HOME >> 協会からのお知らせ >>第39回(一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞に寄せて
土木部門審査委員長 森本 哲生
(前静岡県交通基盤部理事(土木技術担当)、
現静岡県危機管理部長兼危機管理監代理)
審査委員会(土木部門) | |
国土交通省中部地方整備局静岡国道事務所 所長 | 柳野 和也 |
国土交通省中部地方整備局静岡河川事務所 前所長 | 立松 明憲 |
一般社団法人日本建設機械施工協会施工技術総合研究所 所長 | 真下 英人 |
一般社団法人静岡県土木施工管理技士会 会長 | 中村 嘉宏 |
一般社団法人静岡県建設業協会 協議員 | 望月 克政 |
前静岡県交通基盤部理事(土木技術担当)、 現静岡県危機管理部長兼危機管理監代理 | 森本 哲生 |
「静岡県建設業協会建設もの創り大賞」は、地域社会の発展に貢献したと認められる優秀工事の功績を讃え、あわせて協会会員の技術力向上の基礎を築くことを目的とするもので、これまで数多くの工事が表彰されてきました。昭和59年に「静岡県建設業協会賞」として創設され、平成27年度からは一般の方々にも表彰内容が伝わり易くなるよう現在の名称になりました。
今回、応募のあった作品には、熟練技能者の減少等により工事現場における技術力の低下が懸念される状況下において、ICT等先進技術の活用やこれまでの経験を活かした創意工夫などで厳しい施工工程や施工条件を克服し、質の高い工事を完成させたものが多く見られました。
全部で14作品の応募があり、地区協会から選任された1次審査員の審査結果と現場担当者の発表を踏まえた審査委員会による厳正な審査の結果、最優秀賞、優秀賞、優良賞計8件を選考しました。
建設業は、県民の生活と経済活動の基盤であるインフラ整備の担い手であるとともに、自然災害の最前線で活動する地域の安全・安心の守り手です。こうした社会的使命を果たしていくために、今後も、建設もの創り大賞の取組が当初の目的を達成していくことを祈念するとともに、土木技術の向上のため皆様のご活躍を期待しております。
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最優秀賞 | 株式会社橋本組(島田) 令和2年度 1号清水立体飯田高架橋ONランプ下部工事 |
国道1号静清バイパス内の高架橋の下部工事である。
場所打ち杭の分割施工の検討を行い飛来落下防止及び近接施工による視覚圧迫支障を解消していたほか、BIM/CIMを活用し、工法を見直し、工期短縮及び工費縮減を実現した。また、災害対策やコンクリートの品質管理、地域貢献として特別支援学校生徒の絵画作品を掲示する地域貢献など、各所に工夫がなされていた。
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優秀賞 | 鈴与建設株式会社(清水) 令和2年度清水港外港防波堤(改良)被覆工事 |
清水港の外港における防波堤の被覆工事である。
高水圧下により作業時間に制約ある作業も多い中、3Dモデルによる設計との差の確認やヒートマップによる間詰石の投入箇所の確認、4ブロック制の採用など施工効率を改善したことは評価に値する。
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優秀賞 | 平井工業株式会社(静岡) 平成30年度[第30-P5422-02号] 静清工業用水道事業 上原配水場 配水池耐震補強工事 |
配水場における配水池の耐震補強工事である。
計画・事前調査・設計照査が十分になされ、最適な設計変更になった点は非常に良く、WJ工法の採用やコンクリートの材料分離対策など施工方法や施工管理方法も大変評価できる。柱の増厚を増やしたことで、頂版の補強を見直した点はコスト縮減につながった。
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優秀賞 | 須山建設株式会社(浜松) 令和2年度 1号島田掛川地区法面防災工事 |
国道1号島田掛川バイパス内の法面工事である。
施工条件に合わせて様々な施工機械を選定及び投入しており、施工性を改善しており、ノンステージ工法の採用も良かった。施工管理や周辺住民、環境への配慮がなされていた点も評価できる。
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優良賞 | 加和太建設株式会社(三島) 令和2年度[第32-D7255-01号] (一)清水函南停車場線橋梁耐震対策工事(大場橋P1橋脚耐震補強工)(11-01) |
静岡県発注の橋脚耐震補強工事である。
養生・鉄筋の配筋の検討、トップコンの利用、VRを活用した疑似体験による安全意識の向上、環境対策など施工内容は評価できる。耐震補強による効果や耐久性の向上を図る上で、下地処理と吹付けがしっかりと行われていた。
