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新年あけまして おめでとう ございます。 先ず、昨年末に参議院議員足立敏之様がご逝去されました。足立議員は、「建設産業の再生なくして日本の再生なし」をキャッチフレーズに、国会において建設業の処遇改善や国土強靭化対策などの推進を牽引されてきました。職域代表の足立議員が、任期の半ばで亡くなられた事は、建設業界にとって、痛恨の極みです。ここに、これまでのご功績・ご尽力に感謝申し上げると共に心からご冥福をお祈りいたします。 また、新年を迎えるに当りまして、改めて令和6年1月1日の能登半島地震により亡くなられました方々のご冥福をお祈りしますと共に被災された皆様にお見舞い申し上げます。そして、1日も早い復興をお祈りいたします。 令和6年元旦の夕方発生した能登半島地震は、非常に衝撃的なものでした。自然災害は時を選ばないというだけではなく、激しい揺れによる建物の倒壊やトンネルの崩落、土砂崩れによる道路ネットワークの寸断、そしてこれによる孤立集落の発生、電気や通信、上下水道などライフラインの停止、津波や火災の発生、断層の隆起による港湾・漁港施設の機能不全など地震により発生する被害として考え得る全ての事象が起こったような状況ですが、更に半年後には水害に見舞われるなど、この惨状には言葉を失います。我々としてできる支援は惜しまず、また教訓として学ぶべきものは身に付けていきたいと思います。 この他、昨年を振り返りますと、災害級の危険な暑さと形容された猛暑や、8月の宮崎県沖の日向灘を震源とするM7.1の地震により初の南海トラフ地震臨時情報『巨大地震注意』が発表され、また台風などにより全国各地で水害が発生するなど、様々な災害に悩まされました。 しかし、何と言いましても昨年は「働き方改革」の年だったと言えるのではないでしょうか。4月から時間外労働の罰則付き上限規制が建設業にも適用され、6月には通常国会では第3次担い手3法の改正法が成立し、休暇、給与、希望の新3K実現のための処遇改善への動きがより本格化しました。これらに適切に対応していくには困難も伴いますが、我々建設業が選ばれる産業となるためには避けて通れないものでもあり、むしろ好機と捉えて対応に知恵を絞っていく必要があります。 また、大きなイベントとしてパリで2度目となるオリンピックが開催されました。史上最多の金メダルを獲得した日本人選手の活躍もさることながら、街全体をスタジアムと見なして開会式や競技が行われたパリの市街地にも改めて魅せられました。 2千年程前にセーヌ川の中州であるシテ島に先住民が住み始めたのがパリの発祥とされ、その後、古代ローマの進出により本格的な都市建設が始まります。道路や運河、上下水道、浴場や闘技場など土木・建築技術に長けていた古代ローマは、道路整備や渡河のための架橋など進軍上の必要性から、あるいは支配地域の環境改善のため、遠征軍に土木・建築の技術者を帯同させていたそうです。 そして、その技術者には、「製図、歴史、幾何学、数学、光学、哲学、医学、衛生学、天文学そして音楽に至るまで多様な領域の数多くの知識を持たねばならない」とされていたともいわれており、どこかで聞いたような台詞ですが、正に「一に勉強、二に勉強、三に勉強」といった感じです。とはいえ場所によっては技術者を讃える碑文が残っているとのことで、誇りとやりがいのある職でもあったようです。 現在のパリは今から150年程前の第2帝政期にセーヌ県知事オスマンが行った「パリ大改造」といわれる都市整備が基本になっています。12世紀から増改築が繰り返され現在に至っているルーブル美術館やノートルダム寺院などの歴史的な建造物が利用されており、「パリのセーヌ河岸」として世界遺産になっている一方で、ハイテク技術を備えた近代上下水道や地下鉄、自動車専用道なども整備されており、セーヌ川では現在も洪水対策が進められています。 このようなパリの2千年の歴史において、人々の安全・安心を支え、暮らしの利便性・快適性を向上させることにより現在の繁栄をもたらしている土木・建築の技術者に対し敬意が払われていることにも頷けます。 今年4月から2025年大阪・関西万博が「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして半年間に亘り開催されます。殊更、会場整備の遅ればかりが話題となっていましたが、我々建設業としましても、人口減少時代を迎え、何事も縮小・緊縮傾向に向かいがちな世情に対し、「いのち輝く未来社会のデザイン」として何が出来るのかを考えてみる良い機会だと思います。 建設業は、近年の度重なる災害への適切な対応により、地域の守り手として再評価を頂いております。 一方、昨年秋の衆議院総選挙により少数与党となった国内政治に加え、終息が見えないウクライナやイスラエルの戦争、更にはアメリカではトランプ大統領が再就任するなど不透明で不安定な国際情勢により、今年はいついかなる時、何が起こるのか予断が許されない年になりそうです。また、資機材価格の高騰や賃金の上昇などにより工事価格も上昇しています。 これらがかつての「海外に比べ割高な日本の建設事業」ですとか「無駄な公共事業」といった批判に繋がらないように、県下10地区協会並びに会員企業の皆様と一体となって、しっかりとしたもの創りにより、利便性・快適性に優れ、より豊かな生活環境を整えることを通して、「成長と分配の好循環」への役割を果たしていきたいと考えております。 結びに皆様方の益々のご多幸とご健勝を祈念いたしまして、私の念頭の挨拶とさせていただきます。 令和7年1月 |
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