株式会社 静岡西部建設
常務取締役 梅原弘行
“トレイルランニング”というのをご存知だろうか?
トレイルランニングはアクティビティの一種でトレイル(林道・登山道など)をランニング(走る)するスポーツである。
日本では10年程前から広まり始めたが、欧米ではそれ以前から盛んに行われており、大会なども数多く開催されている。カテゴリーも5キロくらいの距離を標高差1,000mまで一気に駆け上がる「バーティカル」というものから、約400km以上を走る「ウルトラ」まで様々である。
中でも人気があるのは「100マイル(160km)レース」だ。
制限時間は30時間~48時間。コース上の山の高さや数などによって難易度は異なる。これをほぼ不眠不休で踏破する。
私も、のほほんと10年ほど走っていた後に100マイルレースをはじめとするレースに参加するようになった。
100マイルを走り切るにはそれなりの体力も必要になるので普段走る量も必然的に増えていった。ランニングが生活の中心になると様々なことが変化する。
ランナーの集合写真: |
ワイン: |
岩山: |
エイド: |
ここで、実際に参加した100マイルレースを紹介したい。
フランスのある大会に参加。参加者は150名ほど。(トレイルレースは環境保護の観点などから参加人数が多くない)
フランス旅行と言えば“パリ”・“マルセイユ”・“カンヌ”などが思い浮かぶが、“カルカソンヌ”や“オヨナ”など初めて聞いた都市(町?)などに行くことが出来るのもトレイルランニングをやっていなければ実現しなかったこと。
レースがスタートし、しばらくするとランナー間の距離がひらいていく。山道は見通しが悪いので前後に人の姿が見えなくなるのは普通。頼りになるのは時折木の枝にぶら下がっている、コース上であることを示すリボンのみ。おおよそ20km毎に山から下りてふもとの村に用意された“エイド”と呼ばれる補給所で水や食料を補給する。そこでは村のボランティアの方々が「水ほしい?」「コーラほしい?」「温かいスープがあるよ」「他に食べたいものは?」などと色々と世話を焼いてくれる(フランス語は分からないけれど多分そう言っている)。
彼らは100マイルという長い距離を走る私たちに尊敬の念を抱いてくれているらしく、私たちが完走するために出来るだけのことをしてあげたいという気持ちらしいのだ。これはどのレースでも感じられる。
周囲が暗くなり夜を迎えると持参したヘッドライトを点灯し、さらに歩を進める。時折、ガサガサという音と獣の気配が感じられる。幸いクマに遭遇したことはないが、鹿・イノシシ・タヌキ・サルなどは見かける。
深夜のフランスの山中で2~3時間一人きりになることもあるが、レースの時は不思議と恐怖感はない。ただ、万が一道に迷ったらと考えると‥。
フランス語が分からない(というかそもそも道を尋ねる人間がいない)、人がいても何と聞いていいかわからない(フランス語は“ボンジュール”と“メルシー”のみ)、とパニック必至だなとは思う。
それだけに、時折抜いたり抜かれたりするランナーと会うと互いに声を掛け合ったりする。私たちは競争相手ではなく、共に苦難の道を進む同士だ、という感覚。それも100マイルレースに共通する良い点だ。
この時は、何度か道に迷ったりしながらもめでたく6位になり表彰していただいた。(これは本当に偶然と幸運の結果。でも自慢)
※道に迷ったのは日中で、元来た道を戻り、パニック手前で事なきを得た。
ビール: |
表彰式: |