HOME >> 協会からのお知らせ >>第37回(一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞に寄せて
土木部門審査委員長 佐野 貴洋
(前静岡県交通基盤部理事(土木技術担当)、
現静岡県交通基盤部理事(高次都市機能担当))
審査委員会(土木部門) | |
国土交通省中部地方整備局静岡国道事務所 所長 | 篠田 宗純 |
前国土交通省中部地方整備局静岡河川事務所 所長 | 川上 哲広 |
一般社団法人日本建設機械施工協会施工技術総合 研究所 所長 | 真下 英人 |
一般社団法人静岡県土木施工管理技士会 会長 | 中村 嘉宏 |
一般社団法人静岡県建設業協会 協議員 | 望月 克政 |
前静岡県交通基盤部理事(土木技術担当)、 現静岡県交通基盤部理事(高次都市機能担当) | 佐野 貴洋 |
「静岡県建設業協会建設もの創り大賞」は、地域社会の発展に貢献したと認められる優秀工事の功績を讃え、あわせて協会会員の技術力向上の基礎を築くことを目的とするもので、これまで数多くの工事が表彰されてきました。昭和59年に「静岡県建設業協会賞」として創設され、平成27年度からは一般の方々にも表彰内容が伝わり易くなるよう現在の名称になりました。
今回、応募のあった作品には、熟練技能者の減少等により工事現場における技術力の低下が懸念される状況下において、ICT等先進技術の活用やこれまでの経験を活かした創意工夫などで厳しい施工工程や施工条件を克服し、質の高い工事を完成させたものが多く見られました。
全部で17作品の応募があり、地区協会から選任された1次審査員の審査結果と現場担当者の発表を踏まえた審査委員会による厳正な審査の結果、最優秀賞、優秀賞、優良賞及び特別賞計7件を選考しました。
建設業は、県民の生活と経済活動の基盤であるインフラ整備の担い手であるとともに、自然災害の最前線で活動する地域の安全・安心の守り手です。こうした社会的使命を果たしていくために、今後も、建設もの創り大賞の取組が当初の目的を達成していくことを祈念するとともに、土木技術の向上のため皆様のご活躍を期待しております。
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最優秀賞 | 中村建設株式会社 平成30年度 1号新天竜川橋下部補強工事 |
1級河川・天竜川の河川内における橋梁下部補強工事である。3D測量の実施などICT土工を活用し丁張り測量を不要としたことやアーキュリーダンプを活用したことで工期の短縮を実現したことが評価された。また、VR技術を活用し、工事を進行する為の作業員間での意思疎通を容易にするとともに、安全性の向上をも実現させた工事現場である。
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優秀賞 | 鈴与建設株式会社 東名高速道路 富士管内ボックスカルバート塩害補修工事 |
東名高速道路清水インターチェンジ内におけるボックスカルバート補修工事である。交通の安全、渋滞解消や施工中の路面沈下などを考慮し、パイプルーフ工法及び推進工法への工法変更を提案し、同コストで無事故での完成を実現させた。設計どおりに施工することは基本であるが、より良い施工をするのも「もの創り」との観点から他の手本としたい。
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優秀賞 | 中村組・須山・山平特定建設工事共同企業体 平成28年度 浜松市沿岸域津波対策施設等整備事業(海岸)工事(舞阪工区本体施工その2) |
南海トラフ巨大地震対策として平成24年から県が主体となり整備を続けてきた防潮堤工事の最西端エリアとなる舞阪工区3kmを整備する工事である。当初設計からの変更で非常に短い工期となった中、上下同時作業や長期安全対策の工夫、プレキャスト製品の活用などで工期を2ヶ月短縮させ、無事故で完成させたことは評価に値する。解体施工における埋設物と人工物への対処にも技術力の高さを窺えた。
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優良賞 | 土屋建設株式会社 平成29年度 伊豆スカイライン橋梁架替工事(十国橋)に伴う既設橋撤去及び下部工工事 |
伊豆スカイライン起点に架かるπ桁橋における既設橋撤去及び下部工工事である。主要道路の交差する難工事であったが、中央径間撤去における工法変更と、それに伴う安全管理への対応がしっかりと成され、通行規制期間の短縮を実現したことは大いに評価できる。
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優良賞 | 加和太建設株式会社 高区配水場配水池築造工事 |
供用開始から48年が経過し、耐震診断の結果不適合と判断され29ヶ月という長期間をかけて行う配水池築造(建替)工事である。狭小敷地内で工程を検討するなど厳しい現場環境にあった中、地域住民への配慮や地域貢献を行い、工程・品質管理がしっかりと成されていた現場である。
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優良賞 | 平井工業株式会社 平成30年度 葵南市街 第2号 (都)あさはた線街路築造工事 |
静岡市内の日当たり通行量が1万台近くに上る地域の生活道路における市道築造工事である。ライフライン工事などの調整や地域内交通の確保、安全対策を図った分割施工により工期の延長をしてでも、近隣住民への影響を最小限に止めたことは地域建設業の果たす役割として大いに評価できる。
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優良賞・ 特別賞 |
須山建設株式会社 平成30年度 市単独事業 浜北平口サッカー場(スポーツ広場)人工芝改修工事 |
浜松市内の人工芝グラウンド施設における人工芝改修工事である。CIMデータなどを活用し、精度が高く均一な施工が成されていた。また、VRを安全教育に活用し、作業員間での効率的な情報共有も行われていた。ICT活用による施工は、今後の建設業界において必須事項であるとともに、「働き方改革」や女性技術者の活躍促進にもつながる取り組みであり、それが本現場ではしっかりと活用されていたことから、優良賞とともに特別賞として評価できる現場である。
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「土木部門 応募作品」
建築部門審査委員長 遠藤 正幸
((一社)静岡県建築士事務所協会 相談役)
審査委員会委員 | |
前国土交通省中部地方整備局静岡営繕事務所 所長 | 宮下 吉広 |
静岡県くらし・環境部建築住宅局 局長 | 青野 直己 |
(一社)静岡県建設業協会 副会長 | 渡邉 雄二 |
(一社)静岡県建設業協会 理事 | 河津 市元 |
(一社)静岡県建設業協会 協議員 | 豊田 和壽 |
