出会いのひろば

全国制覇した藤枝順心高校サッカー部顧問 多々良和之

「挑戦、夢をつかめ!」

 2月6日、第24回全日本高等学校女子サッカー選手権大会の優勝祝賀会が開催された。 祝賀会の選手挨拶で、黒崎優香主将は「私たちは、このたび全国優勝の栄に輝くことができました。本日、ここにご出席の皆様をはじめ、サッカー関係者の方々、また、多くの市民の方々から、大きな声援、励ましの言葉、多大なご支援を頂いたおかげです。本日の祝賀会は私たちが優勝を祝って頂く会ではなく、私たち自身が、多くの皆様に感謝の気持ちを申し上げる会だと理解しております。」と述べた。まさにその通りである。本校は、「清楚」「芳香」「忍耐」を教育目標としている。この高等学校教育の目標を実現するためのサッカー部の部活動である。黒崎主将の挨拶はこの教育目標に沿うものとして評価したい。

 今回の優勝は、9年ぶり2回目の栄である。この9年の間、準優勝2回、第3位が4回と届きそうで届かない優勝であった。実に長かった気がする。では何故今回優勝できたのかを考える。一つは、チームとしてのコンゼプトや方向性など目指すものを明確にし、またそれを何年も継続して追求し続け、年々それに向かってチームが確実に進化してきたことが挙げられる。毎年、チームとしてのコンゼプトや方向性など目指しているものに違いはないが、だからといって昨年と同じことをただ単に繰り返すのではなく、質を高めることや進化し続ける努力をすることができたことである。今年の3年生にしても、1年よりも2年、2年よりも3年というように、チームとしての取り組みはより高みを目指してチャレンジし続けることをしてきた。

 そしてもう一つ、他のチームより上回っていたのは『対応力・打開力』であったと考える。これまで選手が全国や世界へ出て活躍するためには、『対応力・適応力』であるとか『打開力』といった能力が必要になると感じてきた。試合には様々な試合があり、対戦するチームやマッチアップする選手も様々である。また、一つの試合の中でも目まぐるしく展開や状況が変わって行く。そういった様々な試合での状況を的確に掴み、その状況に合ったプレーを判断し実行するためには、高くて豊富な(多くのバリエーションがある)技術と戦術が必要になるし、それを発揮できるためのメンタリティも必要である。さらに、試合前では先を見据えてよい準備をし、試合中には展開や流れを読んで、次のプレーや相手のプレーを予測するといったことも必要である。その総合的な能力を『対応力・適応力』であるとか『打開力』といった言葉で選手に伝え、トレーニングや試合、さらにはオフザピッチにおいても選手とチームがその獲得を目指して取り組んできた。今回はこのような取り組みの成果が優勝という結果につながったと考えている。今後も継続していくことはもちろんのこと、これまで以上にその獲得に、力を注いでいきたい。

 この大会を通じて多くの方に支えられて優勝できたという実感を得ることができたこと、努力しても結果が出せないことが特に勝負の世界では多いが、今回は夢を持って挑戦し続ければそれが叶うという経験ができたこと、また多くの方に喜んで頂きサッカー部の存在意義をあらためて確認できたことは、これからの選手やチームにとって大きな財産となった。この財産を糧にしてこれまで以上に努力していけるチームや選手になりたい。そして、今季のチームで出来たこと、出来なかったことをしっかり分析し、また課題と目標を明確にし、今季のチームよりもさらに進化させる新たな挑戦をしていきたい。

藤枝学園「藤枝順心高等学校」の紹介

 大正元年仲田裁縫教授所として創設、昭和23年に中学校を併設後、改称を重ね、平成15年順心中学校を開校に合わせ藤枝順心高校に改称し、100年を超え、現在は、普通科、美術造形デザイン科と調理栄養科の3学科で構成、日本の作法を身に付ける「礼法」や女性らしい気品ある行動がとれるよう「マナー講習」など、女性の自律・自主と先度詫の心の涵養を「建学の精神」に、中・高校生合わせ約600名が学園生活を送っている。

校舎北側
▲校舎北側

国土交通省中部地方整備局
静岡県内7事務所長の「今年度の抱負」

静岡河川事務所
所長 犬飼 一博

静岡河川事務所の主要事業と取り組みについて
犬飼一博

 当事務所は、静岡市をはじめとする県中部において、河川・砂防・海岸の3つの事業を掌握し、山・川・海の3事業の連携により地域の安全、安心、持続的な発展を支えるための社会インフラ整備を進めています。

