令和3年12月25日(土)、袋井市と森町の養豚場2施設で、豚熱(CSF)に感染した疑いのある豚84頭が確認されたことを静岡県が発表した。
発表に先立ち、静岡県から静岡県建設業協会、袋井建設業協会に対し、協定に基づく緊急家畜処分に向けた準備への協力要請の連絡が入った。
袋井建設業協会は、25日(土)11時に、当該施設の家畜埋却における行動計画に基づき関係協会員を袋井建設業協会に参集させ、災害対策本部を設置するとともに、情報管理に留意しつつ埋却処分に向けた準備を開始した。
同日、13時に県より先遣隊の派遣要請があり、袋井建設業協会の環境・災害対策委員長等が疑似感染豚が飼育されている2施設に赴き埋却場所等の確認を行った。この視察結果などを基に、協会の災害対策本部はバックホーやタイヤショベルなど必要資機材の調達を開始した。
翌26日(日)、午前7時、環境・災害対策委員長は協会の災害対策本部に参集後、現地拠点施設での埋却処分の指揮にあたるため袋井市内の施設に急行した。
2か所の施設では、行動計画に定められている担当会員が既に参集しており、森町内の施設は午前8時に、袋井市内の施設では8時半に埋却業務を開始。午後5時までには2施設におけるすべての埋却業務が完了した。
この間、22社、延68人の協会員が休日を返上して早朝から全力を挙げて埋却処分業務に従事している。
袋井協会では、普段から、こうした事態に備えて、農場ごとに担当会員をあらかじめ決めるなどの備えをしていたことに加え、環境・災害対策委員長はじめ、関係協会員が年末の休日にも関わらず、一丸となって地域社会のため懸命の作業を行った結果、静岡県の発表から2日後には埋却が完了した。
今回のように、養豚場で豚熱に関する殺処分、そのための埋却が行われたのは県内では初めての事例で、危機対応の貴重な経験となった。
袋井協会では、こうした事態に備え養豚場などの施設別の行動計画をあらかじめ整備していたことが、スムーズな対応につながっている。
一方、今回は殺処分の対象が84頭と比較的少なかったが、殺処分対象となる家畜数が大きく増加した場合の埋却地をどう確保するかは今後の課題として残っている。※埋却地の確保は、行政と施設業者の役割
また、協会内でのより迅速な連絡や、行政との連携の面でも今後改善すべきところがあった。
今後、これらの貴重な経験を踏まえて、危機対応の在り方を県協会の環境・災害対策委員会において検討していく。
新聞等のメディアでは、建設産業が果たすこうした活動は殆ど報道されないが、危機にあって建設産業が地域の守り手として果たす役割は大きく、より多くの人に建設産業の果たしている役割を知ってもらうことも必要である。
防護服の着用(袋井市内の施設) | 埋却準備(森町内の施設) |
埋却作業(森町内の施設) | 覆土作業(袋井市内の施設) |