HOME >> 協会からのお知らせ >> 第25回 静岡県建設業協会賞
審査委員長 山梨 清松((社)日本建築士会連合会顧問)
第25回(社)静岡県建設業協会賞の建築部門には、前年度と同じく11作品の応募がありました。
審査は、まず、応募書類を基に県建設業協会平成19年度建築部会委員による第1次審査を実施し、続いて、国・県・関係団体・県建協で構成する審査委員6名が各々の視点で書類審査及び、意見交換を行い、第1次審査の結果と併せて、優秀な作品7点を選出しました。
その後、2日間に亘る現地審査を、全ての現場で行って直接工事担当者から説明を受け、質疑応答等を行い、改めて審査会を開催し、最優秀賞1作品、優秀賞2作品、優良賞3作品、特別賞1作品を選定いたしました。
審査にあたっては、工事発注機関(官、民)や工事規模等にとらわれずに、発注者の条件、現場条件、周辺環境条件等を総合的に評価することといたしました。いずれも企業の熱意、現場担当者の努力、創意工夫等いろいろな点でその意気込みが感じられる作品でした。
協会賞は今年第25回目という節目を迎えましたが、その存在をより高めてゆくために、審査方法等の明確化に向けて本年度見直しをしたところですが、今後も引き続き時代の変化に対応して見直しする必要があります。
協会賞の存在が、今後も一層、会員企業にとっては大変有意義なものであるということと同時に、より有益であることを内外に示す一助になっていくものと、期待いたしております。
最優秀賞の木内・鈴与 特定建設工事共同企業体 代表木内建設(株)による「総合科学技術高等学校(仮称)PFI事業 新築工事」は、PFI事業で建築された新設の工業高校で、設計・施工における様々なアイデアを駆使しながら工事を短い工期で確実に進めており、しかも全体にわたって調和を持ってまとめ、明るく未来の夢を持たせるにふさわしい明るさと厳しさも併せ持つ空間構成であることを感じさせる作品に仕上がっています。外部についても行き届いており、若者らしさが伝わって来るような構成が印象的です。PFIでの特殊な施工形態の中、通常の施工以上に関係各部署との擦り合わせやコスト面等に戸惑いと相当のご苦労があったと思われますが、様々な工夫を重ね、品質向上を目指して努力し、大型プロジェクトを見事完成された力量を、協会賞の最優秀作品として高く評価いたしたいと思います。多用途の施設群の施工に際して、多くの制約を受ける中、積極的な提案を設計に反映させており、安全管理に万全を期し、周辺の環境美化に配慮された、綺麗な出来上がりは見事であります。PFI事業については契約期での評価を待つ必要がありますが、この新たなる取り組みに立ち向かれたことに対し、敬意を表するとともに、この貴重な経験が、今後、建設業界そして地域社会発展の良き糧となることを願って止みません。
優秀賞の石井組・望月建設 特定建設工事共同企業体 代表(株)石井組による「(仮称)富士交流プラザ 新築主体工事」は、富士市は、吉原市と合併しそれに富士川町が加わることによって、ここに富士川そして富士山を含めた大きな圏域を有する都市を形成することとなりました。地域は、多くの人々と産業と文化を持ちながら生活し発展してゆかねばなりません。この地域は実に多様なものを内蔵している輝かしい歴史を持って発展してきた地域であります。『富士山は美しい。人々は憧れ、語り合い、未来を指向し、研究し、努力しようとここに集まる。』それがこの施設の工事に携った人々の願いなのではないかと思わざるを得ません。そして、このような想いを感じさせてくれるこの作品は、素晴らしいの一言に尽きます。地域住民の文化交流核施設として多用途の施設である本作品は、3種の異なる構造構成を同一工程で管理しなければならない等、施工精度の確保に多大な苦労と、施工調整に非常な困難を伴ったことと見受けますが、創意工夫をもって数々の施主のこだわりがしっかりと実現されており、計画から完成に至るまで、あらゆる部分での実にきめの細かい施工の展開に敬意を表します。