 河川事業では、安倍川は全国有数の急流河川で流路が安定せず、地質も脆弱で、土砂を含んだ流れが堤防決壊を引き起こし甚大な浸水被害が発生する恐れがあります。そのため堤防強化対策として低水護岸整備などを進めています。大井川は牛尾地区(島田市)の河道拡幅事業を重点的に進めています。これらは、平成27年9月関東・東北豪雨を受け策定した「水災害意識再構築ビジョン」の一環として進めるもので、早期の治水安全度の向上を目指します。また、両河川とも高水敷利用が盛んであり、地域づくりに河川空間を活用し、地域の活性化につながる取り組みを地域と協働して進めています。

安倍川護岸工事状況
▲安倍川護岸工事状況
大井川河道拡幅状況
▲大井川河道拡幅状況

 砂防事業では、安倍川源流部に日本三大崩れの一つである「大谷崩」があり、今なお土砂の流出が続いています。そのため、土砂生産源対策として山腹工を引き続き実施していきます。安倍川支川有東木沢上流の有東木地区では、杉の木沢砂防堰堤を継続して施工します。また、今年は昭和41年9月の台風26号により、尊い26人の命が失われた梅ケ島災害から50年の節目を迎えることになります。

 近年、全国的にゲリラ豪雨が頻発し、当地域では南海トラフ巨大地震の発生も危惧されています。過去の災害の記憶を風化させることなく未来へつなぐ取り組みを地域の皆さんと連携し進めていきます。

 海岸事業では、駿河海岸焼津工区(焼津市)、富士海岸蒲原工区(静岡市)で離岸堤の整備を継続実施します。また、発生が危惧される南海トラフ巨大地震に備え、L1津波を超える津波に対しても減災効果を発揮させるよう、駿河海岸において「粘り強い構造の海岸堤防」の整備に今年度より着手します。

駿河海岸有脚式離岸堤工事状況
▲駿河海岸有脚式離岸堤工事状況

 パートナーである建設業界や地域の関係機関との連携を強化し、社会資本整備と防災力強化に取り組みます。また、様々な訓練を実施し、自治体支援も含め万全の備えに努めるとともに、住民への防災情報の発信に向け、管内自治体やマスコミとの連携にも努めます。

 一方、建設業界が地域の安全安心を支えるためには、担い手の確保も重要です。若者が魅力を感じる業界となるよう取り組みを進めて行きます。

静岡国道事務所
所長 前川 利聡

前川 利聡

 春陽の候、静岡県建設業協会の皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。また、平素より国土交通行政の推進にあたり、格別のご理解とご協力を賜り、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 今年度の抱負として、大きく2点あげさせていただきます。

 先ずは、道路事業を着実に推進し、道路管理を確実に行う等、事務所として与えられた役割をしっかりこなすことです。

 事業区間のトピックとして、昨年度は国道139号富士改良の一部開通、今年度は、例えば国道1号静清バイパスでは西側に位置する丸子藁科トンネルの貫通や東側の清水地区の立体化事業の工事着手予定などが挙げられますが、地域の皆様のご協力をいただきながら、着実に事業を推進したいと考えています。また、老朽化対策、交通安全対策など、道路事業には取り組むべき様々な課題がありますが、プロ意識を持って、道路をしっかり守ると共に、賢く使う努力もしていきたいと考えています。

 次に、ステークホルダーとなる地域の方々の声に耳を傾け、様々なチャネルを通じて地域のニーズをしっかり把握し、行動することです。

 建設業協会の方々とは、担い手育成といった喫緊の課題や、生産性向上や新技術活用といった新たな課題等、様々な取り組みを推進しなければいけませんが、建設業をより良い姿にすべく、お考えを聞きながら、共に行動したいと考えています。また、社会資本のストックを最大限に発揮するためには、地域経済を支える方々ともコミュニケーションを図り、社会資本に対する様々なお考えを伺う中で、地域のニーズがどういうところにあるのかを真摯に探らなければいけないと思っています。

