静岡県の掛川駅は、新幹線が停車する駅としては、唯一、木造駅舎が残っている駅として、一部マニアの間では有名(?)である。
北口が木造駅舎であるのに対し、南口は近代的な装いをこらした駅舎である。今回は、あえて南口、それも直立擁壁のレリーフにこだわってみた。
南口、新幹線側駅舎を中心として東西二百九十メートルのコンクリート擁壁がある。そこに、昔の東海道を見立てて、スピード、時間、歴史等をテーマとし、川、波、坂、四季の花、なんと日時計(壁に取り付けられている)、鳥等のレリーフが施されている。
東(東京方面)から、西(大阪方面)へと、歩いてみよう。
「大井川」
穏やかな波を表現しているという。休息と安らぎの空間が目を楽しませてくれる。
「小夜の中山」
曲がりくねった街道、日坂の山並み、小川のせせらぎ等が、丸瓦、玉石、ビー玉で表現されている。中央右に見えるのは、子生まれ石を立体で表現している。
「ねむの木学園の子供たちの絵」
鮮やかなモザイクタイルで描かれた三つの作品も素晴らしい。
「天竜川」
逆巻くしぶきが縄模様でダイナミックに型取られ、ビー玉やガラスモザイクで描かれた古代の魚や、虫が楽しさを彩る。中央のステンレスの針と真鍮の文字盤は、日の光を受けて美しくきらめく。
今回は、掛川駅のほんの一部に触れてみた。駅には、人々の多くの思いがこもっている。外出するにはいい季節。遠くに出掛ける事もいいが、自分達の身の回りにある隠れた名所、小さな旧跡を訪ねてみる事も、いいかもしれない。
- 参考「東海道新幹線掛川駅建設記念誌」