村松 秋男理事長 |
昭和24年、新制中学を卒業した15才の時、父親から手に職を付ければ一生生活していけると言われ、働く場所を探していた。
生家は、志太郡吉永村(現焼津市)、農業を営み米作等で生計を立てていたが、当時は、戦後の復興期で食べていくことが大変な時期であった。
父親の兄弟が相良町(現牧之原市)にいて、知人であった八木左官の先代を紹介してもらったが、13人兄弟で、男6人の5番目、外に出れば、食い扶ちを減らせる意味もあった。
入職直後は、住宅建設の仕事が多く、住宅の基礎づくり、土工や左官の区別なくこなした。
その後、浜松や東部の仕事をする上で便利な藤枝へ進出してきた。
袋井での学校建設を請け負うと1年から1年半は飯場くらし、当時は荒壁が多く、山土を踏み込んで壁土を造った。冬には、張った水が凍ってしまうが、それを裸足で踏み込んでいくという大変なもので、夜は夜で、この土に混ぜる藁を刻むという毎日であった。
年間の休みは、盆、正月、節句にお祭りの時くらいで、10日ほどであったが、とてもつらい毎日であったが、家に戻っても食べていけないので誰一人やめる者はいなかった。
しかし、自分が携わったものが完成するとこれまでの苦労が報われた。
昭和33年に結婚、当時は静岡市内で暮らしていたが、浜松の現場には5時の始発電車で出かけ、帰宅は最終電車という生活もした。
後継者の孫の星さん |
面接をしても、最近は給料や休日など条件のことがまず優先。斡旋される者は、親に相手にされないような子供が多い、学校も生徒を押し付けるだけで、預かった後は、様子を聞いてくるなど、何の連絡もないのが残念。預かった生徒も長続きせず、6か月早ければ1か月でやめてしまう。
社会保険への加入という課題もあるが、押さえられている状況がある。提出書類も多すぎて、左官屋には手におえない。
手に職を付けるまでに5年ほど、その後1年から2年はお礼奉公。67年間、八木左官にお世話になった、お世話になった義理もあったが、今年5月に社名を変更し、現在は孫に代を譲った。
いつまでも現場に出向くと色々口を出してしまうし、煙たがられてしまうので……
跡取りがある事業所が残っていく。そうでないところは廃業に追いやられる。ただ、時代が変わり左官の仕事がなくなってきている。世の中がどう変わっていくのか、全く読めない。
人が暮らしていく上で、建物は必要で新築や改修などが必ずあるので、厳しい時だけれど、何とか切りぬけて行ってほしい。今、生き残れば、仕事は何とかなる。
村松 秋男理事長 |
大井建設 鈴木佳奈 |
以前からものづくりの仕事に興味を持っていました。建設業は外で働く職人のイメージが強かったからだと思いますが、「女で建設の仕事って」と両親から反対されていました。でも、興味のあることを学びたいと思い、高校3年になってから進路変更をして建築工学専攻で大学に進学しました。
大学進学の際は、現場監督の仕事は全くわからず、設計の仕事をしたいと思っていましたが、大学で様々な分野を学ぶにつれて、現場知識の大切さを知り現場監督という仕事に興味がわきました。
中学生までずっと川根町内、高校も島田市内であったので、大学を卒業したら就職は、生まれ育った静岡に戻って来てしたいと思っていました。
大学時代は、先生から話を聞くだけで仕事内容は教わりませんでしたが、現場監督の仕事内容などを教えて欲しかったと思います。今は、社内では優しい社員に囲まれ、現場でも職人さんたちと楽しく過ごせているので、毎日がとても幸せです。
しかし、大学で学んだとはいえ、実際の現場では知らないことばかりで、毎日が勉強であり、一日一日の仕事を大切にしています。覚えることが楽しいし、どんな小さな仕事でも、任されることがうれしいです。
レベル確認 | レベル確認 |
解体現場確認 | 建築部上司と |
よくトイレとか更衣室のことが言われますが、特に不便は感じていません。ただ現場に出ると識見不足を感じます。
強いて言えば、作業着が大きく体に合わないこととか、安全靴のサイズがないことやでデザインが限られていることかな。スケールとか腰袋も単色の物ではなく、カラフルで、もっとかわいいデザインの道具とかが販売されればいいのにな、女の子は、可愛いもの好きが多いので、色々なものにファッション性を取り入れ、可愛い小物はあるだけで、楽しくなると思います。
1人でぶらっと出掛ける日もあれば、友人と映画やカラオケ、買い物に行っています。
ほかに岩盤浴が好きです。地元川根の地域行事参加も積極的にしています。
自分がやりたい、興味のある仕事と思うなら、そのまま突き進めばいい。努力することが大切なので、努力を惜しまず、日々を積み重ねれば、女性ならではの考え方や気遣いで、男性にはできない仕事ができるようになると思います。
大井建設株式会社 |
鈴木佳奈さんは、とても明るく前向きな女性で、現場にも自然に溶け込んでいる様子です。しかし、女性が働く環境としては不十分なことも多く、随分苦労も多いと思います。昔は、「男の職場」のイメージが強かった業界ですが、機械化が進み、管理もデジタル化が進んだ現在は、むしろ女性の細やかさが活かされるのではないかと思います。多くの女性が、この業界に入ってくれることを望みます。
大井建設株式会社 代表取締役 池田 豊