ちょっと紹介

子どもたちの将来のために〜キッズミュージカルスタッフとして

大和建設株式会社  伊藤知行(静岡協会)


7年前より子どもたちによるミュージカルの事業にスタッフとして関わっています。

 きっかけは2003年に静岡青年会議所の青少年育成事業として取り組んだミュージカルでした。スタッフ全員が素人で何もかもが初体験でしたが、市内の専門家の方々に全面的にバックアップしてもらいながら素晴らしい舞台を創り上げることができました。
 続いて2004年に静岡青年会議所50周年記念事業として脚本から創るオリジナルミュージカルに挑戦。2005年には実行委員長という立場で同オリジナルミュージカルの再演をやり遂げました。
 その後静岡青年会議所を卒業して離れたものの、2008年に当時のスタッフを中心に有志で実行委員会を立ち上げ、新しいオリジナルミュージカルを公演。そして今年も9月に2003年にやった作品を再演することになり、現在子どもたちが毎週末稽古に励んでいます。
 また2009年には静岡市の事業「静岡市こどもミュージカル」にもスタッフとして関わらせてもらいました。
2004年本番公演
2004年本番公演
 なぜ私はこの事業をずっと続けてきたのでしょうか?それは子どもたちがたくましく育っていく姿を目の当たりにし、その子どもたちから多くの感動をもらうことで、学校とは違った子どもたちが何かに打ち込める場、子どもたちの豊かな感性やたくましい心を育む場があることの意義を感じ、そこに関わりたいと思ってきたからでした。

 私たちのミュージカルは出演者を静岡市内の小中学生から公募、オーディションで選考された約50名の子どもたちが約半年間にわたり歌やダンス、演技の稽古を行います。
 また事業の主旨として子どもたちが「心豊かにたくましく育つ」「生きる力をつける」ための地域教育の場を提供することを掲げており、稽古とは別にスタッフが先生役になって様々なテーマでディスカッションの時間を設けたり、合宿では親からの手紙を朗読したり、共同作業をしながら「たくましさ」や「感謝の気持ち」を育む動機付けを行ってきました。

 本番公演までの稽古はひじょうに厳しく、ついていけずに苦しむ子が出てきます。また配役が決まれば希望の役になれなくて落ち込んだり、中には友達ができないなど人間関係の悩みを抱えた子も出てきます。
 私たちはミュージカル自体は素人ですが、交換日記や稽古の合間のコミュニケーションを積極的に図り、子どもたちとの距離を縮め相談相手となることで、様々な心のケアをするよう努めてきました。そのような地道なやりとりを繰り返すことで信頼と連帯感が生まれ、それが最後は舞台での輝きに繋がっていくのです。
 またこのミュージカルの特徴として先生方や照明・音響などの舞台スタッフは地元の若手の方々にお願いし、チャレンジの場としていただいています。さらに教職を目指す大学生のボランティアにも参加してもらい、子どもとの関わりという面で貴重な経験の場となっています。そしてミュージカルの作品ですが、単なるファンタジーのようなものでなく、子どもたちや観に来た方々に様々なことを伝えたいというメッセージを持ったテーマの作品を上演しています。
2005年本番公演後のセレモニー
2005年本番公演後のセレモニー
 素人の子どもたちによるミュージカルですから、プロの大人のミュージカルのような魅せる華やかさやスキルはないかもしれませんが、それまで一生懸命稽古をし、いろんなことを乗り越えてきた子どもたちが舞台で放つパワーは本当に観る人の心を震わせます。私もその魅力に感動し、涙してきました。
 青少年育成などと堅い話をしてきましたが、何はともあれ子どもたちは歌ったり、踊ったりすることがもともと大好きです。好きなことにチャレンジし、好きなことのためにつらいことを乗り越える努力をし、その結果好きなことが舞台でできて、それとともにいつのまにか自分が成長しているなんて最高ではないでしょうか。

 私も地域で働かせていただいている身です。やはり何かを地域に恩返ししたいと思うなら、地域の将来の一番の財産である子どもたちの成長のお手伝いをしていきたいと思っています。

 みなさんも地域の未来を感じたいと思うなら、今年の9月12日(日)、清水文化センターで行われる「JKMキッズミュージカル2009〜川の流れのオルゴール」に是非お越し下さい!
JKMキッズミュージカルHP  http://jkm.pw8.jp/
2008年東京でのレコーディング
2008年東京でのレコーディング