松崎町石部(いしぶ)地区の集落入口から山に向かって約1.5km登ったところ、標高120m〜250mの範囲に石部の棚田が広がっています。平坦な農地がないため、傾斜を開墾し、一つひとつ石を積み上げながら何百年もかけて築かれたものです。棚田の枚数は約千枚。総面積は10ha(ヘクタール)に及びます。現在、耕作されているのは2ha、時代とともに除々に耕作面積を減らしていますが、平成11年「静岡県棚田等十選」に指定されたのをキッカケに、棚田を見直す気運も高まり、区長だった高橋周蔵さんは、修復に走りました。「バブル期に民宿経営に移った人たちを戻すのではなく、オーナー制度で棚田を管理するグリーンツーリズム組織を立ち上げました」。農作業体験をとおして、すべての人が笑顔になれる「百笑の里・赤根田村」が14年5月に開村し、交流棟や水車小屋、農道などが農水省のふるさと水とふれあい事業で整備されました。今年は79口のオーナー申し込みがあり、すでにりっぱな穂が実りました。次期は11月1日から来年2月末まで募集されます。
9月下旬の収穫には、1反(10a(アール))で450kg〜500kgの成果が得られます。
高橋さんは、「自分の世代で何かできることはないか」と奮起し、事業が5年目を迎えるころには、形になりはじめ、「訪れる人が『とてもきれい。ほっとする』と言われるのがうれしいですね」と胸をなでおろした。 |