(一社)静岡県建築士事務所協会 相談役 | 遠藤 正幸 |
第37回(一社)静岡県建設業協会・建設もの創り大賞(建築部門)の応募は11作品あり、一次審査を踏まえ現地審査の対象作品を7作品選出しました。
最終審査の結果、最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞4点を選出し、特別賞1点を優良賞から選ぶことが出来ました。
現地審査は、現場担当者とのヒアリング・お施主様が同席された場合には、監督員の対応や使い勝手等の意見もいただき実施しました。一部で協会に所属している施工会社の皆様が私どもと一緒に回られ現場見学をすることが出来ました。施主様のご理解に感謝です。
各建物の完成度はどれも素晴らしいものでした。現場審査ではそれぞれの現場監督が一様に自信と誇りをもって説明していただき、大変うれしく感銘を受けました。
部門の区分けは、施工床面積1,000m²以上をA部門、1,000m²未満及びリノベーション工事をB部門として審査し小規模建築にも目を向ける事としました。最終審査に残った作品は、A部門が5、B部門が2となりました。最終審査で現地審査の点数をつけ集計し意見交換をしましたが、結果的には、集計点数の多い順で賞が決まりました。
今回講評をまとめるにあたり、各審査員の皆様から講評をいただいており、それらをまとめる形で講評とさせていただきます。
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橋本・近藤特定建設工事共同企業体施工の「新斎場建設工事」とします。
設計者のこだわり、使用しながらの工事で予期せぬ出来事の発生等大変な工事でしたが、それらの課題を見事に克服して素晴らしい建物が出来ました。1階廊下の仕上げや特殊照明の制作等モックアップを作成する等施工の創意工夫が見られました。毎年エントリーされますがその都度会社全体での品質管理へ取組も称賛されました。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 狭敷地対策 | 個別技術テーマ | ― | 特殊デザイン | 現場管理 | ― | 地域貢献 |
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大河原建設(株)施工の「袋井駅前(仮称)新産業会館新築工事」とします。
駅に隣接し、資材搬入路も限られた狭い敷地かつ駅プラットホームに隣接という極めて難しい条件が重なった中での工事でした。解体工事を含み8階建てRC造を14か月という超短工期の中綿密な揚重機配置計画を練り、クイックアップ工法などを用いて躯体サイクルの圧縮を図り完成させたことは大変な努力の成果だと思います。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 近隣対策、狭敷地対策、その他(JR近接対策) | 個別技術テーマ | ― | 特殊工法、短工期、特殊構造体 | 現場管理 | ― | 安全管理全般、地域貢献 |
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石川建設(株)施工の「ブライトタウン磐田フレシア新築工事」とします。
JR線路脇での施工や南海トラフ地震範囲内で免振工法の建築物ということで高度の技能が要求されました。鉄筋のTヘッドの採用やN-NT溶接などを積極的に採用し、ものづくりの様々な工夫がなされていました。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 近隣対策、交通対策 | 個別技術テーマ | ― | 特殊工法、地震対策、特殊構造体 | 現場管理 | ― | 安全管理全般、地域貢献 |
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(株)佐藤建設による「港八十三番地増築工事」とします。
現地審査で点数を上げた建物でした。デザイン事務所も入り、店舗部分のこだわり意匠を施工者が粘り強く対応し施主も満足する建物が完成しました。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 交通対策 | 個別技術テーマ | ― | 特殊デザイン | 現場管理 | ― | 安全管理全般 |
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木内建設(株)施工の「静岡県医師会館新築工事」とします。
庇部分を、品質向上の為にPCでの施工を決断して設計者と協議して施工を行った結果品質の良い施工が出来上がっていました。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 近隣対策、交通対策、狭敷地対策 | 個別技術テーマ | ― | 特殊工法、短工期 | 現場管理 | ― | 安全管理全般、地域貢献 |
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平井工業(株)による「県庁東館外壁・屋上防水改修工事」とします。
16階建ての外壁・屋上防水工事という地味ではありますが、必要不可欠な維持修繕工事を、限られたスペース・作業時間の中、内外関係者との調整などに神経を使いながら、万全な安全対策を施した上で、足場の組み立て・解体作業を行い、無事故無災害で完成させたことはお見事としか言いようがありません。大変な工事ということで特別賞を付けました。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 近隣対策、交通対策、狭敷地対策 | 現場管理 | ― | 安全管理全般 |
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(株)浜健施工の「浜松市雄踏総合体育館吊天井落下防止対策及び屋根改修工事」とします。
施設の一部を利用しながらの工事であるため、施設利用者の安全確保に配慮するとともに、作業現場の様子をWEBカメラにより情報共有することで、工事への理解を求めている。
公共工事であるが、過去の経験から発注者、監理者に情報共有システムの利用を提案し、勉強会を開催するなど業務改革に積極的に取り組んでいる。防水工法の見直しのほか、施設管理者から使い勝手に関する意見を参考に、天井の形状変更について提案し、コスト縮減につなげている。特に情報共有システムを積極的に導入し働き方改革を実践する等の取組に対して特別賞を付けました。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 近隣対策 | 個別技術テーマ | ― | 複雑構造物(曲面多角形等) | 現場管理 | ― | IT利用、安全管理全般、地域貢献 |
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