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一般財団法人
浜松まちづくり公社
理事長 岩井 正次 氏

 政令指定都市として人口80万人を超え静岡県内最大の都市「浜松市」。首都圏と関西圏のほぼ中間に位置し、都市機能や先端技術産業が集積する都市部と、都市近郊型農業が盛んな平野部、水資源に恵まれた沿岸部、広大な森林資源を擁する中山間地を抱え、まさに国土縮図型の都市と言える。市の発展は、行政をはじめ企業や市民らの力によるもの。こうした中、地域のまちづくりに貢献してきた「一般財団法人浜松まちづくり公社」の存在も大きい。市の外郭団体として1962年に財団法人浜松土地区画整理協会として発足。以来、市内57地区の組合施行の土地区画整理事業を支援し良好な住環境などを整備し、この他、公共施設の管理・運営、建設発生土の受入業務なども手掛けている。市が産業の創出や市民の暮らしの質や豊かさを高めていく「創造都市」を目指す中、今後もまちづくりを支援する事業に取り組む一般財団法人浜松まちづくり公社理事長の岩井正次氏に、事業の概要や今後の展望などについて聞いた。

◇聞き手

 県建設業協会 総務・広報委員会

  委員長

佐野 茂樹(青木建設社長 三島建設業協会)

  副委員長

三尾 祐一(三与建設社長 富士建設業協会)

  委員

中村 一壽(中村土建会長 浜松建設業協会)

 浜松建設業協会 情報委員会

  委員

京極恒弘(小笠原マル曻社長 浜松建設業協会)

  委員

須山雄造(須山建設専務 浜松建設業協会)

◇事務局

  浅野佐文(県建設業協会参事)

  宮松計策(浜松建設業協会事務局長)

委員 公社のこれまでの経緯についてお聞かせください。

岩井理事長

岩井理事長

岩井 浜松まちづくり公社は、1959年に浜松市土地区画整理協会として発足し、62年4月に財団法人浜松土地区画整理協会を設立した。2002年4月に財団法人浜松まちづくり公社に改組し、10年4月に財団法人浜松市建設公社を吸収合併した。その後、公益法人制度改革に基づき、13年4月から非営利型の一般財団法人として新たにスタートした浜松市の外郭団体となる。浜松市に14ある外郭団体の一つ。地域のまちづくりを支援し、都市整備事業の推進と公共施設の適切な管理運営など、地域の発展に貢献する事業を担っている。

委員 公社の業務内容について教えてください。

岩井 主に都市整備事業として組合施行の土地区画整理事業の支援を行っている。都市整備に関する業務も受託し、土地探しなども行う。施設管理事業として、浜松駅前広場関連施設のバスターミナル施設の管理・運営や、浜松市所有施設の管理も行っている。また、公共工事の建設発生土の受け入れも業務としている。
 この他、指定管理者として市営駐車場の管理、浜松駅北口広場等サービスコーナーでの飲料・タバコ等の販売およびコインロッカー運営業務、月極駐車場・時間貸駐車場の管理・運営。空き家見守りサービスによる巡回業務や空き家相談、スーパー防犯灯の広告代理業務、用地交渉業務なども行っている。

岩井理事長

三尾副委員長

委員 主要事業である土地区画整理事業についてお聞かせください。

岩井 設立以来57地区の組合施行の土地区画整理事業を支援してきた。現在、浜松市内では浜北区で2地区、天竜区で1地区の計3地区という状況で、これから新規に立ち上げようとしている事業が浜北区で1地区ある。
 区画整理事業は減少傾向にあり、県内で今動いている土地区画整理事業は9地区しかない。人口減少にある中、宅地を造る必要があるのか、空き地を利用してはという声もあるが、優良な宅地を生み出さないと人は増えない。浜北区では土地区画整理事業による優良な宅地が創出されたため人口が増加し10万人を超えた。地方の多くの市町で人口流出が懸念されているが、人が住み着く優良宅地の提供が課題解決の一つと考える。もちろん宅地だけではなく、企業誘致と雇用が重要である。浜松市は新幹線駅もあり、東名・新東名高速道路のインターチェンジも有する利便性の高い恵まれた環境にあり、スマートシティ構想的なことを合わせてやればもっと住宅地に人を呼び込むことができると思う。

岩井理事長

佐野委員長

委員 土地区画整理事業のニーズはまだあると思いますがいかがですか

岩井 土地区画整理事業は、賛同しない人がいると事業がなかなか進まない。昔と違って地元の有力者がまとめるということもないので、新たな時代の土地区画整理事業の推進が求められている。賛同しない人への説得や、保留地の販売に課題もあるが、まだまだ積極的に推進すべきと考えている。優良宅地を適正価格で創出し、道路や公園なども整備して良好な住環境にすることができれば人は集まる。土地区画整理事業で県東部地区ではもっと首都圏から人を呼べるとも思うが、行政と一体となっての取り組みが今後重要になってくる。

委員 建設発生土の受け入れについて教えてください。

岩井 公共工事の建設発生土の受け入れについては、浜松・浜北・天竜地区の3カ所で管理・運営を行っている。事業面積は浜松が1.2ヘクタール、浜北が1.4ヘクタール、天竜が2.2ヘクタールおり、受入量は各2万立方メートル。昨年度までは防潮堤の工事での利用が多かった。各地区で受け入れがいっぱいになってきており、今後、新たな建設発生土の受入地の開設に向け準備を行っていくが、受入地を探すのはなかなか難しい状況にある。

中村委員 京極氏 須山氏

中村委員

京極氏(浜松協会)

須山氏(浜松協会)

委員 公社の課題については。

集合写真

岩井 公社も職員数が減少し、現在18人体制で取り組んでいる。平均年齢も高くなってきており若い人が少ないが、将来を考えるとなかなか新規採用も難しい状況にある。土地区画整理事業で以前は市の職員にプロがいた。今ではそういう人も少なく、土地区画整理事業の手法についての技術の伝承も大切なことだと考える。

委員 公社の将来の展望についてお聞かせください。

岩井 浜松市は行政改革も進んでおり、市の外郭団体だからといって市から確実に仕事を受けられるという時代ではない。今後は、行政が直接やらない業務をいかに受けていくかが重要なことで、民間事業者とともにそうした業務をしっかり受注できる体制を確立していきたい。土地区画整理事業に頼るのではなく、まちづくりや都市整備などで新たな事業の展開も模索している。人が集まり、企業が進出してくれば市の税収も安定する。市民、民間事業者、行政それぞれがウインウインとなる魅力あるまちづくりの支援を目指し、地域に貢献できるよう努めていく。

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