1919(大正8)年に別荘として築かれ、非公開の岩崎別荘、今はなき住友別荘とならび、「熱海の三大別荘」と賞賛された名邸が基となる起雲閣。
 1947(昭和22年)には、旅館として生まれ変わり、太宰治・山本有三などの多くの文豪たちにも愛されていました。
市街地とは思えない緑豊かな庭園。日本家屋の美しさをとどめる本館と離れ、日本、中国、欧州などの装飾、様式を融合させた独特の雰囲気を持つ洋館。
 2000( 平成12)年より、熱海市の所有となり、当市の文化と観光の拠点として多くのお客様を迎えています。

 豊かな庭園は昭和の時代、 " 鉄道王 " の異名を持つ実業家、根津喜一郎の手により整えられました。
 茶人としても知られた根津氏自らが采配を揮い、推定20トンの巨石を20人の庭師で2ヶ月近くをかけて運んだといわれています。
 庭園に面した喫茶室「やすらぎ」で見学や催し物の合間に落ち着いた雰囲気を楽しめます。

 根津喜一郎により1932(昭和7)年に建てられた洋館。

 日本の神社や寺に見られる建築的特徴や中国的装飾、アールデコが彩る  " 玉姫 " と、中世英国のチューダー様式を用い、" 床の間 " 的な空間やサンスクリット語の装飾をあしらった”玉渓 " が独特の雰囲気を放っています。

【アールデコ】
1910年代から30年代にフランスを中心に流行した美術工芸の様式。単純・直線的なデザインが特徴。
【チューダー様式】
15世紀末から約1世紀続いたイギリスの建築様式。この名はヘンリー7世からエリザベス1世までイギリスを支配したチューダー朝(1485〜1603)に由来する。
【サンスクリット語】
古代インドの雅語、文章語。中国及び日本では梵語とも言う。

 1929年、根津喜一郎によって建てられた洋館では、格調高い迎賓の雰囲気があふれる ”金剛 " が、かつての栄華を今に伝えています。
 甘美な趣をたたえる”ローマ風浴室 " では、かつて舟橋聖一が”孔雀”で執筆し、溝口健二が監督した「雪夫人絵図」の撮影も行われた。

 起雲閣ではこの他にも、展示室・貸出施設である音楽サロン・ギャラリー・和室が有り、いろいろなイベントや会議などで使われております。
 緑豊かな庭園を備えた三千坪に及ぶ敷地。大正・昭和のロマンを残す建築様式。数多くの文豪たちにも愛された名邸が、次代へ伝え次ぐ熱海の文化遺産であります。

 是非一度熱海 《 起雲閣 》 へお越しくださいませ。


起雲閣 案内図

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