「果てぬ村のミナ」とまちの活性化―水窪町にスポット―

浜松市の最北端水窪町には国指定の重要無形民俗文化財「西浦田楽」をはじめ、秋葉街道・塩の道に由来する史跡や町並み文化、方言などが今も人々の暮らしの中に根付いています。

こうした特色ある水窪町をロケ地とし、失われつつある山村の原風景をはじめ、独自の言語や文化を後世に残したいという強い思いで創られた映画が「果てぬ村のミナ」。物語は60年ぶりに奥深い山村に神菜(みな)が帰ってきたシーンから大きな展開を見せます。

この映画は2012年12月からの地元上映に続き、遠州各地で上映会を行なっています。公式ホームページ:www.hatenumura.com

「果てぬ村のミナ」完成ポスター
▲「果てぬ村のミナ」完成ポスター

ところで、このロケの話が持ち込まれたことをきっかけとして生まれたのが「みさくぼ・ミナの森プロジェクト」。地域の商店主など10数名がみさくぼの良さを再発見し、賑わいと交流のまちづくりを進めようと立ち上がりました。町並みを生かし、訪れる人と地域の人がふれあえる喫茶店や宿場としての賑わいのある集客施設など、メンバーが日々集まり、町の将来を熱く語り合っています。

会長の田辺忠男さん{左}と水口利昭さん

水窪のまちづくりについて熱く語る「みさくぼ・ミナの森プロジェクト」会長の田辺忠男さん{左}と水口利昭さん。田辺さんは映画にも出演し、水口さんは映画の中に数多く出てくる地域独特の方言の指導しました。

また、2005年に廃校となった旧西浦(にしうれ)小学校の学校施設を改修し、町の歴史文化はもとより広く遠州地域の文化をこの地から発信し、新たな地域交流振興拠点として整備されたのが「ミナの森」。先人から受け継いだ資源の発掘やその魅力を提供することで地域に活力を生み出すプロジェクトです。

また、中山間地域のみにとどまらず、静岡県、さらには全国規模での地域間交流を図ることで大きなうねりを創り出し、日本全体を元気にすることも目的としています。

▲ミナの森(旧西浦(にしうれ)小学校)
施設内では地域の物品などを展示・紹介している
地域活性化プロジェクト「ミナの森」ホームページ:http://www.minanomori.com/

ふれあいと温もりのあるまち、そして「みさくぼまつり」に代表されるこの地の人々のエネルギーが、新たな地域の活性化につながることを強く願っています。

さて、「みさくぼまつり」とともに町の人々のエネルギーを強く感じるイベントが恒例の「国盗り綱引き」。1987年以来毎年秋のひと時に、静岡と長野の県境をかけて浜松市天竜区水窪町の遠州軍と飯田市南信濃の信州軍が戦う綱引き合戦です。合戦は標高1168メートルの兵越峠国盗り公園で行われ、勝ったほうが1メートル県境を相手側に移動できる(行政区分は変わりませんが)というユニークな仕掛けもあって、全国的に知名度が高い町おこしイベントとなっています。

「国盗り綱引き」の様子
▲「国盗り綱引き」の様子

また、このイベントから名前をとった道の駅「国盗り」には水窪町内の生産者が出荷する野菜など地元の名産品、工芸品が並んでおり、観光客などよりどころとなっています。

深海ナマコ 写真提供:沼津港深海水族館 道の駅「国盗り」
▲道の駅「国盗り」

さらに水窪町には、標高420メートルの通称三角山の山頂に室町時代後半、奥山氏によって築城された高根城址があり、ここからは町の中心部や北遠江と南信濃の結ぶ主要街道を一望できます。この高根城は信遠国境警備を目的として築かれており、現在では井楼櫓、城門、柵条などが復元されています。

高根城址
▲高根城址

以上のように、水窪には奥深い山々に育まれた木と歴史と食文化、支え合って生きている人々、そして輝く笑顔が溢れる町並みが残っています。ここには日本人のふるさとを感じさせてくれる「確かな豊さが」あります。

〜水窪町にお越しの方は〜

  • 東名高速道路  浜松I.Cより 約120分
  • 新東名高速道路 浜松浜北I.Cより 約90分
  • 中央自動車道  飯田I.Cより 約180分
    電車・バスでお越しの場合
  • 最寄り駅 水窪駅(JR飯田線)
水窪地図
▲水窪地図