ちょっと紹介特別編

囲碁は宇宙である
~熱海の若者に碁を普及させたい~

小原工業株式会社(熱海市)

会長 小原稔雄


小原工業(株)会長の小原稔雄さんは、2年前に大動脈瘤で手術をしました。歌舞伎が好きだったためか、無意識の中で「これから人生の第2幕が始まる」と言ったそうです。今は、毎日5000歩の散歩をしています。会社では社長を降りたとき、「一兵卒として会社を支える」と宣言、今も現場に足を運んでいます。そんな小原さんのもう一つの顔は、熱海囲碁協会の会長です。協会事務局長の細田光昭さんが「死ぬまで会長を務めるでしょう」と言うくらい、深く信頼されたバイタリティーのある会長なのです。囲碁の話になると、声が一段も二段も大きくなります。熱海を愛し、囲碁を愛し、囲碁を通じて熱海の振興を願うのが小原さんです。

囲碁の普及目指して

碁石を打つ小原さん
▲碁石を打つ小原さん

私自身は、アマ7段です。実力は6段くらいでしょうか。昭和7年の生まれで、81歳になります。

「熱海囲碁協会」の会員は約60人で、市役所の職員もいます。

囲碁クラブの看板です(このクラブが協会事務局になります)
▲囲碁クラブの看板です
(このクラブが協会事務局になります)

熱海のPRを基本として、囲碁の普及のため、いろいろな取り組みをしています。

4年前に開かれた関東甲信越以後大会(県囲碁連盟主催)は、協会が主管しました。その時、1都9県のプロ、アマ棋士合わせて約100人を熱海に集めました。

また、昨年は、協会設立5周年イベントとして、10月に「熱海市民囲碁フェスタ」を起雲閣で開きました。小川誠子6段、新海洋子5段、中村邦子2段の女流プロ3人を招いて、熱海市民とプロとの囲碁大会などを行いました。これら女流のみなさんは「こんなに楽しい碁は今までなかった」と言って喜んでくれました。

また、棋聖戦(主催、読売新聞社、日本棋院、関西棋院)への参画のほか、熱海梅まつりに合わせた囲碁大会も開いています。

ことし2月の棋聖戦で(左から3人目が小原さん)
▲ことし2月の棋聖戦で(左から3人目が小原さん)

きっかけは戦死した父の荷物

戦争末期、父は技術者として応召されて、サイパンで玉砕しました。父がサイパンに行く前の晩のこと、ダンボールだったか、紙で何かを作っていました。碁盤だったのです。囲碁の素晴らしさを父から教えられました。それから、囲碁というものにはまりました。

クラブでは毎日真剣に対局が行われています 会員の札が下がっています
▲クラブでは毎日真剣に対局が行われています ▲会員の札が下がっています

囲碁は人の命を支える特効薬

チームAquariousのトライ。右下はフォーゼのフィギュア
▲インターネット碁もできるように
パソコンが置いてあります

このクラブの会員で余命半年と宣告された方がおられました。その方はそれから5年間も生きました。

父のこともそうですが、囲碁は人間の命をぎりぎりまで支えてくれます。漢方薬ではなく特効薬であります。実生活でいかに有効か、いかに良いものであるかを知ってほしいと思っています。

囲碁をすると、すごい発想ができます。この狭い碁盤は宇宙と同じなのです。コンピューターでも答が出ません。無限の創造ができるのです。

手ほどきを受ける佐野茂樹総務・広報委員
▲手ほどきを受ける佐野茂樹総務・広報委員

若い人に伝えたい

お隣の韓国では、「男の子はまず碁会所に行きなさい」と言われているそうです。土壌、土台が日本とは違いますが、日本でももっと若い人たちに囲碁の素晴らしさを伝えたいと思っています。

今後、子どもたちに囲碁を教える機会を設けようと、小学校に働き掛けようと考えています。

わたしの一族は、子どもから孫まで全員、碁を打ちますよ。

小原さんと共に協会を支える常任顧問の太田次伸さんと、顧問の石川遥風さん(中央)
▲小原さんと共に協会を支える常任顧問の太田次伸さんと、顧問の石川遥風さん(中央)