HOME >> 協会からのお知らせ >> 第30回(一社)静岡県建設業協会賞に寄せて
前 静岡県交通基盤部長 長島 郁夫
一般社団法人静岡県建設業協会及び会員の皆様におかれましては、建設業の発展と本県の社会資本整備に多大な貢献をいただきますとともに、日ごろから公共事業の円滑な執行に格別の御理解と御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
今回の受賞された工事は、いずれも現場条件や周辺環境等を的確に判断し、創意工夫や新技術の活用により課題を克服している優れた工事と感じました。工事の担当者を始め、関係の皆様の御尽力に敬意を表するとともに、今後とも他の模範となりますよう、より一層の御活躍をお祈りいたします。
交通基盤部では、だれもが豊かで快適に暮らすことができる「富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくり」の実現に向け、その礎となる社会基盤の整備を着実に進めており、平成26年3月には社会資本整備の方針を示す新たな5か年計画を策定しました。
新たな計画では、国の国土強靭化基本法の方針なども踏まえ、南海トラフ巨大地震等の大規模災害から県民の生命・財産を守ることを最重点目標に位置付け、ハード・ソフト一体となった災害に強い基盤づくりを推進することとしております。
また、多様な交流や、活発な経済活動を支える陸・海・空の交通ネットワークの整備・活用を進めるとともに、快適な暮らし空間の実現や、自然と調和する美しい景観の創造と保全にも取り組んでまいります。
さらには、高度経済成長期を中心に建設された多くの社会資本が、急速に老朽化していることから、維持補修や更新時期の最適化を目指した施設の長寿命化を進め、適正な維持管理に努めてまいります。
県といたしましても、こうした計画を踏まえ、県民にとって必要な整備を効率的かつ戦略的に進めていくためにも、今後も建設業の皆様と連携しながら、公共事業の円滑な執行に向け取り組んでまいりたいと考えておりますので、引き続き、御支援、御協力をお願いいたします。
結びに、貴協会のますますの発展と会員の皆様の御繁栄、御活躍をお祈り申し上げます。
土木部門審査委員長 野知 泰裕(前 静岡県交通基盤部理事)
静岡県建設業協会賞は、今回で節目となる30回目を迎え、土木部門では過去最多となる27件の応募があり、厳正な審査の結果7件の作品が受賞することとなりました。
今回の応募では、現場担当者が工事の目的や現場の状況をしっかり把握し、新技術の活用や創意工夫等を凝らして、厳しい現場条件を克服して品質の高い工事を完成させた作品が多く見られました。
最優秀賞は、小野建設(株)が施工しました『平成22年度(国)136号函南三島バイパス社会資本整備総合交付金(国道道路改築(2次))工事(南側取合擁壁工東工区)』であります。この工事は、現場打ちカルバート築造工事ですが、3D-CADを施工計画の作成、安全管理等の施工マネジメントや広報活動に積極的かつ効果的に活用した先駆的な取組であり、今後、さまざまな工事への同様の活用が期待されるものとして高く評価されました。
優秀賞の1点目は、山本建設(株)が施工しました『平成23年度狩野川平町樋管改築工事』であります。この工事では、マスコンクリート構造物のひび割れ対策として、打設時期や養生方法等について、しっかりとした比較検討を行い、最適な手法を選択することにより、優れた品質管理の確保を図ったことが評価されました。
優秀賞の2点目は、平井工業(株)が施工しました『平成23年度下建工第2002号城北排水区大岩地区雨水渠築造その4工事』であります。この工事は、ボックスカルバートの敷設工事に当たり、施工現場の土質や沿道住宅地に及ぼす影響、既存埋設物の敷設状況等を的確に把握して最適な工法の再検討を行い、出来形管理においても高い精度を確保した技術力が評価されました。
優良賞の1点目は、(株)山田組が施工しました『平成23年度伊豆縦貫錦ケ丘道路建設工事』であります。この工事は、新興住宅地に近接し生活環境対策が強く求められた現場であり、現場の状況を把握し、粉じん対策や騒音対策として適切な工法選択を行い、また広報活動にも努めた結果、大きな混乱もなく完成させた技術力が評価されました。
