四十の手習いは「腕相撲」
河津建設(株) 比田井 高廣さん(下田協会)
腕相撲とは
みなさん腕相撲というとどんなイメージを持っているでしょうか。
昔、学校の休み時間教室の机の上で、また飲み会の余興でやったことがあるのではないでしょうか。その腕相撲は、「肘を動かすな」「手首を最後まで曲げるな」「体重をかけてはダメ」というような暗黙のルールがあり、腕倒しで力の強いものが勝つ力比べなのです。
また近年国際ルール化されたアームレスリング=腕相撲と思っている方も多いのでは無いでしょうか。
腕相撲の歴史
腕相撲の歴史は古く、昭和3年腕相撲を近代スポーツとして築き上げた創始者の現日本腕相撲協会会長山本哲也氏の祖父山本哲先生が「横浜腕の会」を発足して以来80余年が経ちます。その精神・理念は今も受け継がれています。
日本腕相撲協会の腕相撲
ここで日本腕相撲協会の腕相撲のルールをご紹介します。
- 土俵(腕相撲台)面上から外に出たり浮かない限り、肘は自由に動かせる。
- 手の甲が、土俵面に付くまで勝敗を決しない。故に最後まで力を出し切ることが出来、劣性になっても挽回する機会が十分与えられる。
- 四十八手に及ぶ多彩な技を有す。
- 上半身の動きに合わせ、足、腰も前後左右に動かし、下半身もしっかり踏ん張る「全身運動」である。
- 技とスピードが生きる腕相撲であるため、力の弱い者でも、強い者に勝つことができる。
どうですか、みなさんがイメージしている腕相撲と違うでしょう。
私の出会い
腕相撲との出会いは5年前ある人物と出会ったことです。
彼は体育館の天井から下がっているロープを、腕の力だけで10m以上も上へ登っていきました。びっくりした私が尋ねると、腕相撲で鍛えているからとのことでした(腕相撲?)。
少々腕っ節に自信のあった私は、さっそく道場へ出向きましたが、その自信をことごとく粉砕されました。そこには60歳になろうかと思われる色白の老紳士がおられました。普通と違うところは、やけに発達した大胸筋とそこに浮き出ている血管でした。
その老紳士、篠原旭支部長に稽古をつけてもらいましたが、倒そうと思い渾身の力を出すものの、にこにこしながら私の力を楽しむように受け、決して攻撃はしてきません。最後は力尽きて「お願いします」と言って勝負をつけてもらう状態でした。その日の帰り車のハンドルを持つ手がプルプル震えて自分のものでは無いように思えたことを思い出します。これが私の腕相撲との出会いでした。
これからも「継続は力也」の理念で
以後年齢のことも考えず毎週末道場に通い、私を誘った荒井副支部長(六段)のやさしいしごきに耐え今日に至ります。年1回東京で行われる昇段審査も4年間で四段と、若い人達の中に混じりながらも順調に段位を取得できたことは、篠原支部長はじめ道場に通う道場生みんなのおかげかと思っています。
四十の手習いで始めた腕相撲ですが若い人達にも負けない気持ちを持ち「継続は力也」の開祖の理念をもってこれからも続けていければ幸いかなと思っています。