑な骨組みの組み立てを要求される建物でありながら、細部にわたる納まりまで検討しての施工方法や大工、設計者との調整協議は大変苦労が多かったと推測される建物である。がしかし園長先生の木造園舎や大黒柱等への思いやこだわりも実現出来たことで、現場での苦労が報われたことだろう。園長先生のこの建物への喜びや思いは子供達や保護者にも十分伝わり、この建物を十分に活き活きとさせている。子供達の心の中に保育園の他の思い出と共に、この園舎はいつまでも生き続けていくよう祈って止まない。
優良賞の木内建設(株)による「日本クレア(株)富士宮事業所新築工事」は、繊細で精悍なイメージの建物であるが、この寒冷地という厳しい施工環境の中で、十分に結露対策やコンクリートひび割れ対策等が配慮され、通常の気象条件と違った施工方法や配慮が求められる建物である。建物の特性、求められる機能に対して、劣悪な気象条件をクリアーしての施工には十分な努力の跡が伺える。
優良賞の浜建・宮﨑特定建設工事共同企業体による「平成16年度雄踏総合体育館新築工事」は、メインアリーナ鉄骨建方のため、作業スペースを確保し仮設計画や躯体の施工方法の変更提案等、施工計画の確かさが印象的である。大空間施工に対する仮設計画も適切であり小型ながら鉄筋コンクリート造打放し螺旋階段の出来上がりは見事である。
優良賞の(株)鈴木組による「平成16年度浜北市火葬場建設事業建築主体工事・外溝工事」は、繊細な設計内容や細部の納まりにまで簡素化が貫かれており、職人との打合わせ調整に苦労の跡が見受けられる。出来上がりは見事であり、遊びの無いきりりと引き締まった空間を創り出している。斎場という精神的な表情、空間が求められる建物機能の中で、ディテールに亘って意志統一が出来た細部まで気を使った建物として仕上がっている。コンクリート打放しも美しく、精神的に質素、明快だが、緊張した空間として生き続けていって欲しい。その為の維持管理方法を関係者はよく打合せをし、推進をお願いいたします。
特別賞の臼幸産業(株)による「雇用促進住宅 長泉宿舎 外壁改修その他工事」は、協会賞としては珍しく建物耐震補強の施工作品である。住居というプライバシーの高い建物の中で耐震の為の補強をしていくという住み手にも過酷な施工環境が与えられ、その中で個別の問題に向かい合い、個別の回答を用意しながら頭を下げ続けながらの現場であったと思う。施工の技術というよりも住民対策が中心の仕事ではなかったかと思い、頭の下がる思いである。その苦労を審査員全員が感じ取り、その努力に敬意を表して特別賞といたしました。
審査副委員長 永田 勇
第23回の土木部門には15件の積極的な応募がありました。
第1回審査は協会土木委員が応募書類をもとに行ない、第2回は審査委員が第1回の審査結果により優秀なもの10件に予め絞り込んだ後、現場担当技術者の方々から順に工事概要や現場の進め方等のヒヤリングを受けた後、施工方法・難易度・工夫・安全管理の観点から採点を実施、その結果最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞3点、特別賞2点を選定いたしました。
審査にあたっては工事発注機関・工種規模等にとらわれないで、発注者の条件・現場条件・周辺環境条件などを判断してどのような工夫がなされているか等を評価しましたが、期待していた以上に現場での技術的な工夫とか地域住民も巻き込んだいわゆる協働型の取り組みがなされていることを感じました。
最優秀賞の静和工業(株)による「平成17年度焼津漁港広域漁港整備・岸壁工事」は既設桟橋を撤去後に既設鋼管杭を流用した鋼製ジャケット式桟橋を設置する工事で、工期短縮・コスト縮減など発注者の要求に答えたるため、既設鋼管杭の杭芯測量や水中据付調整・グラウト材海中流出防止対策・水中足場などに専門的な技術経験を生かした様々な工夫が見られ現場技術者の皆さんの熱意と努力が特に高く評価されました。
優秀賞の(株)石井組による「平成15年度1号田子の浦高架橋橋梁補強工事」は水中での橋脚耐震補強をする特殊工法採用の難工事であったが、新しい水中掘削方法を工夫するなど施工方法や安全管理が高く評価されました。
同じく優秀賞の木内建設(株)による「平成16年度1号静清桜町道路建設工事」は周辺交通環境への配慮はもとより、安倍川大橋上り線床版拡幅部の既設床版接合時に様々な高度な施工技術を求めた工夫が高く評価されました。
優良賞の3点ですが、土屋建設(株)による「平成15年度狩野川南条築堤護岸工事」は受注後の災害対応や大幅な設計変更などに迅速に対応した監督員の熱意が評価されました。
(株)山田組による「平成16年度静岡空港アクセス道路計画整備工事」は受注後の橋脚基礎工法変更に伴う現場の確保・支保工へのVE提案・近隣住民対策などに工夫したことが評価されました。
(株)中村組による「平成16年度(国)257号道路施設震災対策事業工事」は橋脚補強(杭基礎)施工時に現場条件を把握し設計変更にスムーズに反映させる施工性が評価されました。
特別賞の2点ですが、河津建設(株)による「平成16年度妻良漁港施設災害復旧工事」は海洋汚染などの環境対策・地域住民や漁船などの安全対策・悪天候影響時の施工管理への工夫が評価されました。
(株)原小組による「平成17年度畑地帯総合整備抜里地区東原寺山工区排水路工事」は人力施工が多く足場の悪い現場条件にも拘らず施工方法や安全管理に工夫したことが評価されました。
今回受賞された工事担当者のご努力に敬意を表するとともに、今後ともその優れた技術力を発揮され、ご活躍されますようお祈り申し上げます。
平井工業(株) |
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(株)石井組 |
(株)杉浦組 |
浜建・宮﨑特定建設工事共同企業体 |
木内建設(株) |
臼幸産業(株) |
(株)鈴木組 |
静和工業(株) |
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(株)石井組 |
木内建設(株) |
土屋建設(株) |
(株)山田組 |
(株)中村組 |
河津建設(株) |
(株)原小組 |