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第33回(一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞 受賞作品講評

第32回(一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞

●第33回 (一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞(土木部門)講評

土木部門審査委員長  杉保 聡正
審査委員会(土木部門)
前国土交通省中部地方整備局静岡国道事務所 所長前川 利聡
前国土交通省中部地方整備局静岡河川事務所 所長犬飼 一博
一般社団法人日本建設機械施工協会施工技術総合
研究所 所長
真下 英人
一般社団法人静岡県土木施工管理技士会 会長山田 壽久
一般社団法人静岡県建設業協会 協議員望月 克政
前静岡県交通基盤部 理事杉保 聡正

昨年度、名称を変更した「静岡県建設業協会建設もの創り大賞」は、協会会員の技術力向上の基礎を築き、意識の高揚、自己研さんを図るために、昭和59年に創設され、これまでにも数多くの工事を表彰してきました。

今回、応募のあった作品には、熟練技能者の高齢化による減少や技術不足が深刻な状況で新技術の活用や生産性の向上が不可欠な環境の中、i-Constructionの積極的な取組をはじめ、全国初の工法による施工、重機と作業員の分離徹底による施工法の確立など、高い技術力を発揮し、厳しい条件下で質の高い工事を完成させたものが多く見られました。

地区協会から選任された1次審査員の審査結果と現場担当者の発表を踏まえた審査委員会による厳正な審査の結果、最優秀賞、優秀賞、優良賞のほか、今回、地域に貢献した作品を特別賞として計8件を選考しました。

品質確保への努力や適切な工法選択をはじめ、地域住民との調整など、応募された技術者の技術力はもちろん、関係した皆様の努力に対して、改めて敬意を表しますとともに、引き続き、土木技術の向上のため、皆様の益々のご活躍を期待しております。

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最優秀賞
最優秀賞 平井工業株式会社
平成27年度[第26‐K2460‐01号]二級河川巴川(麻機遊水地)総合治水対策特定河川事業(防災・安全交付金)工事(掘削運搬工)
平成27年度[第26‐K2460‐01号]二級河川巴川(麻機遊水地)総合治水対策特定河川事業(防災・安全交付金)工事(掘削運搬工)

若年者の建設業離れや熟練技能者の高齢化により技術者不足が深刻化する中、伝統的な生産方法を見直し、効率的で質の高い新たな建設生産システムを構築が求められている。中でも建設ICTは最も期待される技術であり、ICT土工について、従来の施工方法との比較や様々な工夫を試行した当該現場の持つ意味は大変大きいものがある。本取組は、全国的にも注目され、現場から得られた効果・課題は、その後の県におけるICT土工の試行導入に繋がった。

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優秀賞
優秀賞 鈴与建設株式会社
平成27年度[第26‐K2530‐01号]巴川水系地震・高潮対策河川事業(防災・安全交付金)工事(常念川水門耐震補強工事)
平成27年度[第26‐K2530‐01号]巴川水系地震・高潮対 策河川事業(防災・安全交付金)工事(常念川水門耐震補強工事)

従来型のドライ工法による止水箱では、クレーンを設置するスペースが確保できないため、全国で初めてのフロート式止水箱により施工した。潮位の影響をはじめ、自然環境の厳しい中で作業に合わせ潮位表を作成して工程管理を行った。また、近隣への騒音を避けるため、現場休憩所に電力を引き込んで電力を確保して騒音の抑制に努めるなど、近隣住民の苦情もなく無事完成させた。

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優秀賞 林工・山平・常盤特定建設工事共同企業体
平成25年度[第25‐K5601‐01号]浜松篠原海岸津波対策施設等整備事業(海岸)工事(本体施工その1)
平成25年度[第25‐K5601‐01号]浜松篠原海岸津波対策施設等整備事業(海岸)工事(本体施工その1)