優秀賞の川島建設(資)による「平成18年度 納涼亭 新築工事」は、見事な出来であり、施主も施工も設計も、よくここまで名建築として建てて下さったものだと思います。対岸からの眺めも素晴らしい。天竜川の四季折々の眺めも美しい。土木・建築技術の融合された作品として、景観の良さと共にいつまでも残しておきたい建物の一つです。数年前から施主側や関係機関と調整しながら、練りに練った計画の中で施工された建物であるとのこと、施主との固い信頼関係を築き、現場の悪条件もうまく克服し景観を維持しながら心地良い空間を提供するという、コミュニケーションの良さが際立って感じられます。設計・施工一括で同一技術者が行っていることで、施主の意図を細部まで盛り込むことに成功しており、創意工夫のある施設を丁寧な工事で完成されています。建物を建てることで商売の幅も広がっている施主の喜びが伝わり、建設することの意義や価値を再認識させてくれた作品です。
優良賞の河津建設(株)による「平成18年度 下田地区 新構想高等学校(仮称)体育館棟 建築工事」は、工事現場は勾配のある校舎敷地の最奥でそれに至る道路は狭く、作業資材・工事資材の運搬方法を検討し合い、確認し合い、安全に完成に導く技が見事であり、仕上りも良くできている建築であります。悪条件の重なった施工条件の中で大変な苦労があったと思われますが、近隣住民や生徒への安全に十分な配慮をしつつ、品質確保や困難な諸条件を克服する工夫が随所に見受けられる作品として高く評価します。
優良賞の渡辺建設(株)による「平成19年度 市単事業 裾野市立御宿台保育園・児童館 建築工事」は、40年前に建築の保育園舎を新しい方針に沿って建替え、今度取得した隣接地の近隣住宅にお住いの方々のご協力も得て増築したもので、新旧共に調和された空間構成で仕上げがなされています。保育園舎、児童館等が密接する施設を、短く厳しい工期の中で見事完成され、工程管理に対する調整苦慮と、それに対する大変な努力の跡が窺える工事です。また、環境配慮への経緯が随所に亘り、機能性を重視した施工によって完成させた素晴らしい作品となっております。
優良賞の(株)川島組による「子育てセンターさやのもり 増改築等工事」は、0歳児から5歳児という目の離せない成長期の子供を預かる空間づくりは大変難しいものであったと思います。相当の気配りが必要とする中、300人も預かるとなるとその建築空間は安全第一をもとにしなければならないのは当然のこと、細心の注意で生活時間を共存し夢づくりをしなければなりませんが、その対応の空間に細やかな配慮をした出来上がりとなっています。設計者や施主である園側との綿密な調整の内容がいたる所に現れており、優しさが伝わってくる好感の持てる作品です。
特別賞の大河原建設(株)による「(仮称)島田木材協同組合会館 新築工事」は、JR島田駅周辺区画整理事業が現在行われており、その一角に「島田木材協同組合」が「島田木材協同組合会館」を新築したものであります。平成21年6月の「富士山静岡空港」開港を控え、島田駅前に位置することで、今後、駅の乗降者の増加に伴いお客様が増えることによる、多用な使用に応じられる会館施設として、地方振興策の一つとして評価したいと思います。地場産の木材をふんだんに使用する等、地域を意識しながら施主や設計者と調整を図っており、品質管理の適切な実施と共に、外壁面の曲線の多様等の施工にあたっての苦労が窺える作品です。
審査副委員長 近松 則雄(静岡県建設部理事)
第25回(社)静岡県建設業協会賞(土木部門)には14点の応募がありました。
審査は2段階方式で行い、第1回審査では書類審査により優秀なものを7点選定し、第2回審査では現場担当技術者から工事概要や現場の進め方等の説明を受けた後、採点方式による評価を行い、最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞3点、特別賞1点を選定いたしました。
