■コスプレとは

　コスプレの定義は、あるのでしょうか。

　コスチュームプレイヤー（以下レイヤー）たちは、コミック、マンガ（本・映像・動画など）の中に登場して活躍する主人公やヒーロー、人気者、かわいらしい女の子と同じようなファッションをして、あたかもそれらの主人公になったかのように立ち振る舞います。
　周囲からの視線を浴び、姿を写真や動画に記録する趣味を持つ人たち、仲間の集まりです。お互いに情報交換をし、交流を楽しみます。

　コスチュームプレイ、コスチュームプレイヤーの略ということですね。

　アニメーションの原作をモデルとしたコスチュームプレイのことを、コスプレと呼んでいます。しかし、最近は、版権・著作権などの問題もあり、オリジナルのキャラクター、レイヤーがイメージした1点モノで大会に出場する人もいます。
　また、レイヤーの後ろをついて回る見物人やファン、カメラマンも多くいます。

　ハロウィーンなどの仮装と同じでしょうか。

　広い意味では仮装ですが、大きな違い、物理的な違いがあります。コスプレは大会の会場に行き、そこで着替えることです。ハロウィーン仮装には、その制限がありません。

　全国各地でコスプレの大会が開かれていますね。

　全国で年間、大小の大会が1500ほど開かれています。その中で、自然の街並みで大会を開くのは、清水だけです。通常は、閉じられた会場の中で、レイヤー同士が写真を撮り合い、交流会を開くことがメインです。

■「富士山コスプレ世界大会」

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

　清水駅前銀座商店街を舞台に開かれる「富士山コスプレ世界大会」とは。

　商店街のイベントとして20人から30人ほどの参加者で開くものは他にもありますが、2018年、清水は2日間で延べ2000人のレイヤーが参加してくれました。この規模は、他にはありません。見物客は延べ3万5000人です。
　また、順位付けをする大会が多いのですが、清水では順位は決めません。もちろん、ゲストコスプレイヤーは招きますが、静岡在住のコスプレに興味のある人がデビューできるように、背中を押してあげる入り口の大会です。

　プロのレイヤーをゲストとして招くのですね。

　国内に15万人のレイヤーがいると言われています。そのうち100番以内のレイヤーは、「神」と呼ばれています。
　その「神」トップ10の中から、ゲストを毎年招いています。ゲストレイヤーのクオリティーは、本当に高いレベルです。毎年お招きしている「KANAME☆」さんは、東南アジアでメインに活動しています。
　そのようなプロレイヤーを見本として、勉強してもらうことが目的です。静岡のレイヤーが、大都市の大会へ進出してくれたらとの思いがあります。

　レイヤーたちの裾野を広げる大会という位置付けですね。

　もちろん静岡在住だけではなく、レイヤーは東は北関東、西は広島・岡山くらいから、清水へ訪れます。大会は2日間ですが、3泊4日で来てくれるレイヤーもいます。
　結果的に交流人口が増え、経済波及効果となり、宿泊施設や飲食店など地元への還元もされます。朝から着替え、大会終了まで、レイヤーたちの滞留時間が長いことも大きな特徴です。

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

　初回開催時は、どのような様子でしたか。

　2013年6月、私が清水駅前銀座商店街振興組合理事長の時に企画、12月に第1回を開催しました。第1回大会には、2日間で延べ400人のレイヤーが参加してくれました。
　JR清水駅から近いこともそうですが、昼間は歩行者専用で、安全も確保されます。アーケードがあるので、雨天でも開催できます。延長430mのアーケードは、レイヤーたちにとって、化粧が崩れにくいことが、なにより好評のようです。
　このアーケードですが、昭和42年に建設、老朽化が進んでおり、私が理事長を務めていた時、修繕をしました。ルーバー修繕、照明LED化、スピーカー交換など計6000万円の大規模修繕です。国のまちづくり補助金や静岡市の補助金などを利用しましたが、雨漏りも直り、大会時の音出しも万全の体制となりました。
　また、静岡県出身のアドバイザーレイヤーさんたちが大会をプロデュースしてくれています。目玉コンテンツを考えてくれるミーティングも、毎回、とても楽しいものです。

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

　見物で訪れたが、コスプレしたくなる人もいるのでは。

　無料のコスプレ体験ができます。お試しをした人が、次回大会でレイヤーとして参加してくれることも。コスプレの楽しさを、多くの人に知ってもらえればと思います。

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会

■11月16日、17日は清水へ

　大会は2019年で7回目。

　2019年は11月16日（土）、17日（日）。ゲストコスプレイヤーに「ユリコタイガー」さんを招きます。その他、コミックワールド香港、マドリード・オタクからも有名なレイヤーが訪れます。旧清水市の姉妹都市ストックトンの市長も来てくださる予定です。
　そして、初の試みですが、静岡市清水文化会館「マリナート」では人気男性声優のトークショーを行います。

　まさに、国籍を超えての参加ですね。

　清水駅前銀座商店街には、この世界大会以外にも、コスプレの常設スタジオがあります。32のシチュエーション部屋を構えた、コスプレ撮影に特化した大型撮影スタジオ「清水ノンタウン」です。
　商店街、スタジオがロケ地となり、大会の模様なども盛り込まれた静岡発地域ドラマ『プラスティック・スマイル』も放送されたり、毎月開かれるマルシェには、商店街に賑わいを創出しようと、地元のレイヤー70～80人が集まってきてくれたりしています。
　そして、アニメのキャラクターを塗装した車「痛車」（イタシャ）が100台ほど集まるイベントなども開かれています。
　表現の場所を提供することが目的ですが、結果、賑わいに寄与し、ゆくゆくは聖地に･･･、などと思っています。

写真提供／富士山コスプレ世界大会実行委員会