 静岡を取り巻く道路ネットワークを見ますと、新東名高速道路、中部横断自動車道等の高規格幹線道路の整備が進められており、静岡を取り巻くヒト、モノの流れは大きく変わる可能性があります。目の前の仕事を着実に進めると共に、次の展開を踏まえた長期的な視点も持ちながら、官民が連携してストック効果を最大限に発揮できるように知恵を出し、静岡における将来世代の「未来を創る」べく、地域と一体となって汗を流したいと考えています。

 社会資本に関わる仕事は、国土を創り、そして守り、国民の生活を支えていると言えます。貴協会の皆様方とは、健全なパートナーシップのもと、「地域の未来づくり」に貢献したいと考えておりますので、今後ともご理解とご協力をお願い申し上げます。

防水シート敷設状況
▲防水シート敷設状況

沼津河川国道事務所
所長 梅村 幸一郎

梅村 幸一郎

 韮山反射炉の世界遺産登録、オリンピック自転車競技の開催決定など、うれしいニュースが続く中、観光を主力産業の一つとしている駿東・伊豆地域に、国内外より多くのお客様に快適にお越し頂けるよう、道路事業等を進めて参ります。また、昨年の関東・東北豪雨を踏まえ、狩野川流域のより一層の安全・安心確保に向けて、河川事業等を進めて参ります。

 道路事業においては、昨年度、伊豆縦貫自動車道の天城北道路において、4本あるトンネル工事のうち、3本目のトンネル工事に着手しました。平成30年度の開通に向け事業を進めています。今年度は、伊豆縦貫自動車道の天城北道路で中部地方整備局管内初めてとなる「メラン材ロアリング工法」による橋梁架設をはじめ、各道路において事業を推進していきます。伊豆縦貫自動車道の天城湯ケ島~河津の区間については、「おおよそのルート・構造の検討」に着手し、当該区間の早期事業化に向けた手続きを進めています。河津下田道路については、本線橋で初めての橋梁架設を完了しました。また、沼津市内の国道1号東駿河湾環状道路(沼津岡宮~愛鷹)については、新規事業として着手し、笹原山中バイパスについては、一部区間(延長1.6km)を3月12日(土)に開通しました。国道138号須走道路・御殿場バイパス(西区間)については、橋梁下部工事を実施しています。

 河川事業においては、狩野川下流部の沼津市下河原地区の築堤、函南町塚本地区における道の駅と連携する防災ステーションの工事(基盤整備)、及びかわまちづくり水辺整備などを行います。また、流下能力の向上のため河道内に堆積した土砂の撤去を実施します。柿田川では、外来種駆除などの自然再生事業を継続実施していきます。河川利用面では、狩野川上土地区の「かのがわ風のテラス」などミズベリングの取り組みを中流域へも展開するとともに、子供たちを対象にした「狩野川わくわくクラブ」などの活動も積極的に推進する予定です。

 砂防事業においては、狩野川上流にて引き続き、伊豆市市山地区、佐野地区で砂防堰堤の整備を進めていきます。

 海岸事業においては、前浜の侵食傾向の箇所について、養浜工事を引き続き実施します。また、昭和放水路付近に深い海底谷があり、そこに西側から漂流してきた砂礫(れき)が落ち込むため、その対策として深さ14mの海底に、日本初となる土砂流出防止工の整備を引き続き進めます。

