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従来型建設投資はできない時代に
 政府の道路民営化委員会で、最終報告の取りまとめに向けて激しい協議が行われた。
 新規建設に厳密に枠をはめる、歯止め派5人に対して、今井委員長と中村委員2人の建設
続行派の対立は平行線のまま、12月6日を迎えた。今井委員長が辞任し、歯止め派5人に
よる最終報告が小泉首相に提出された。
 日本の大動脈である超過密となっている現在の東名高速道路を東海地震が襲い、通行不能
 
となれば、我々の地域だけでなく日本全体の経済活動が完全にマヒして、国民が莫大な損害
を被ることになる。そのための代替道路として、第2東名高速道路は絶対必要であるという
意見。他方で、いまだ高速道路が開通していない山陰の知事は、一巡もしてない地域がある
のに、二巡目が先行することは不公平だという反対意見。しかし、既に大きな予算を使い、
建設も最盛期を迎えている。いま工事を止めれば、大きな負の遺産になる。採算も取れ、国
民全体の道路として必要なことは、間違いないと思う。
 しかし、だいたい時を同じくして、島根県の澄田知事が山陰の中海・宍道湖の総額850
億円の淡水化事業の中止を、大島農水相に申し入れた。また、国土交通省は2003年度か
ら地方空港の新たな建設や拡張を停止し、建設が計画されている未着工の11空港の事業を
取りやめると発表した。
 仮に小泉政権が、10年前に誕生し、これらの議論が早く始まっていたら、第2東名の建
設が中止されていたかもしれない。
 静岡県が、21世紀を産業、観光、防災を備えた力強い地域として生き残るために必要で、
開港待ち遠しい静岡空港もまたしかりであろうか。
 高齢化、人口減少=需要の大きな減少という将来の日本を展望した時、必要であっても従
来通りの建設投資ができなくなっている状況が既に来ていることを肝に銘じなければならな
い。
   
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