天竜浜名湖鉄道二俣本町駅舎にあった旧蕎麦屋店舗を改装。シンプルで魅力的な駅舎ホテルに生まれ変わった |
令和元年を迎えた5月1日、天竜浜名湖鉄道二俣本町駅に併設する1日1組限定の駅舎ホテル「INN MY LIFE(インマイライフ)」がオープンしました。オーナーの中谷明史(なかたに・あきひと)さんは地元天竜区の出身。「若い人にこそ、ここで過ごす豊かな時間の魅力を伝えたい」と話します。中谷さんの新たな挑戦には、これから地域が目指すべき方向性へのヒントが散りばめられているように感じます。
白を基調にしたシンプルなインテリア |
東京でバーテンダーや不動産事業を経験した中谷さんが25歳で出身地の天竜にUターンし、飲食店「Kissa&Dining 山ノ舎(いえ)」を立ち上げたのが4年前。店を訪れる人たちと交流する中で、地元天竜の美味しいものや遊び方、その豊かさを知り楽しんでいる人たち自身の魅力を伝えたい、という思いが募ってきたのだそう。山や川、湖など豊かな自然の中で楽しめるさまざまなアクティビティーに惹かれて天竜にやってくるものの、「日帰り」する人も多い。そんな人たちに宿泊や情報、人との出会いの機会を提供して「あの人に会いたいからまた天竜に来ました」と言わせたい、という気持ちが駅舎ホテルという形に結実しました。
一点もの家具や小物使いに細やかなこだわりを感じる |
天井を高くし開放的な空間を演出している |
アメニティも充実したシャワールーム |
無人駅である二俣本町駅に隣接する駅舎ホテルは面積37平方㍍。白を基調とする室内は天井高を3段階に分け、シンプルな空間にアクセントをつけています。天竜ヒノキ材の床や遠州織物のパジャマなど地産品を取り入れながら、アメニティには「Marks&Web」を使用、一点ものの家具を配するなど、細部へのこだわりが魅力的に映ります。
天竜浜名湖鉄道沿線地域とつなぐ機能を果たしていく |
コンセプトのひとつに掲げるのは「Dig a locality by train.」(列車に身をゆだね地方を発見してほしい)。イタリア発祥の考え方「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)」に則して、宿泊者の食事は周辺地域の飲食店へと導きます。また、宿泊者に天竜浜名湖鉄道のフリーパスチケットをプレゼントして沿線を自由に行き来することを促し、地域の魅力発見につなげます。そのような、宿泊施設と地域をつなぐ「仕掛け」を実践しているところです。
オーナーの中谷明史さん |
「都市部より地方の方が、若者がチャレンジできる“余白”が多い。僕はそこに面白さを感じています」と中谷さん。事業ノウハウを生かし、遊休不動産のコンサルティングにもチームで対応していきたいとのこと。彼の自由な発想力が地域資源を磨き、輝かせていると感じます。「都市部と地方の差異は、アクセスの困難さという移動コストの問題。例えば将来ドローンなどの技術でそれが解決されるとしたら、地方の価値はぐんと高まるはず。人口が減少する将来にも地方での生活を楽しんでいけるために、地域に魅力を感じてくれる“関係人口”を拡大していきたい」と先を見据えています。
駅舎ホテル INN MY LIFE
浜松市天竜区二俣町二俣(天竜浜名湖鉄道 二俣本町駅)
チェックイン14:00〜18:00 チェックアウト11:00
電話 0539-25-1720
1棟貸し切り 一組1人1万8000円~ 2人2万5000円~
駅舎ホテル INN MY LIFE WEBSITE
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