審査にあたっては、与えられた現場条件、自然条件、周辺環境条件等を的確に判断し、施工、安全管理、地域対応、コスト縮減などの観点からの課題を整理し、工事を円滑に進めるうえでの技術的な工夫や地域住民との調整・協調等について評価しました。
最優秀賞の山本建設(株)による「平成18年度 1号南二日町道路建設工事」は交通量の多い交差点という現場条件のもと、調査~問題点への対策を繰り返し行い、施工方法、品質向上、安全管理への工夫が随所にみられ、主任技術者の熱意と努力が特に高く評価されました。
優秀賞の平井工業(株)による「平成17年度 1号静岡駅前地下道改修工事」は、既設地下道内での施工空間の狭い現場条件のもと、人力作業を余儀なくされたが、仮設工の工夫などにより高い施工性を求めた点が高く評価されました。
同じく優秀賞の(株)山田組による「平成19年度 大井川赤松護岸整備工事」は、練り石積み・巨石張りなど石工の技術の継承、現場で採取した魚類の放流やソーラーシステムによる電力供給等の自然環境への配慮および地域への工事近況報告など広報活動が高く評価されました。
優良賞の3点ですが、小野建設(株)による「平成19年度 天城北道路大平道路建設工事」は、厳しい工期の中、工程管理・他業者との調整を適切に行うとともに、現場で考案した資材投入機やNETISの活用など工期短縮やコスト縮減の取組みが評価されました。
鈴与建設(株)による「平成18年度 1号蒲原中部橋梁補強工事」は、VE活動などコスト縮減対策の取組、施工管理・安全管理・地元対策への対応が評価されました。
中村建設(株)による「平成19年度 都市計画事業 公共下水道事業特環公共第5号西遠処理区 雄踏第1処理分区枝線管きょ築造工事による社会実験業務委託(第5工区)」は、社会実験の期待される効果と懸念事項を検証しながら工事を進めた点が評価されました。
特別賞の青木興業(株)による「平成19年度(国)136号19年道路災害復旧工事(仮橋工)」は、“伊豆観光への影響を最小限に!”を合言葉に、災害復旧工事に特有の短期間施工を立派に遂行された点が評価されました。
今回受賞された工事担当者のご努力に敬意を表するとともに、今後ともその優れた技術力を発揮され、ご活躍されますようお祈り申し上げます。
木内・鈴与 特定建設工事共同企業体 代表木内建設(株) 総合科学技術高等学校(仮称)PFI事業 新築工事 |
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石井組・望月建設 特定建設工事共同企業体 代表(株)石井組 (仮称)富士交流プラザ 新築主体工事 |
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川島建設(資) 平成18年度 納涼亭 新築工事 |
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渡辺建設(株) 平成19年度 市単事業 裾野市立御宿台保育園・児童館 建築工事 |
河津建設(株) 平成18年度 下田地区 新構想高等学校(仮称)体育館棟 建築工事 |
(株)川島組 子育てセンターさやのもり 増改築等工事大河原建設(株) (仮称)島田木材協同組合会館 新築工事 |
山本建設(株) 平成18年度 1号南二日町道路建設工事 |
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平井工業(株) 平成17年度1号静岡駅前地下道改修工事 |
(株)山田組 平成19年度 大井川赤松護岸整備工事 |
鈴与建設(株) 平成18年度 1号蒲原中部橋梁補強工事 |
小野建設(株) 平成19年度 天城北道路大平道路建設工事 |
青木興業(株) 平成19年度 (国)136号19年道路災害復旧工事(仮橋工) |
中村建設(株) 平成19年度 都市計画事業 公共下水道事業 特環公共第5号 西遠処理区 雄踏第1処理分区枝線管きょ築造工事による社会実験業務委託(第5工区) |