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優良賞 | 大河原建設株式会社(島田) 令和3年度 駿河海岸榛原工区堤防補強工事 |
海岸部における堤防補強工事である。
計画において課題点を明確にしていた点は評価できる。造成工事の材料を購入材から流用土に変更するという発想、提案が工期短縮とコスト縮減に大きな効果を果たした。また、ICT土工、3次元データの活用も良かった。
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優良賞 | 株式会社アキヤマ(袋井) 令和2年度 天竜川池田地区護岸災害復旧工事 |
天竜川における護岸復旧工事である。
施工計画や管理においてCIMを有効に利用しており、工事への理解や若手の教育にも活用されている。映像や体験を活用した広報活動も行い、建設業への理解促進も積極的に行っていた点も評価できる。
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優良賞 | 株式会社中村組(浜松) 令和2年度 道路メンテナンス国庫補助事業 (一)渋川都田停車場線橋梁補修工事(新田大橋) |
浜松市発注の橋梁補修工事である。
作業員の安全確保と施工の効率化を図る上で重要な足場に様々な工夫がなされていた点は評価できる。損傷箇所に対する対策も行われていた。また、明り取りやLED照明などの対策も有効であった。
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「土木部門 その他の応募作品」
株式会社山田組(島田) 令和2年度 かんがい排水(一般)青木地区頭首工1工事 |
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株式会社橋本組(島田) 令和3年度[第32-V2411-01号]焼津漁港海岸漁港海岸高潮胸壁工事(基礎工)(小川内港地区E-1-1・2区間) |
建築部門審査委員長 井上 泉
((一社)静岡県建築士事務所協会相談役)
審査委員名 | |
国土交通省中部地方整備局静岡営繕事務所長 | 松島 祥郎 |
前静岡県交通基盤部理事(建築担当) | 青野 直己 |
(一社)静岡県建設業協会副会長 | 河津 市元 |
(一社)静岡県建設業協会理事 | 加藤 修一 |
(一社)静岡県建設業協会協議員 | 杉浦 政紀 |
(一社)静岡県建築士事務所協会相談役 | 井上 泉 |
今回の建築部門には、県下11件の作品のご応募を頂き、誠にありがとうございました。
いずれの作品も次の新たな現場を管理しながらの限られた時間の中とは思われますが、普段と勝手が違う「応募作品」としての「なり」を整え、伝えたい主旨をまとめたプレゼン能力を十分に発揮された素晴らしい作品に仕上げられ、高作品が揃ったと感心をいたしました。
その中で協会委員会による一次審査、審査委員会による書類審査を通過した7作品を現地審査対象とし、令和5年2月7日・2月22日の両日に其々の現場担当者や、ご使用される施主とお会いしながら、各60分という短い時間の中で竣工建物を拝見しながら、丁寧なご説明を頂きました。
訪問先では業務をしながらのお忙しい処、審査にご協力頂き感謝申し上げます。
厳正な審査の結果下記の作品を選出し、賞を授与することといたしました。
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最優秀賞 | 木内・渡工特定建設工事共同企業体(静岡) 令和元・2・3・年度 裾野市長泉町衛生施設組合新火葬施設建築工事 |
意匠に力を入れられ、こだわりのある設計に対し、JVによる施工業務の分担が其々大変よく機能され、素晴らしい結果を導けていると思われる。
特筆すべきは「杉型枠」の打放し仕上げをモックアップによる検証を繰り返し、7mの高さの壁の表面・打継・角仕上に設計意図が表現された綺麗さに目を見張るものがある。
更にエントランス庇・天井廻り・建具廻りといった各処のディティ―ルは施工図段階での各職種との打合せの成果が際立ち、建物としての見ごたえを十分感じさせることができ、建物の価値を高めたことを大きく評価した。
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優秀賞(A部門) 特別賞 |
平井工業株式会社(静岡) 株式会社オーケイコーポレーション水産加工施設建設工事 |
土留め壁高さを十分検討し、その後の基礎・地盤改良時の安全性を高め鉄骨建方の重機配置を効率よくする施工手順、更に無駄のない仮設計画を実施することで、コスト削減・工期短縮の工夫に繋がったと思われる。施工全体のマネジメントのバランスがとれ高く評価できる。
ゆえに“施工管理の創意工夫”として特別賞も獲得した。
