今から40年前 大学入学と共に私の一生一代の転機がやってきました。それは空手道という素早い動きを見て、その動きに魅了されてしまったのでした。小さい頃から体が弱く、貧弱な少年期を過ごしてきた私に“強くなりたい・大きくなりたい”という思いが、人一倍強かったからだと思います。
大学4年間という期間は、鬼も怖がる空手部に籍を置き、明けても暮れても稽古稽古。追い付け、追い越せの厳しい練習に、大半の部員も去っていったものでした。
70名近く入部した同期生も結局6名になってしまった程でした。縦割りの社会で、1学年違っただけで、神様と奴隷の差とまで言われ、それはそれは厳しい世界でありました。
卒業と同時に家業を継いだ私に、近所の若者達から「空手道を教えてください!」と言われ、一瞬戸惑いを感じましたが、引き受けることを決断し、これまで長年指導して参りました。国体選手あるいは国際大会参加選手と優秀な選手も育ち、今思えば順風満帆な私であったと思います。今年も元旦マラソン奉納演武とわが身を奮い立たせ、身術を心術に教えを導いてきましたが、これからも正義感の強い少年少女を育てていきたいと思っております。
最後に自分なりの信条を記して、これからの若者に期待したいと思います。
1) “徒手空挙” それは何も持たないで我が身を鍛え磨くものである。
2) “空手に先手無し” 自分からは先に手を出さない。
3) “回転運動を直線運動にする” それが空手道である。
4) 理屈なき技は心術に繋がらない。
5) 心眼に妙味あり 禅を忘れるな。
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