HOME >> 協会からのお知らせ >> 第25回 静岡県建設業協会賞
審査委員長 山梨 清松((社)日本建築士会連合会顧問)
第24回の建築部門には、前年度より少し少なく11作品の応募がありました。
審査は、例年通り第1次として、県建設業協会建築部会委員7名により応募された書類を基に行い、第2次審査では、委員長の他審査員5名がそれぞれの視点で書類審査を行い、意見交換した上、第1次の審査結果とあわせて優秀な作品6点を選び、後日現地調査を実施して、全現場で担当者の説明を聞き質疑応答などした上、改めて審査会を開催し、最優秀賞1作品、優秀賞2作品、優良賞3作品を選定いたしました。
審査に当っては、工事発注機関(官、民)、工事規模等にとらわれないで、発注者の条件、現場条件、周辺環境条件等を総合的に評価するように努めました。いずれの応募作品も企業の熱意、現場担当者の努力、創意工夫等いろいろな点でその意気込みが感じられ、24回続いた協会賞の存在が、会員企業にとっては大変有意義なものであるということと同時に、協会賞の存在が有益であることを内外に示す一助になるものと期待いたしております。
最優秀賞の石川建設(株)施工による「ねむの木こども美術館建築工事」は、周辺の自然と一体となっている景観の優れた出来上がりの建物で、複雑な屋根の形状や内部天井の構成など建築主・設計者の高度な要求に応えた献身的な努力と関係者の協力により施工難度の非常に高い作品が見事に完成されましたことを高く評価いたしたいと思います。緩い傾斜地に計画されたこの建物は、基礎工事においては山側の土留め工事や、軟弱地盤に対して柱状改良工事を行い安全な基礎を構築、平面的にも立体的にも変形した建物を、机上ではパソコンの画面に集中し作成した施工図を基に原寸図を作り、キャドにより組立図を作成する等して施工業者として未経験な事も多く非常に苦労の多い現場であったと想像できます。施工計画では、当然のことながら安全対策に万全を期すべく目標を掲げ第三者災害の防止にも十分配慮されており、広大な敷地の中に学園をはじめ様々な施設が作られており今回はその集大成として計画された3棟目の美術館でもあり施工業者としては発注者より直筆の感謝状を受けた歓びはひとしおであったことと思います。学園の多くの子供たちの作品も展示されており、協会賞の最優秀作品にふさわしく選定された建物として今後この美術館を訪れる多くの人々に親しまれ愛されていくことと思います。
優秀賞の(株)山田組による「藤枝市文学館建築工事」は、28.4ヘクタールという藤と水で名の知られる広大な蓮華寺池公園の一角に郷土博物館があり、それに半円形の文学館が増築されたものです。この公園は、藤枝市民のみならず周辺多くの住民の憩いの場所として広く親しまれており、文学館がプラスになったことで文化への親しみがますますふえ、利用者の幸せが想像できる施設に出来上がっており、施工に当たっては、詳細なディテールに設計者との調整が各所に見受けられ、出来映えも、特に左官工事がきれいな仕上がりであったことが印象的でありました。分離施工、既存部分を使用しながらの増築など困難な工事であったが、協議会を巧みに運営することで乗り切って公園に相応しい建物となっています。
優秀賞の杉浦・松下特定建設工事共同企業体代表(株)杉浦組による「平成18年度浜松市春野総合事務所庁舎建設工事(建築工事)」は、躯体を鉄筋コンクリート造と大断面の無垢材を使用した木造で大きな空間が構成され、しかも免震構造を採用した建物であるが、春野町は歴史的にも主産業は林業の町であり、良質の木材を産出してきました町に相応しい特産の木材をふんだんに使い、木材とそれを補う鉄の組み合わせで融合させた新しい空間づくりとして完成されています。現場は清流の気田川に近く、山を背負った立地条件で地下水の水位の変化、シルト質の軟弱地盤とラップルコンクリート打設、山間地特有の気象の変化、混構造、木材の乾燥加工組み立てなど工程管理、品質管理上表面ではわからないかくれた種々の困難を克服した見事な出来上がりであると思います。
優良賞の平井・牧田特定建設工事共同企業体代表平井工業(株)による「平成17年度小1号城内・青葉小学校統合校校舎建築工事」は、駿府城武家屋敷跡地に建設ということで、工事着手前の発掘調査の影響で厳しい工事期間となったが、地元より地元産木材利用の申し込みがあり、それを取り入れ、更に「安全通路の確保」という工事中廊下の設定を自発的に定め、作業員同志の意識化を図るなど綿密な施工計画により徹底した工事管理が行われ、工事進行の効率化を実施し、確実な施工により、大型工事にもかかわらず細部まで気を配り、全体的に良い出来上りとなっております。
優良賞の(株)橋本組による「学校法人まどか学園すみれ台幼稚園園舎増築工事」は、狭い敷地の中に既存園舎がありそれに接続する形で工事が行われたが、焼津市の海岸に近く、潮の香りが漂う地域のシンボルとなる建物をと言うことで、建物を舟形にしてありますが、この形を表現するのに大変な苦労が感じられ、多様な行動をする幼児にこまやかな配慮と愛情をもって施工する工事業者側の意識徹底化が感じられ、夢の多い出来上がりの建物となっております。