 事業の推進に当たっては、建設業者の方々と連携し、事業の推進や技術力の高さへの地元のご支援やご理解を得るため、各現場でのPRに力を入れていきます。

富士砂防事務所
所長 杉本 宏之

杉本 宏之

 四月一日付けで富士砂防事務所長を拝命した杉本と申します。日頃からの会員皆様の地域でのインフラ整備や防災活動に対して改めまして敬意を表したいと思います。さて、この度、世界文化遺産富士山の麓の富士宮市に赴任してまいりましたが、前任は国土交通省砂防計画課地震・火山砂防室にて富士山の火山噴火緊急減災対策砂防計画等も担当しており、さらにその前任の土木研究所で地すべりの研究に携わった際には静岡市由比地区の地すべり現場を何度も調査しており、静岡には何かと縁がありました。事務所職員と一丸となって地域の安全・安心の向上のために精一杯努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さて、赴任早々このような機会をいただき光栄に思っておりますが、吉田前所長時代から事務所で取り組んできた担い手確保について書かせていただきたいと思います。昨今の人手不足感や、東京オリンピックに向けた関東圏での建設需要の高まりにより、優秀な若手人材の確保にはどこも腐心されていることかと推察します。二月には静岡河川事務所・富士砂防事務所と富士建設業協会とで「職場環境改善のための女性技術者による座談会」を開催し、当日はいわゆる「女子会」的に女性のみでざっくばらんに発注者・受注者の枠を超えて意見交換がされたと聞いているところです。この様子についてはリーフレットにとりまとめ今後のリクルート活動等にも活用しようと考えておりますが、この座談会で話題になったのは、「汚くて当たり前と思われていた職場環境に女性が入ることによってきれいになるのは良いことだけど、それが当たり前となるような職場環境になって欲しい」とのことで、特段の配慮が必要なくなるような環境になることを望んでいるようでした。また、職場環境改善のみならず待遇改善も喫緊の課題であると思われますが、そのために国交省でも労務単価を適宜見直し、数度にわたる引き上げも行ってきているところです。さらには、地域のインフラ整備や防災活動の担い手の皆様が、より一層のやりがいを感じていただけるよう、インフラ整備の意義やストック効果等の整備効果について、世の中に対して積極的に発信をしていきたいと思っています。このように様々な取り組みを通じ、会員皆様方と連携して魅力ある建設業界となるよう努めてまいりたいと思いますので、折を見て現場の実態等忌憚の無いご意見をいただければと思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。

浜松河川国道事務所
所長 尾藤 文人

 浜松河川国道事務所では、地域の豊かな生活と産業発展、安全・安心な地域づくりを目指し、菊川および天竜川の河川事業、天竜川ダム再編事業、国道474号三遠南信自動車道の一部を構成する佐久間道路・三遠道路および国道1号(藤枝市谷稲葉~静岡県・愛知県境)区間までの道路事業を実施しています。

 河川事業では、昨年の関東・東北豪雨を踏まえ2015年12月に公表した「水防災意識社会再構築ビジョン」に基づき、「洪水を安全に流すためのハード対策」と「危機管理型ハード対策」を今後約5年間で実施していきます。2016年度は洪水を安全に流すためのハード対策として、天竜川下流部で河道掘削、菊川河口部で高潮堤防整備を引き続き実施します。また、危機管理型ハード対策として、天竜川と菊川で決壊までの時間を少しでも引き延ばすため、アスファルト舗装による堤防天端の保護を行います。

 そのほか、天竜川中下流部の洪水被害軽減を目的とした天竜川ダム再編事業では、利水専用の佐久間ダムへ新たに洪水調節機能を確保し、それを維持するため、洪水調節容量への土砂堆積を防ぐ恒久堆砂対策施設の整備を進めます。この施設については、2016年2月に「天竜川ダム再編事業 恒久堆砂対策工法検討委員会」を発足し、具体的な設備や地域社会・環境への影響等の検討を進めていきます。

 道路事業では、愛知県奥三河地域および静岡県北遠地域への高速サービスの提供、沿線の地域開発及び地域交流の支援等を目的に佐久間道路・三遠道路の整備を進めています。国道1号島田金谷バイパスでは、大井川渡河部を中心に朝夕のピーク時に発生する渋滞解消、富士山静岡空港や御前崎港といった広域物流拠点など陸・海・空のネットワーク強化を目的に、4車線化を図る拡幅事業を進めています。

 また、道路管理においては、大規模地震発生時に備え、日頃から訓練の実施、関係機関との相互連携の強化を図り、救急救命活動や復旧を支える緊急輸送路の迅速な機能回復が重要と考えています。このため、橋梁の損傷を軽微に抑え、復旧に要する時間を短縮して社会的影響を最小限に食い止めるため、小まめな点検や補修を日々進めています。交通安全対策では、交通事故の減少を目指して交差点改良や照明、防護柵、標識などの設置を進め、安全・安心で快適な道路を確保します。

国道1号島田金谷バイパス_新大井川橋下部工事
▲国道1号島田金谷バイパス_新大井川橋下部工事

静岡営繕事務所 
所長 下野 成敏

既存官庁施設の長寿命化改修の推進を
下野 成敏

 一般社団法人静岡県建設業協会の皆様方には、日頃より営繕事業の実施にあたり多大なるご理解とご協力を頂き厚くお礼申し上げます。

 さて、平成28年度の国土交通省官庁営繕関係予算においては、官庁施設の防災・減災対策及び老朽化対策の二本柱に重点化を図っているところです。

 中部地方整備局営繕部では、南海トラフ巨大地震等災害に備え、地域の安全、安心のため防災機能の強化と災害に強い地域づくりを支援するため、「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」及び「官庁施設の総合耐震診断・改修基準」に基づき、建築物全体としての総合的な耐震性能を確保するよう整備を行っています。事務所管内においては、建築基準法に基づく耐震性能の確保はされていますが、引き続き、官庁施設の耐震基準を満足するよう各省とも連携を図りながら、耐震化を促進していきます。

