バブルの残り香の有った頃は、社会的身分も低く(新入社員等)その恩恵を享 |
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受出来たとは思えず、ただ、もうすぐ順番は廻ってくるぞと思いながら働く毎 |
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日。私の家系は建築の仕事にたずさわり四代目になります。会社組織にしたの |
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は私の父、その前は、職人を抱える大工であり、いわゆる棟梁の家系でした。 |
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長男であった私は、この業界の多くの二代目同様いくつかの衝突は有ったにせ |
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よ自然と家業を継ぐこととなり、先代も、この家業を継がせることに誇りを持 |
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っていたでしょう。“外の飯を食う”意味で東京に就職をして先ほどの、“バ |
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ブルの残り香”を味わったわけです。新聞には、“戦後最大の○○景気をしの |
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ぎました”の文字を覚えています。ある意味この景気がずっと続くと信じなが |
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ら、「きっと何処かでツケがくるのだろうな。」と、漠然と感じていました。 |
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バブルは当の昔に消え、“異常な時代”・不況は、実は何の異常でも無くそれ |
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を受け入れなくては何も出来ない“日常”になり会社単位のリストラ、会社運 |
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営の見直し、とにかくこの何年かはこの業界に限らず、色々な事をやったはず |
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です。この建設業界も行政との関わりの中システムの変更、見直し等を行政に |
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働きかけお互いの利益のため試行錯誤の日々だったと思います。しかし、中々 |
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良い方向に動いているようには思えません。ダンピングによる低価格の受注が |
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当たり前の中、先代たちの常識は、現在の非常識になり、マスコミによる報道 |
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では、ダンピングは市場原理によるもので、“この結果、○○億円節税できま |
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した。”との記事が報道され、先代たちの“知恵”は、“犯罪集団の行い”と |
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して市民に伝えられました。 |
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先日、神奈川県横須賀市で入札制度の変更が記事として、新聞に出ていたの |
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をご存知の方も多いと思いますが、私は少なからず期待しています。この制度 |
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がうまく作動すれば、少なくとも極一部の企業によるダンピング受注には効果 |
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があるのではないでしょうか。建設業は、その成り立ちからして、行政との関 |
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わりは深く発注者側の制度は、そのまま、我々建設業者に影響をおよぼしま |
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す。先にもふれましたが、“行政・建設業双方の利益”の為の制度・システム |
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作りは、今後も続けなければいけないと思います。 |
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職業は、“衣・食・住”に関連していれば、少なからず、安全だと思ってお |
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りました。確かに、職業として無くなる事は有りませんでした。しかし、その |
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様変わりはどの業界も凄まじい物を感じます。“ユニクロ・吉野家・回転す |
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し・そして住宅産業”など薄利多売・大量生産・大量消費を柱とする方向。 |
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“ブランド品・高級食材・高級住宅・高級マンション”付加価値が付き高いと |
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判っていても欲しいもの。この二極化がこの時代の中で進んではいませんか? |
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気が付いた時に私達はどちら側にいるのでしょう。もしかしたら、もう、居場 |
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所が無いのでは? |
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この大きな時代の流れの中で、建設業界、まして、自分の出来る事はあまり |
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に小さく、弱い、しかし、この時代の流れの中、何時までも沈む事無く、“次 |
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の世代にこの仕事の素晴らしさ、この仕事の必要さ”を伝えなければ。 バブ |
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ルも、不況も紛れもない現実であり、その時代に生きる為には、変わって行く |
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のが当たり前で、変われない物が沈んでいく。百年前の曽祖父が今を見たらど |
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うだろう、先代の常識はもはや非常識。今の私の常識は、何時まで常識でいる |
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ことが出来るやら。さて、“沈まない為にもまだまだ変わらなくては。”と思 |
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う今日この頃です。 |