優良賞の須山建設(株)による「平成18年度浜松市納骨堂建設工事(建築工事)」は、生きる者の最期をおくるには幾通りもあることは推察できますが、ここでは在来の慣習に従い宗派を超えた一般的な方法で弔い・送る方法の施設をもって行っています。この施設づくりは工事施工者の献身的な協力により細部まで綿密に施工され、16ヘクタール余の広大な面積を有する浜松市三方原墓園管理者(市長)の承認を受け引き渡されています。工事にあってはVE提案と施工検討会が熱心に行われ、問題解決に努力している姿勢には敬意を表したいと思います。
審査副委員長 近松 則雄(静岡県建設部理事)
第24回の土木部門には17件の応募がありました。
第1回審査は協会土木委員が応募書類をもとに行い第2回は、審査員が第1回の審査結果により優秀なものを10件に予め絞り込んだ後、現場担当技術者の方々から順に工事概要や現場の進め方等の説明を頂き、質疑の後、施行方法・難易度・工夫・安全管理の観点から採点方式による評価を行い、最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞3点、特別賞2点を選定いたしました。
審査にあたっては、現場条件、自然条件、周辺環境条件等を判断して、施工、安全管理、地域対応などの面で、どのような工夫がなされているかを評価しました。特に、工事を円滑に進めるうえでの技術的な工夫や地域住民との調整・協調がなされていることを感じました。
最優秀賞の中村建設(株)による「平成17年度1号新居高架橋橋脚補強工事」は施工空間が狭いうえ、塩分砂が飛散する条件下で、安全、施工方法、高品質の維持のための工夫を随所に凝らした主任技術者の熱意と努力が特に高く評価されました。
優秀賞の加和太建設(株)による「平成18年度(国)136号大場川橋橋梁補修工事」は、工期も厳しく、施工空間の狭い現場条件の下、より高い施工性を求めた工夫が高く評価されました。
同じく優秀賞の(株)鈴木組による「平成17年度旭町鴨江線道路改築工事」は、交通の流れや地元商店に細心の注意を払い、施工管理や安全確保等についての工夫が高く評価されました。
優良賞の3点ですが、木内建設(株)による「平成17年度 保地特第8号両替町通線道路整備工事」は、現場条件や施工条件などリスクアセスメントを導入し、現場管理の安全性の確保が評価されました。
大河原建設(株)による「平成17年度大井川牛尾対策工事」は、終始環境に気遣った工事を進め、創意工夫での提案も24題とその取組みが評価されました。
(株)橋本組による「平成18年度(主)島田吉田線緊急地方道道路改築工事(第1工区)」は、発注者より利用者という観点から、地域密着型の工事推進の模範型と評価されました。
特別賞の2点ですが、青木建設(株)による「平成17年度熱海港海岸海岸環境整備事業渚堤防工事」は、パンフレットの配布等により住民や観光客の理解を得ながら工事を進めた点が評価されました。
五光建設(株)による「(株)金山商店敷地造成工事」は、大規模民間工事で多くの企業が輻輳するなか、関係者との連携が良く、短期間に無事故で完成させた能力が評価されました。
今回受賞された工事担当者のご努力に敬意を表すとともに、今後ともその優れた技術力を発揮され、ご活躍いただくようお祈り申し上げます。
石川建設(株) ねむの木こども美術館建築工事 |
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(株)山田組 藤枝市文学館建築工事 |
杉浦・松下特定建設工事共同企業体代表(株)杉浦組 平成18年度浜松市春野総合事務所庁舎建設工事(建築工事) |
(株)橋本組 学校法人まどか学園すみれ台幼稚園園舎増築工事 |
平井・牧田特定建設工事共同企業体代表平井工業(株) 平成17年度 小1号城内・青葉小学校統合校校舎建築工事 |
須山建設(株) 平成18年度 浜松市納骨堂建設工事(建築工事) |
中村建設(株) 平成17年度 1号新居高架橋橋脚補強工事 |
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加和太建設(株) 平成18年度 (国)136号大場川橋橋梁補修工事 |
(株)鈴木組 平成17年度 旭町鴨江線道路改築工事 |
木内建設(株) 平成17年度 保地特第8号両替町通線道路整備工事 |
大河原建設(株) 平成17年度 大井川牛尾対策工事 |
(株)橋本組 平成18年度 (主)島田吉田線緊急地方道道路改築工事(第1工区) |
青木建設(株) 平成17年度 熱海港海岸海岸環境整備事業渚堤防工事 |
五光建設(株) (株)金山商店敷地造成工事 |