防潮堤工事全体で1日に約900台のダンプトラックが錯綜する中、作業員の安全を確保するため、他工区との検討・調整を主体的に実施し、海ワンウェイ仮設道路を計画するとともに、重機との分離を徹底するため、CSG築造工において、1日の作業範囲を3ブロックに分けて実施する施工方式を確立し、この3分割方式が、全工区の安全対策に採用され、大きな効果を発揮し、無事完成させた。また、工事着手前に過積載対策をはじめ、不正軽油使用禁止・アルコールチェックの徹底など、ダンプに関する運行規約を協力業者に周知徹底した。

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優良賞
優良賞 小野建設株式会社
平成26年度 天城北道路矢熊北地区道路建設工事
平成26年度 天城北道路矢熊北地区道路建設工事

保安林解除の手続きにより工事着工が遅れ、工期内の完成が困難となった。当該現場の上空が前後のトンネルの到達孔となるため当該工事の完成の遅れが坑口施工に影響を及ぼし、天城北道路の開通に影響することが予想されたことから、施工ヤードが狭隘である等、厳しい制約の中、現場打ボックスからプレキャスト製品のビッグボックスへ構造変更、3分割での施工等の工夫により工期短縮に努め、無事工期内に工事を完成させた。

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優良賞 木内建設株式会社
平成27年度 市工第1号 泉町豊原町線舗装工事
平成27年度 市工第1号 泉町豊原町線舗装工事

当該工事個所は、水道管をはじめ、非常に多くの埋設物があり、また、人通りが非常に多い市街地に位置し、工事による社会的影響が大きいと考えられた。このため、埋設物の管理者との現場立会等により埋設管の3D-CAD化し、精密に現場を3Dで再現し、工事関係者全員に埋設物の位置・深さの周知を図ることで事故防止に努めた。また、近隣での再開発事業等との工程調整を効果的に実施し、周辺に対する影響を最小限に抑え、無事完成させた。

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優良賞 株式会社橋本組
平成26年度[第26‐D7317‐01号](一)静岡焼津線防災・安全交付金(県道橋梁耐震対策)工事(当目大橋橋脚補強工その1)
平成26年度[第26‐D7317‐01号](一)静岡焼津線防災・安全交付金(県道橋梁耐震対策)工事(当目大橋橋脚補強工その1)

30年前に施工された橋脚の補強工事で、既設図面が正確でなかったことから設計照査に重点を置いた。現場は河口に位置し、潮汐や低気圧通過時に波の遡上を受ける厳しい条件下で、仮設ヤードの築島の高さ、橋脚背面の状況、高波等により現場が水没すれば工期の延長が考えられたため、気象海象予報システム「羅針盤」を導入し施工判断基準として活用するなど、自然災害対策に水密性の高い強固で確実な仮設工を実施し、無事完成させた。

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優良賞 株式会社グロージオ
東名高速道路 大井川藤枝スマートインターチェンジ工事
東名高速道路 大井川藤枝スマートインターチェンジ工事

多くの車両が通行する本線を通行止めにできないことをはじめ、本線部の盛土材料が不明であること、民家が近接し、騒音、振動対策など、様々な制約条件をクリアできる工法を検討し、硬質岩盤への圧力が可能で、低振動・低騒音である硬質岩盤クリア工法で施工し、東名高速道路本線に影響を与えることなく、無事完成させた。

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特別賞
特別賞 株式会社白鳥建設
平成27年度 治山復旧船窪工事
平成27年度 治山復旧船窪工事

施工場所の下流部は、ワサビ発祥の地としてワサビ栽培の盛んな地域であり沢を濁らせないため、こまめな水替工が重要であった。また、観光地でもあり、多くの観光客があることから、工事車両の運転に気を付けるとともに、施工上濁りが出る可能性がある場合にはワサビ田の水の栓を閉めてもらうなど、地域住民と綿密にコミュニケーションを取りながら無事完成させた。

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●第33回(一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞(建築部門)講評

建築部部門審査委員長  立道 幸男
審査委員会委員
前国土交通省中部地方整備局静岡営繕事務所 所長 下野 成敏
前静岡県くらし・環境部建築住宅局    局長 柳  敏幸
(一社)静岡県建設業協会        理事河津 市元
(一社)静岡県建設業協会        理事渡邉 雄二
(一社)静岡県建設業協会        協議員豊田 和壽
(一社)静岡県建築士事務所協会    相談役立道 幸男