優良賞の2点目は、鈴与建設(株)が施工しました『平成24年度清水港新興津防波堤築造工事』であります。この工事では、複数の工事が輻輳する現場での工程調整や、コンクリートの海上打設にあたっての品質の確保をめざした工法の工夫などの技術力が評価されました。
優良賞の3点目は、(株)中村組が施工しました『平成23年度1号袋井堀越西高架橋床版工事』であります。この工事では、8径間及び3径間連続鈑桁橋の床版コンクリートの施工にあたり、厳しい現場条件の中で、クラック防止のため、適切な打設方法等を計画して、施工管理し、品質向上を図ったことが評価されました。
さらに、今回は特別賞として、木内建設(株)が施工しました『中部横断自動車道吉原ジャンクション北工事』が選定されました。この工事は、中部横断自動車道接続箇所のパイロット道路等を築造する工事であります。新東名のJCTランプに面する硬岩掘削の施工にあたり、岩質を見極め、効率的な掘削量が確保できる工法を採用して適切に管理することにより、予定された新東名の供用開始に間に合わせたことが評価されました。
以上、これらの優れた成果は、土木技術者の品質の確保や適切な工法選択に向けた、土木技術者の皆様の技術力の賜物であり、施工された建設会社と担当者の御努力に深く敬意を表します。
今後の皆様の益々の御活躍を期待申し上げます。
建築部門審査委員長 山崎 善利
((一社)静岡県建築士事務所協会相談役)
第30回(一社)静岡県建設業協会賞 建築部門には応募作品が17点でした。次年度は更に多くの応募を期待します。
審査経過は、協会推薦の一次審査員による審査を基に、1月24日に第1回
審査会(委員は、
委員長 山崎善利 (一社)静岡県建築士事務所協会 相談役
委員 神原治之 国土交通省中部地方整備局静岡営繕事務所 所長
委員 諏訪久男 静岡県くらし・環境部建築住宅局 局長
委員 河津市元 (一社)静岡県建設業協会 理事
委員 渡邉雄二 (一社)静岡県建設業協会 協議員
委員 豊田和壽 (一社)静岡県建設業協会
で構成する6名)を開催し、積極的な意見交換を行い6作品を選出しました。
選考された作品の審査基準に基づいて審査するため、現地審査を2日間(2月6日-東部:2月13日-中部~西部)行い、施工担当者からの工事、建物に関する説明や委員からの質問に対する応答を行いました。
2月21日に最終審査会を静岡県建設業会館にて開催し、最優秀作品1点、優秀作品2点、優良作品3点を選出しました。
今回の特徴は、中心市街地に建つ施設、山野を造成して建つ施設、敷地が広く高低差がある建設地、小さな敷地で高低差がある建設地と、環境対策や安全対策への配慮に力点が置かれ、施工苦労の感じられる応募作品が目立ちました。
本年も審査に伴い実施した現場見学に5名の技術者が参加しました。来年も継続していきたいですので、多数の参加を期待しています。
また、今年度も、会員企業の若手技術者の研修の場として、現地審査当日に見学会を実施し、3名の参加がありました。来年度もぜひ、多数の作品応募と若手技術者の見学会参加をお願いします。
最優秀賞:井上建設(株)による「みのる認定こども園工事」は、曲面の多い平面、立面形状である。この建物の施工には、大変な苦労があったと思います。
特に屋根スラブ、アーチ形の梁、仕上鉄板張りは、配筋、形枠支持法等前記のとおり曲面が多用され、非常に難しい建築です。
そのため理解する対策として模型や3次元CADなどで具体的に施工方法の検討をして、各職人との連携作業が見事に融合された現場でした。
現場担当者、職人の苦労が実った出来映えで、中央棟のスロープ、躯体と連窓多角サッシの取り合い、コンクリート打設、吹付け面など、高い施工精度により仕上がっており、園児の日常利用上の安全にも細部にわたり配慮がなされていました。
優秀賞:常盤工業(株)による「学校法人気賀学園 気賀幼稚園耐震改築工事」は、敷地周辺の道路が乗用車のすれ違いが出来ないほど狭い上、敷地内の高低差3m以上ある中で、作業車、園児を送迎する一般車等、園舎を使用しながら行った改築工事は、着工から引き渡しまで大変な努力であったと思われます。