 また、官庁施設においては、同時期に多くの施設が建設されており、現在、築後30年以上を経過したものが4割を超え、今後、大規模修繕や大型設備機器の更新の増加が見込まれることから官庁施設の老朽化対策を計画的かつ効率的に推進していく必要があります。既存官庁施設を安全により長く利用し、トータルコストの縮減等を実現するための保全指導等といった「ハード対策」と「ソフト対策」の両面から官庁施設の長寿命化を図っていきます。

 なお、中部地方整備局営繕部では適切な工期で円滑かつ効率的な事業執行に資するとともに、品確法の基本理念(将来にわたる公共工事の品質確保とその中長期的な担い手確保等)を実現するために発注者の責務が明確化されたことを受け、 発注者と受注者双方の責任の明確化、透明性の向上、円滑な事業執行と、発注者と受注者双方が工事の施工に際しての共通認識を図ることを目的として、『営繕工事請負契約における設計変更ガイドライン(案)』をH28年2月に策定しており、対応を行っていきたいと考えております。

 1月に貴協会主催の建設もの創り大賞現地審査を通して、建設現場を支える技術者や担い手確保・育成、女性技術者活躍等の建設業界の様々な工夫を知る機会となりました。特に、現場所長前の希望と不安を持つであろう若手を対象に毎月行われる現場研修の取り組みは、やはり「もの創りはひと創り」であり、皆様方が長年培われた技術力と豊富な経験に基づくものと考えております。

 最後になりますが、官庁営繕行政の最前線の事務所として地域との連携を図り、施設管理者はもとより、地域に信頼される事務所となるべく、事務所一丸となって施設整備と保全に努めてまいります。

官庁施設の長寿命化
▲官庁施設の長寿命化

清水港湾事務所
所長 馬場 智

今年度の抱負
馬場 智

当事務所は、国際拠点港湾の清水港、重要港湾の御前崎港・田子の浦港、避難港の下田港あわせて4港における直轄港湾事業を担当しております。

 管内の静岡県は日本経済を牽引する我が国第4位の「ものづくり県」であり、県内港湾は、背後の立地企業の国内外との輸送を支える海陸の交通結節点として重要な役割を担っています。近年は、新東名高速道路、圏央道、中部横断道等の整備の進展により、高規格な道路ネットワークを介して首都圏等の大都市圏にも近接することから、首都圏のゲートウェーとしての機能も高まりつつあります。

 また、物流のみならず、世界文化遺産になった富士山と韮山反射炉など、歴史的・文化的資源にも恵まれ、観光面での更なる交流人口拡大も期待されています。

 当事務所では、新たな物流・人流需要を捉え、効率的で信頼性の高い港湾物流サービスが提供できるように、港湾施設の機能向上、既存岸壁の老朽化対策、耐地震・津波性能の強化を各港湾で進めております。

 特に今年度の喫緊の課題として、「大型客船対応」に注力して参りたいと考えております。これは清水港客船誘致委員会でのこれまでのご尽力によるところが大きいのですが、近年、清水港へ寄港する大型客船の数・規模が急激に伸びているのです。

 清水港への寄港では、12万tクラスの大型客船が最大ですが、世界には22万5千t級といった大型客船も就航しています。機運を逸することなく、大型客船も受入が可能になるような係船柱の設置等受入環境整備を進めて参ります。

 また、今秋には、清水港と大分港の間にRORO船の航路が就航します。RORO船とは「roll on/roll off ship」の略で、貨物専用のフェリーです。ガントリークレーンといった特殊な荷役機械のない港でも荷役が可能です。清水側と大分側の背後の道路網の整備が進んだことやドライバー不足等の問題も相まって、コスト面や環境負荷軽減の面からも期待されている海上輸送サービスです。新たな動きを的確に捉え、次世代に良好な港湾資産を少しでも残していけるように今年度も事務所一丸となって取り組んで参りますので引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

▲日本平上空から
▲富士山と客船