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優秀賞(A部門) 特別賞 |
常盤工業株式会社(浜松) 常盤工業株式会社 本社改築工事(事務所棟) |
時代に先駆け、自社屋においてNealyZEBを達成させ、地下水・太陽熱・自然換気・自然採光・躯体蓄熱・屋上緑化の様々な技術を導入したZEBの検討時の参考モデルとなり、実証実験的建物を積極的に自ら建築したことを評価できる。
また敷地内に金融機関を誘致したり、社屋を青少年育成施設としての利用できるよう開放している点など、地域活性化と社会貢献にも寄与した建物である点も評価できる。
ゆえに“エネルギー環境対策、狭小地利用”として特別賞も獲得した。
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優秀賞(B部門) | 須山建設株式会社(浜松) 株式会社小澤土木事務所新築工事 |
狭い敷地内での工事を仮設計画、コンクリート施工計画、鉄骨施工計画時にBIMを活用し効果的な施工体制構築ができた状況を評価した。
今後BIMの導入から活用への実証として参考になった。
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優良賞(A部門) | 株式会社橋本組(島田) 令和元年度 焼津市ターントクルこども館建設工事 |
施工敷地は主要道路の交差点に位置し、通行人・工事車両などの安全対策に配慮しながらの施工であった。
インターンシップの受け入れ、現場員への女性の配置などこれから必要となる人材育成にも積極的に取り組んでいる姿勢を評価した。
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優良賞(A部門) | 石川建設株式会社(袋井) 令和2年度 農林環境専門職大学学生寮新築工事 |
三角形の敷地の中庭に張り付けるような建物計画であったので、工事スペースがない処を逆手に取り、有効に中庭部を工事に活用して、建物の一部を後施工とし進入路を確保するなど、施工計画・仮設計画には多くの工夫が見られた。
設計の重視された意匠であるバルコニーへの“こだわり”にも的確に対され、十分な検討を重ねた上での施工技術の高さは評価できる。
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優良賞(B部門) | 小野建設株式会社(三島) レクサスCPO三島社屋新築工事 |
ウッドショックの時期と施工時期が重なり、入荷期間と店舗オープンのタイトな工程で苦悩されたようだ。
施主側からの木材仕様の希望を最後まで守り、結果施主のイメージしていた店舗作りに貢献出来、満足感を与えられたことは、施工者冥利に尽きその役割は大きい。
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「建築部門 その他の応募作品」
株式会社山田組(島田) 令和2年度[第32-Z1181-01号]中央児童相談所新築他工事(建築) |
第39回“建設もの造り大賞(建築部門)”の審査が無事に終了し、まずはホッと安堵しております。受賞された皆様は誠におめでとうございます。
其々の現場でのご苦労や膨大な検討時間を知ると、安易に甲乙付け難いものであることがわかり、素晴らしい仕事で施主(発注者)が満足していることが大切であることも今回再認識しました。
プレゼン資料作成の難しさをよく会員の皆さんから伺います。「限られたA3 12枚でどうすれば審査員の目に留まるのか?」
私たちは出来る限り丁寧に内容を読ませて頂き、工事規模の大小に関わらず添付写真や図面から創意工夫点を読み解く努力をしています。 それでも申し訳ないのですが、十分現場の状況を理解できていない点はあると思います。特に書類審査では応募者には質疑も出来ず、その提出された書類から一方的に判断をしています。
私は建築士として施工者と一緒に“もの造り”に取組み、世に新しい建物を生み出す仕事をしています。
そこには設計図という共通理解できる図面=指示書が必ずあります。
現場の一歩は、施工する皆さんが「それをどうすれば、そのイメージ=意匠となるか」を解釈し、より良い方法があるか検討する処からすべて始まります。
そして施工者皆さんの経験に裏打ちされた高い技術や、創意工夫が加わり、図面から実在する建物が姿を現す“もの造り”が出来るのです。
そこで『設計の目的が何であるのか』『この意匠や構造をどのようにして図面から形にしたか』など設計意図の解釈での工夫や苦労点を、応募添付資料で載せて頂ければ、より正確に現場状況にも踏み込める資料として、多面から応募書類を見させて頂けると思います。
次回は第40回の“建設もの造り大賞(建築部門)”が予定されています。
会員の皆様には奮って応募くださるようお待ちしております。