工事中隣接する神社の境内を利用、前面のビル駐車を借りたりして、材料搬入や、ポンプ車、レッカー車の使用には苦労が強く感じられました。
内装材には、地場産の間伐材の利用を巧みに使用し、敷地の段差を活用した遊戯場などここでしかない建物で、園児や父母に自慢出来る、魅力的な幼稚園が実現していました。
優秀賞:木内・鈴与特定建設工事共同企業体(木内建設(株)、鈴与建設(株)2社JV)「学校法人 清水国際学園新校舎等建設工事」は、市街地に建設する高校の耐震改修工事で学校敷地としては狭く、道路をはさんだ2つの敷地に分れています。さらに両敷地共外周は、道路に囲まれた条件の悪い工事現場です。さらに、学校を利用しながらの工事は、さらなる近隣に対する道路通行(歩・車共)及び、学生の通学安全、騒音対策、落下物防止対策等前住民説明などが必要でしたが、充分な対応が施され、工程ごとに掲示板で周知を行い何ら支障なく竣工されました。
新しい工法(2階の礼拝堂広間の上下階に対する遮音)は見事でした。
優良賞:臼幸産業(株)「特別養護老人ホーム高根・ケアハウス高根新築工事」は、広い敷地に加え高低差があり、大規模建築である建物で、工期内に完了引き渡す為、3ブロックの工区に分け又、資材搬入や作業スペース確保に3カ所の作業出入口を設ける仮設計画を作成、綿密な内・外部関係者による打合せや、作業計画がなされ各工区の手順を指導監理者の意志が行き届き、9ヶ月という短い工期で16,451m2の施設を完成させ、施工会社の日頃からの工事に対する新しい提案や、工夫が作品に生かされていました。
優良賞:鈴与・イハラ・杉本特定建設工事共同企業体(鈴与建設(株)、イハラ建成工業(株)、杉本建設(株)3社JV)「平成23年度教施第1号清庵地区新構想高等学校(仮称)校舎建築工事」は、閑静な住宅地での校舎建て替工事であり、3カ所の吹き抜け空間が高校生活におよぼすモデルとなればと思います。
今回、施工JV各社は敷地廻りの対策(近隣・交通・一般・作業・通行人)に配慮し、旧校舎を利用している学生も安心出来る仮囲に守られほぼ通常授業がなされました。
工事中の騒音・振動等の予告を近隣住民に掲示板で知らせる等、万全の体制が立派であり、内外装の出来もよく、数々の工夫(吹き抜け部・シャッターの収まり等)が施されていました。
優良賞:(株)橋本組「平成23年度〔第23-H4509-01号〕県営住宅田尻団地2号棟公営住宅整備事業(建築)工事」は鉄筋コンクリート造8階建の公営高層住宅建設ということで、建物そのものは、単純な長方形の平面の積み重ねであるが、主たる材料が高強度コンクリートであった、ひび割れ防止の工夫として高強度鉄筋の継手(機械式)を採用し雨・風に左右されなく作業が出来た、工期短縮の為2工区に分けた接合部のコンクリート打設監理技術など、長年の工夫と経験が充分に示され、見事なコンクリート打放しを見ることができました。
※画像をクリックすると拡大画像がご覧になれます。
小野建設(株)(三島協会) 平成22年度(国)136号函南三島バイパス社会資本整備総合交付金(国道道路改築(2次))工事(南側取合擁壁工東工区) |
|
山本建設(株)(三島協会) 平成23年度狩野川平町樋管改築工事 |
|
平井工業(株)(静岡協会) 平成23年度下建工第2202号城北排水区大岩地区雨水渠築造その4工事 |
|
(株)山田組(沼津協会) 平成23年度伊豆縦貫錦ヶ丘道路建設工事 |
|
鈴与建設(株)(清水協会) 平成24年度清水港新興津防波堤築造工事 |
|
(株)中村組(浜松協会) 平成23年度1号袋井堀越西高架橋床版工事 |
|
木内建設(株)(静岡協会) 中部横断自動車道吉原ジャンクション北工事 |
|
※画像をクリックすると拡大画像がご覧になれます。
井上建設(株)(富士協会) みのる認定こども園新築工事 |
|
常盤工業(株)(浜松協会) 学校法人 気賀学園 気賀幼稚園耐震改築工事 |
|
木内・鈴与特定建設工事共同企業体 |
|
臼幸産業(株)(沼津協会) 特別養護老人ホーム高根・ケアハウス高根 新築工事 |
|
鈴与・イハラ・杉本特定建設工事共同企業体 |
|
(株)橋本組(島田協会) 平成23年度[第23-H4509-01号]県営住宅田尻団地2号棟公営住宅整備事業(建築)工事 |
|