「起源は奈良時代、大正の終わりに蘇る」
天城を越え、河津町ののどかな里山の風景が広がるなかに、東洋一の大噴湯がある。 大噴湯の歴史は今から1200年前、奈良時代まで遡る。
そのころ、この界隈には霊泉が湧き出で、菖蒲やカキツバタなどが咲き乱れ大変な美しさであったため「花田の湯」と称されていた。多くの名僧や武士が浴したと伝えられるが、荒廃し「花田の湯」は伝説となってしまう。その後、幾人もの篤志家が伝説を蘇らせようと見果てぬ夢を描き掘削を試みるが、叶うことはなかった。
時は過ぎ大正11年、この地に住む稲葉時太郎が命の危機に幾度もさらされながらも掘削を進め、大正15年11月22日正午、ついに大空を突く大噴湯を蘇らせた。
当日案内して下さった長田雅彦さんは「巷の間欠泉とは違い、大噴湯は本来常に毎分600リットルの源泉が地上30メートルに達する勢いで噴出している。常に温泉が噴出しているだけでも珍しいが、これだけの湯量が30メートルの高さまで噴き上げている光景は河津町でしか見られない大変貴重なもの。運がよければ虹が架かかった大噴湯も見る事ができる」と話す。
大噴湯は大正15年の復活以来80年あまり1日も休むことなく噴き上げ続けていたが、24時間365日噴き上げっぱなしだと近隣住民の生活の妨げにもなるため、やむを得ず噴き上げを止めることとなる。
さらに時は流れ平成21年2月1日、地元有志の尽力により、火・金曜日を除く週5日、1時間おきに各1分間だけ噴き上げさせる条件で、みごと大噴湯の復活となった。わずか1分間の噴き上げとはいえ、ドドーンドドーンと大地を突き上げる轟音を響かせながら地上30メートルまで噴き上がる雄姿には、人工の噴水とは全く違う、地球の生命力を感じさせる迫力がある。
「大噴湯公園開園」
そして今、大噴湯は河津町下峰区が運営する「峰温泉大噴湯公園」となり、大噴湯だけではなく、足湯、あったかベンチ、囲炉裏風保温卓、売店など、大噴湯を訪れる人たちがより楽しむことができる施設が併設されている。大噴湯の源泉掛け流しの足湯に浸かりながら大噴湯を眺められるのは世界でもここだけである。足湯は、バラの季節には近所の人がバラを持ち寄り、「バラの足湯」になることもあるそうだ。
さらに、大噴湯の横に設置された「大噴湯たまご作りコーナー」では、なんと大噴湯の源泉掛け流しでゆでたまごを作ることができる。売店で2個100円のたまごを購入すると調理用のかごを渡され、ゆで上がり時間の目安を教えてくれる。たまご用湯船に入れて待つこと11分。温泉のほのかな塩味がついたゆでたまごを味わえる。殻入れは売店の店員さんがチラシ等を折って手作りしており、ほのぼのとした雰囲気を演出している。桜祭りの季節には最高で1日1800個(!)の大噴湯たまごが売れたこともあるという。
「大噴湯でお燗、という豊かな時間」
大噴湯たまごや足湯以外にも温かい楽しみはまだある。
冬場は公園内に設置されたベンチの一部に大噴湯のお湯を通し、「あったかベンチ」として開放し、楽しまれている。
また、売店横の机は囲炉裏風保温卓で、天板を開けるとくぼみになっており、大噴湯の源泉を掛け流せる仕組み。大噴湯たまごが出来上がるのを待ちながら、売店で買った缶入りのお汁粉や甘酒をじっくりお燗する。そんなゆったりとした時間を過ごせる場所である。
「清涼感満点!甘夏ジュース」
初夏は河津町産の甘夏を使用したみかんジュース(300円)を販売する。河津町産の甘夏を丸ごと2個搾って作るジュースは、あふれる酸味を清涼感のある苦味が引き締め、とてもさわやかな味わい。味と鮮度にこだわるため、1日30杯限定で、甘夏が最も美味しい5月から7月までの限定販売。
夏はソフトクリームやかき氷が好評。特にソフトクリームは伊豆半島名産のわさびを使用した「わさびソフト」を販売しており、爽やかな甘さと香りを楽しめる。
「奮闘・噴湯・フントー君」
大噴湯の側には大噴湯のイメージキャラクター「フントー君」が立っており、地元の人や訪れる人々に親しまれている。フントー君は全国からの応募作品180点のなかから選ばれ、勢い良く噴射する「大噴湯」と何事にも全力で努力する「奮闘」をかけて名づけられた。
世界一の、世界に一つだけの大噴湯を観て、入って、間近で浴びて、そして食べる。温泉をここまで多彩に楽しめてそのうえ入場無料の施設はなかなかないだろう。伊豆半島にご旅行の際はぜひこの地に立ち寄って、大空を突く温泉を「見上げる」体験をしてみてはいかがだろうか。
所在地: | 賀茂郡河津町峰446-1 峰温泉大噴湯公園 |
入園料: | 無料 |
開園時間: | 火・金曜日を除く9時〜16時。 |
(交通) | |
公共交通機関: | 伊豆急行線「河津駅」より徒歩30分、バスの場合は5分(峰温泉バス停下車) |
自家用車: | 東名高速道路沼津ICから国道136号線・414号線を下田方面に約1時間30分 |
《問い合わせ先》
河津町観光協会〒413-0512 賀茂郡河津町笹原72-12 [地図]
TEL: 0558-32-0290 FAX: 0558-34-0864
ホームページ: http://www.kawazu-onsen.com/event/funnto/funnto.html