ポスター

 2023年の1月8・9日の2日間、掛川市内の掛川城二の丸茶室に熱い視線が注がれました。第72期ALSOK杯王将戦七番勝負の第1局が行われたのです。対局は、弱冠20歳ながら破竹の勢いで将棋界を席巻している「時の人」藤井聡太王将に、永世七冠の「レジェンド」羽生善治九段が挑むという、これ以上望めないという程の組み合わせ。当日の市内は将棋ファン以外も巻き込んで「王将戦フィーバー」に沸いていました。当欄では2日間の熱狂の様子を振り返ります。


対局の結果は藤井王将が勝利!

 掛川市はここ14年にわたり、王将戦第1局の舞台となっており、掛川城二の丸茶室での開催も例年の通り。しかし今回は注目の2人の対戦とあって、将棋ファンやメディアを中心に圧倒的な注目を集めており、市内各所にもポスターが飾られ、当日が近づくにつれて会場を中心に段々と熱気を帯びてくるような印象がありました。
 注目の対局は8日午前9時に開始となり、初日の熱戦を経て44手目を羽生九段が封じ2日目へ。翌日朝9時に再開された対局は、結果羽生九段が91手で投了し、藤井王将が勝利。初の防衛に向けての足がかりとなりました。

大盤解説会

実行委員会が関連イベントで盛り上げ

 この王将戦の開催には、掛川市長を会長とした「将棋によるまちづくり実行委員会」が盛り上げに一役を買っています。同委員会は、地元経済団体や信用金庫、観光協会、日本将棋連盟掛川支部、農協などが参加しています。毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟の3者が主催する前夜祭や対局見学会、大盤解説会の運営を担当する他、こども王将戦などを主催。また、街中の事業者や商店街などと連携して「三の丸広場マルシェ」などのイベントも行い、当日の盛り上げに力を入れました。
 人気殺到を見越して前夜祭と対局見学会、大盤解説会は事前応募・抽選制とし、大日本報徳社で行った大盤解説会には8日が定員の約8倍、9日が約18倍の応募があったそうです。

火の羊羹

注目の「勝負めし」「おやつ」は

 藤井聡太さんの対局につきものなのが「勝負めし」と「おやつ」。いずれも選ばれたメニューが直後から人気殺到となる事例が続き話題となっています。
 今回の王将戦では、「勝負めし」に掛川グランドホテルが地元の食材を使って開発した新メニューが提供されたとのこと。また、会場である掛川城二の丸茶室が用意する抹茶にはお茶請けがセットとなっており、市内などの店舗の商品が含まれていました。
 初日のおやつで注目されたのが、藤井王将と羽生九段の両名とも口にした「火の羊羹」。同市内の和菓子店「伊藤菓子舗」のものです。名が知れるや早速注目の的となり、翌日9日には通常より多く準備した商品が開店早々に売り切れるなどの盛況ぶりだったそう。
 他にも、「勝負めし」として「掛川牛の麻婆豆腐」や「遠州黒豚と掛川野菜のトマト煮込み」など、おやつでは柴田牧場の牛乳を使った「掛川桜のプリン」、「CHABATAKEケーキ・フィナンシェ」などが選ばれていました。

御城印も完売

 王将戦に合わせて掛川城の指定管理者(掛川城管理運営共同体)が販売したのが、対局する藤井王将・羽生九段の署名が刻まれた掛川城御城印。1枚1300円にての販売でしたが、売場に行列ができるほどの盛況となり、限定3000枚が即日完売したとのことです。

王将戦を「将棋のまち掛川」の契機に

 掛川市は先述の「将棋によるまちづくり実行委員会」を組織するなど、将棋を通じた市民活動の盛り上げに力を入れています。毎週日曜日に竹の丸で開催する「王将サロン」では、会員の交流や指導などを実施。市立図書館やたまりーなにて「はじめての将棋教室」を開催するなど門戸を広げる活動にも取り組んでいます。王将戦の盛り上がりを一過性のものとしないためのさまざまな取り組みに力を入れ、ゆくゆくは「掛川からプロを輩出したい」という夢を抱いています。

御城印掛川城二の丸茶室

掛川城二の丸茶室
 所在地:静岡県掛川市掛川1138-24
掛川グランドホテル
伊藤菓子舗
掛川城御城印