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年頭所感

協会会長伊藤孝
一般社団法人静岡県建設業協会
会長  伊藤 孝

新年のごあいさつを申し上げます。
 会員各位並びに関係の皆様方には、旧年中は当協会のためにご尽力を賜り、深く感謝を申し上げますとともに、あらためて敬意を表します。

2013年は、一昨年暮れの政権交代によって、建設業界を取り巻く環境に幾筋かの光が差し込んだ年になったのではないかと受け止めています。振り返りますと、国全体で見れば、昨年度末の大型補正予算はじめ、円安による企業業績の回復、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定、国土強靭化基本法の成立などがすぐに挙げられます。これらが光の筋ではなく、日本経済の確実な回復につながる、あまねく光となってほしいものだと考えます。

静岡県内を見ても、大きな出来事がありました。やはり、何をおいても富士山の世界文化遺産登録の実現です。富士山の文化的な価値が世界に認められたということで、県民として喜ばずにはいられません。
 一方、第4次地震被害想定が1次、2次にわたって示されるとともに、想定に基づいた対策を掲げた「地震・津波対策アクションプログラム2013」も同時に発表されております。浜松市の海岸では防潮堤の建設が始まりました。県内の海沿いの市町では津波避難タワーの建設が急ピッチで進められました。あらためて地震・津波対策の着実な実施が求められるところであります。

当協会は昨年、災害対策基本法に基づく指定地方公共機関に指定され、県の防災会議のメンバーにもなりました。これは、当協会と会員企業の皆様方のこれまでの活動実績が認められたものといえます。あらためて地域の安全・安心を守る役割と責任をしっかりと自覚しなければなりません。

震災復興、地震・津波対策、インフラの老朽化対策が急がれています。またオリンピック施設の建設などの新たな需要が現れてまいりました。しかし、こうした急激な需要の増加は、わたしたち建設業界にとって喜ばしいことばかりではありません。
 既に建設業の担い手不足は始まっています。このままいけば、建設業就業者が2050年には、1995年のピーク時の63.7%減の240万5000人になるという予測があります。ベテランは退場し、若者は来ない。技術・技能の伝承も困難になります。大きな需要を担うべき人が足りなくなるという懸念があります。建設業を担う人々は、ただ頭数が合えばいいというものではなく、技術・技能を身に付けた「人材」でなければなりません。そのような「人」は一朝一夕に得られるものではないのです。たいへん急務な課題といえるのです。

国土交通省がまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2012」の中では、発注者の責務は、工事の品質だけでなく、地域社会の担い手を確保することにもあると指摘しています。これに応えるように公共工事の入札・契約の適正化の促進に関する法律、公共工事の品質確保の促進に関する法律、建設業法の3法について改正し、担い手確保への配慮を盛り込む方向が示されました。今後の動向に多いに期待をしたいところです。

わたしたちは、これからも将来にわたって地域の安全・安心な暮らしを支えていかなければなりません。そのためにも、行政の取り組みは取り組みとして、社会保険未加入対策、技術者・技能者の確保・育成、若者の就職促進などを自ら積極的に推進する必要があります。地域の一員として、地域を支えられる力を維持していくため、あらゆる努力を惜しんではならないのです。
 皆様、ぜひ一緒に、地域を支える役割をこれからも力強くはたしてまいりましょう。

皆様のさらなるご発展とご健勝を祈念いたしまして、新春のごあいさつといたします。

平成26年1月

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