第33回(一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞(建築部門)の応募は15件あり、一次審査は一次審査委員が応募書類を基に実施、本審査は一次審査結果を参考にして意見交換を行い慎重に審査を行った結果、現地審査対象作品を7件選出、後日2日間に渡って現地審査を実施しました。

最終審査は現地審査による各委員のコメントや採点を基に議論した結果、最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞3点、特別賞1点を選出致しました。

特別賞については他の作品と比べ工事費、規模共に別格であり、各々の管理体制も優れている事や静岡駅前南町地区再開発事業という特殊事業でもある事から特別賞としました。

尚、最終審査では審査委員の意見調整に苦慮、賞の選定にあたって苦労する一幕がありました。これも応募者が「建設もの創り大賞」を通して社会貢献や技術力の向上に努める事は勿論、主催者の趣旨をよく理解され、業界発展を願う表われであると感じました。

審査に当っては発注機関や規模等にとらわれないで、主催者から示された「審査基準」に従い、審査並びに採点を行う事に努め評価を致しました。

また、現地審査は現場担当者とのヒヤリングと、関係機関や会員企業の技術者の研修の場を兼ねている事から、今回は国土交通省中部地方整備局静岡営繕事務所及び渡辺建設(株)の技術職員の皆様が現場見学をされ、関係者各々が有益を感じる審査状況となりました。

いずれの作品も出来映えが良く、企業努力と現場担当者の熱意と意気込みを感じる作品であり、技術力の向上に寄与していると思われます。今後は保守管理に努め、地域に根差した施設として親しまれる事を願う次第です。

尚、今回の応募作品は工事金額や規模にバラツキの差が大きく、次回は応募方法に一考を要する旨の意見がありました。

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最優秀賞
龍の子認定こども園改築工事

石川建設(株)施工の「龍の子認定こども園改築工事」は磐田市郊外に建つ、幼稚園及び保育園である。

狭い敷地内にある既存の幼稚園を運営しながらの改築工事であり、加えて難易度の高い設計仕様と安全計画、仮設計画、施工計画、品質管理等が厳しい中、見映えよく完成している事が評価された。

曲線で構成された平面やアンボンドPC鋼線の施工管理に苦慮、適切な変更提案や創意工夫が見られ、発注者とのコミュニケーションも良く現場内に於いて園児と交流する等作業環境造りや地域貢献が成され、全体的な印象として各々の工種が高い技術力と管理能力が要求される中での施工精度、品質管理が行き届いた施設であり高く評価された。

【工夫事例】個別技術テーマ ― 複雑構造物(曲面多角形等)、特殊デザイン
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優秀賞
小山町複合介護施設新築工事

臼幸産業(株)施工の「小山町複合介護施設新築工事」は駿東郡小山町の閑静な郊外に建つ介護付き有料老人ホーム90名、介護老人保健施設100名、短期入所生活介護24名、通所リハビリテーション20名の複合施設であり、国内最大級の木造耐火建築物である。

施工するにあたり技術者及び作業員の講習や現場見学を行い、技術取得に苦慮と工夫が覗え事例の少ない施設の品質管理や施工管理と工程管理や地域貢献が成され、発注者に共同参画を求めたり高校生の現場見学や地域優先を掲げ、施工計画に於いても「前例が無いなら前例を作れ」の思いを持って対処、施設全体が纏まりと見映えが良く完成している事が高い評価を受けた。

【工夫事例】現場管理 ― 安全管理全般、地域貢献
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平成25年度 水道総施 第1号 上下水道局庁舎建築工事

木内・平井・静鉄特定建設工事共同企業体施工の「上下水道局庁舎建築工事」は静岡市街地の中心に建つ、公共施設(庁舎)・店舗・学校で制振構造を採用した都市型高層複合施設である。

