「“夢と希望、誇り”を持てる建設業界に」静岡県建設業協会 石井源一(いしい げんいち)新会長就任インタビュー

今年2月に創立70周年を迎え、新たな一歩を踏み出した静岡県建設業協会では、5月の理事会で新会長に石井源一理事が選任されました。石井新会長は、木内前会長の信念を引き継いで、「"夢と希望、誇り"を持てるような会社、建設業界にすることが第一。そのためにも建設業の安定的・持続的な発展、会員である建設企業の経営基盤の確立に尽力していく」ことを胸に、協会活動をスタートしています。今後、建設業界が抱える課題にどう取り組んでいくのか、石井新会長にインタビューしました。

-あらためて就任の抱負をお話しください。

「土木学会前会長の大石久和氏の言葉で『建設業は未来を創造する産業であり、国民に安全・効率・快適をもたらす産業、未来の人への贈り物をする産業である。つまり、土木工事は未来の人々に対してより良い利便性の高いものを、より安価に使えるよう環境整備をしている未来産業』というものがあります。この言葉は、今の私たちの仕事の内容をまさに示していると思います。私も"建設業の仕事こそ未来をつくる仕事だ"と再認識して、経営者、技術者、技能者、そして若者に力強く伝えることをしていきたいと思います」

-最も重視する課題はどのようなものがあり、解決に向けてはどう取り組んでいかれますか。

「まず望むのは安定した仕事量の確保、次に仕事に見あった適正な工期設定と労務単価、さらに改正品確法の精神である"適正な利潤"の確保ができれば、人手不足や労務単価の問題も解決していくと考えます」

-生産性向上の課題については、どう考えますか

「特にi-Constructionについては、大手の会社は非常に助かっていますが、地方では実際にICT活用の対象工事がいくつも有るわけではありません。確かに、i-Constructionは地方の中小建設業者にとっても非常にプラスになるものです。それだけに地方の中小建設業者への普及促進を考え、国などの行政も中小工事に対応した建設機械の開発などハード・ソフトの両面で進めてもらいたい。そうすれば、私たちにとってi-Conがさらに身近なものとなり、地方の建設業者が伸びることにつながります。加えて、品質管理を含めて常にいいものを追求することが、地方の建設業者が生き残れる条件であると考えます」

-働き方改革については。

「国が働き方改革を非常に力を入れて推進し、建設業のレベルをもっとアップしようとしています。設計労務単価もここ数年毎年上げています。全盛期に比べればまだまだ回復していませんが、さらに労働環境が整備されていけば、若い人たちが建設業の状況を"昔ほど危険でもなく、意外ときれいな仕事だ"と再認識してくれます。さらに技術的な面でも建設業の仕事の面白さを理解すれば、将来を担う若者の入職が進むのではないかと思います」

-働き方改革の中の週休2日制への転換については。

「技術者だけ週休2日では困ります。技能者も含めて週休2日にならないといけません。技能者が週5日になっても、これまでの週7日分相当の給料が払われるようになれば、職人さんたちも休むことができるのではないでしょうか。職人さんがいなければ現場は動きませんので、そのための適切な賃金水準の確保が課題となります」

「また、キャリアアップシステムが始まり、技能者個人の経験や仕事内容、資格保有状況が分かるようになり、現場によっては技能者個人を指名することもあり得ます。技能者にとってはものすごくいいシステムと言えます」

-技術者も技能者もこれから能力を高めることによって成長でき、やりがいも増す環境になるということですね。

「しかし、技術・技能を伸ばすということは、それだけの仕事量をこなし、現場経験を積まないとできるものではありません。日々の研さんと努力が必要です」

-建設業のPRや業界を発展させるために優先されることは。

「まずは、建設業に携わる一人一人が、"自分の子供に仕事を継がせたくない"という意識を払拭(ふっしょく)していかなければいけない、それがスタートだと思います。一般の方々には、PRのための建設産業イベントや親子現場見学会などを通して若者や保護者の方にも建設業の良さ、素晴らしさを伝えていきたい」

「一般の方が、技能者と技術者の区別が付きにくいこともPR不足によるものと思います。中学生や高校生の頃には、技能者と技術者の違いを分かってもらいたい。特に、工業系の高校生とその保護者の方にははっきりと知ってもらう必要があります。技能者と技術者の違いが分かっていれば、職業選択の時にも判断できるものとなります」

「工業高校の生徒には、建設業は"未来を創造する業界"なんだと、高校の先生も同じ考えの下に教えてもらいたい。そうすれば、建設業を志す生徒ももっと自信を持つと思います」

略歴

1947年2月生まれの71歳。69年石井組入社。83年常務取締役、2000年代表取締役社長、14年代表取締役会長就任。富士建設業協会会長、富士商工会議所副会頭など歴任。2008年国土交通大臣表彰。

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