森吉組株式会社 代表取締役 吉田 正一
北アルプス奥穂高岳(3,190m) 平成26年10月 |
左上が頂上 足元がガレキだらけ |
高校を卒業後程なく某山岳会になんとなく入った。 頂上を極めた時の達成感、充実感は登った者にしか分からない何物にも代えがたいものだったそうです。山男の誕生です!! その魅力に惹かれ、6年間で北アルプス・南アルプスへ30回以上も登頂しました。 しかし、24歳の時、山よりももっとステキな、大事な大事なものを見つけてしまいました。 そして、なんと40年もの時を経て、平成26年8月北アルプス槍ヶ岳(標高3,190m)の山頂に立っていました。山男の復活です!!
この日が来ることを夢見て着々と準備を進めていたのです。 なんでまた危険な登山を始めたのか?の問いには『山が呼んでいたんだよな~』と.....!
山の話になると止まりません。熱い男です!! そんな吉田さんが、"山男の復活"を語ってくれました。 |
40年ぶりに山に登りました。
平成26年8月、北アルプス-槍ヶ岳。
次男と二人、登頂を目指しました。
10キロのリュックを背負って10時間歩く旅です。
日常ではあり得ない疲労感に襲われ、運動不足で足が何度も攣りました。
ですが、吹き抜けて来る風は、40年前と何も変わりませんでした。
静かに沈む夕日を見ながら歩く稜線も、何も変わっていませんでした。
そして山頂から眺める景色もまた、驚くほどに以前と何ら変わりはなかったのです。
きっと、40年後に息子が登っても、何も変わることはないでしょう。
山は雄大です。
人の存在はとても小さなものです。
登山とは、それを感じることができる大自然からの贈り物だと私は思います。
それが、私が今も山を登り続けている理由です。
鹿島槍ヶ岳(2,889m) 平成28年7月 |
平成28年7月30日から8月1日 鹿島槍ヶ岳。10回目の北アルプスです。
扇沢から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳を往復する山業です。10キロのリュックを背負い、今回は私一人、1日10時間歩きます。途中大雨に見舞われながらの登山は苦行そのものでした。
それでも大勢の登山者から「おはよう」、「頑張って」と励まされながら、山荘を目指しました。
途中の登山道で下山者とすれ違う時は、自分が山側に道を譲ります。登山仲間の阿吽の呼吸のようなものです。
このちょっとしたふれあいもまた登山の楽しさです。
月30日午後1時30分。冷池山荘に到着。
受付後、他の登山者とコーヒーを味わいながら雑談をしました。100人くらいいたでしょうか。夕食のテーブルにつくと、その前に座った人が自然と向かい側のご飯味、噌汁、お茶を用意するのも登山仲間お決まりのルールです。寝るときは皆で明日の登山の話をしながら雑魚寝。
46歳のサラリーマン、55歳の学校の先生、若者、退職者…
初めて会う人たちばかりですが、そこにはお互いに自然にふれあえる雰囲気があります。大自然とのふれあいが、そうさせるのでしょう。心が洗われます。
山荘に集まる人々には俗社会の上下関係や不条理などは一切なく、あるのは登頂という目標を共有する人々の温かい絆だけです。
大自然しかなかった頃の人々の心のふれあいを感じることができることこそが、登山の醍醐味の一つと言えるでしょう。
31日午前5時、朝食を済ませ山荘を出発。
鹿島槍ヶ岳山頂には午前8時30分着。10名くらいの登山者と共に喜びを写真に収めました。
見下ろす下りの稜線は、いつの時代も変わることのない気持ちの良い風が吹き抜けています。
そこには誰もおらず、ただただ、雄大な景色のみが広がっています。
自分が山と一つになったかのような時間が流れます。
大自然からの贈り物です。
そのお土産を胸に、家路につきました。
吉田正一
剣岳(2.999m)平成27年7月 日本で一番危険な山と言われている(息子と共に) |
剣岳別山尾根ルート 平蔵の頭垂直の壁をよじ登って行く |