施工精度が要求される中で地下水対策や地下障害撤去等の工夫、鉄骨製作を海外の工場に発注したにも関わらず工程管理・品質管理が出来ている。

市街地の狭小地での仮設計画・作業環境造り・近隣との関わりに配慮し、全体的に難易度の高い施設を見映え良く完成させている事が高い評価を受けた。

【工夫事例】外部環境 ― 地下工事、近隣対策、狭敷地対策
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優良賞
沼津情報・ビジネス専門学校移転新校舎建設工事

鈴与建設(株)の「沼津情報ビジネス専門学校移転新校舎建設工事」はJR沼津駅南方の市街地に建つ専門学校である。

設計コンセプトである「沼津垣」や多目的ホールの吸音性・杭工事等に適切な変更提案と工夫が成され、各工種に於いて高い品質を確保する施工管理は担当者の技術力の高さを感じた。

また、JR東海道線沿いでもあり、近隣とのかかわり、通勤・通学等の歩行者の安全管理を心掛けて地域貢献が成されている。

施設全体としては変更の提案が多く感じられるが、各々の提案が適格と思われ発注者及び設計者とのコミュニケーションも良好に保たれた様子が覗え、見映え良く完成している事が評価された。

【工夫事例】 個別技術テーマ
現場管理

特殊デザイン
地域貢献
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(仮称)土屋呼吸器クリニック 新築工事

(株)橋本組施工の「(仮称)土屋呼吸器クリニック新築工事」は静岡市の住宅地に建つ個人開業医の診療所である。

今回の応募作品の中では一番規模が小さい施設ではあるが、注目されたのは施工管理・工夫・安全管理等が規模の大きい工事と変わらぬ施工体制を敷き、取組の意識の高さを強く感じた事である。

独自の管理票の作成や見える化による品質管理の数値化・充分な近隣対策・安全管理を施し発注者の信頼と信用を得ている。

また、屋内階段の段鼻に畜光材設置の提案や発注者の要望を反映させた品質管理・作業環境造りに数々の工夫が見られ見映え良く完成させた事が評価された。

【工夫事例】 個別技術テーマ
現場管理

特殊材料
安全管理全般、地域貢献
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(仮称)藤枝東公民館建築工事

(株)山田組施工の「(仮称)藤枝東公民館建築工事」は住宅地に建つ藤枝市発注の集会施設(公民館)である。

一般的な公共工事と言う事もあり、安全管理や施工管理を無難にこなし適切に行われている。現場周辺の道路や花壇の清掃等を献身的に行い近隣住民から良いイメージと理解が得られた事や、マイホームセンターとの進入路の共用・近隣地域とのかかわりを良好にしての作業環境造りに努め安全管理と工程管理が成されている。

また、地元企業生産製品を多く採用したり住民とのコミュニケーションを積極的に取り入れ地域密着を計り、地域貢献と品質管理に努め見映え良く完成させた事が評価された。

【工夫事例】 外部環境
現場管理

近隣対策、交通対策
安全管理全般、地域貢献
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特別賞
静岡駅前南町10地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物建築工事

木内建設(株)施工の「静岡駅前南町10地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物建築工事」は別名「駿河スカイタワー」として静岡駅南口に建つ共同住宅・店舗・自動車車庫である。

県内でも稀な免震高層建築物で静岡駅前のシンボルタワーとして各方面から注目を集めている建築物であり、26階建て、2万㎡超の大型工事を地方のゼネコンが単独で完工させた事は、技術力はもとより同社の施工能力の高さが覗え、業界発展に寄与している。

施工に当っては安全確保や工期短縮を計り、ICT技術を取り入れた現場管理による品質の確保、サイクル工程の活用と工夫を凝らし難易度と厳しい条件の中で高い品質を求められた施工に対応、仮設計画や工程管理を最重要課題として長い工事期間中、無事故無災害で出来映え良く完成させた事に高い評価を受けた。

また、静岡駅前南町地区再開発事業としての地域貢献や、今回の応募作品の中では規模・工事金額その他全てに於いて類のない事や別格の事業でもある事から、審査委員の一致した意見で特別賞とした。

【工夫事例】 外部環境
個別技術テーマ
現場管理


近隣対策、交通対策、狭敷地対策
短工期、耐震対策
ICT利用、安全管理全般、地域貢献
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●審査風景