HOME >> 協会からのお知らせ >>第36回(一社)静岡県建設業協会建設もの創り大賞に寄せて
土木部門審査委員長 長繩 知行
(前静岡県交通基盤部理事、現静岡県交通基盤部長)
審査委員会(土木部門) | |
国土交通省中部地方整備局静岡国道事務所 所長 | 篠田 宗純 |
国土交通省中部地方整備局静岡河川事務所 所長 | 川上 哲広 |
一般社団法人日本建設機械施工協会施工技術総合 研究所 所長 | 真下 英人 |
一般社団法人静岡県土木施工管理技士会 会長 | 山田 壽久 |
一般社団法人静岡県建設業協会 協議員 | 望月 克政 |
前静岡県交通基盤部理事、現静岡県交通基盤部長 | 長繩 知行 |
「静岡県建設業協会建設もの創り大賞」は、地域社会の発展に貢献したと認められる優秀工事の功績を讃え、あわせて協会会員の技術力向上の基礎を築くことを目的とするもので、これまで数多くの工事が表彰されてきました。昭和59年に「静岡県建設業協会賞」として創設され、平成27年度からは一般の方々にも表彰内容が伝わり易くなるよう現在の名称になりました。
今回、応募のあった作品には、熟練技能者の減少等により工事現場における技術力の低下が懸念される状況下において、ICT等先進技術の活用やこれまでの経験を活かした創意工夫などで厳しい施工工程や施工条件を克服し、質の高い工事を完成させたものが多く見られました。
全部で14作品の応募があり、地区協会から選任された1次審査員の審査結果と現場担当者の発表を踏まえた審査委員会による厳正な審査の結果、最優秀賞、優秀賞、優良賞及び特別賞計7件を選考しました。
建設業は、県民の生活と経済活動の基盤であるインフラ整備の担い手であるとともに、自然災害の最前線で活動する地域の安全・安心の守り手です。こうした社会的使命を果たしていくために、今後も、建設もの創り大賞の取組が当初の目的を達成していくことを祈念するとともに、土木技術の向上のため皆様のご活躍を期待しております。
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最優秀賞 | 中村建設株式会社 平成29年度防災・安全交付金事業(国)473号(仮称)新々原田橋下部工工事(右岸橋台工) |
工事工程や施工条件の厳しい現場において、地山掘削等における様々な課題を企業の技術力により克服し、所定の工期内で橋台を完成したことが評価された。急傾斜地での安全確保やコンクリートの品質管理についても創意工夫が見られた。長年に亘って交通規制が続き、早期開通という地域住民の大きな期待を十分に理解した上で現場に臨んだ企業の覚悟が感じられる工事現場である。
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優秀賞 | 臼幸産業株式会社 平成29年度138号BP水土野橋東下部工事 |
新東名の開通等に合わせた工程の管理が求められ、複数の工事が輻輳する現場において、綿密な工程の管理とコンクリートのひび割れを極力低減させた品質管理が評価された。また、隣接する市道の通行確保に配慮した仮設計画、安全の見える化や新技術の活用による安全管理の内容は、他の現場でも参考にしたい取組である。
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優秀賞 | 鈴与建設株式会社 平成30年度清水港日の出地区岸壁(-12m)被覆工事 |
桟橋式岸壁下の法面被覆工を拡張する工事である。水中の作業であることに加え、視界が20㎝程度という悪条件を克服し、3次元モデルを使用した施工打合せや地上と潜水士間の合図の徹底等、安全上の工夫をしながら無事故で完成させたことが評価された。水中バックホウによる施工という実績の少ない工法を採用した積極姿勢も評価に値する。
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優秀賞 | 株式会社橋本組 平成30年度二級河川黒石川愛知静岡交流圏域活性化事業(河川)工事(矢板護岸工) |
市街地を流下する河川の護岸工事である。現場に隣接する高等学校に対する騒音・振動・防塵対策と河川の流下断面を確保するための出来形管理の創意工夫が評価された。特に出来形管理では、鋼管矢板圧入工の精度向上に向けた複数の課題を整理し、これを実現させた。当該工事の規格値を満たすだけでなく、次の工事(笠コンクリート工)を見据えた「完成型」を意識した管理は特筆に値する。
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優良賞 | 木内建設株式会社 平成29年度一級河川安倍中河内川28年河川災害復旧工事28年災害査定第0008-00号(斜路式落差工右岸工区) |
約600個の根固めブロックの製作とこれを使用した落差工の復旧工事である。大量のブロックを5月~9月に作成する工程であり、降雨による工程遅延と炎天下作業による熱中症の危険回避が課題であった。キャスター付き大型テントの採用等、現場でのちょっとした工夫でコストをかけずに生産性を向上させた優れた事例である。
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優良賞 | 大河原建設株式会社 平成29年度 1号島田金谷新大井川橋隔壁工事 |
橋脚間に隔壁を構築し、周辺に根固めブロックを設置する工事で、瀬替え工や締切工等の大規模な仮設工を伴う工事である。厳しい工程管理が求められたが、瀬替え掘削における使用機械の選定や大型土のう製作における製作治具の選定等様々な工夫により非出水期内の工事完了を実現させた。現場の特性を熟知し、これまでの経験を活かした効率的な施工が大きく評価された。
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特別賞 | イハラ建成工業株式会社 平成29年度水道施設改第21号清水谷津浄水場 立坑弁室築造工事 |
浄水場内の排泥弁室の築造工事である。コンクリートの品質管理を通じて若手技術者に向けた技術継承に取組むとともに、小学生・高校生を対象に見学会とインターンシップ活動を実施し将来の建設業を支える担い手育成に配慮した活動が評価された。建設業における担い手の確保・育成が課題となっている中で、課題解決に向けたモデル的な現場である。
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「土木部門 応募作品」
第一建設株式会社 平成30年度[第29-K2451-01号]二級河川巴川(麻機遊水地)総合治水対策特定河川事業(防災・安全交付金)工事(安東川エリア流入樋門工その2) |
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株式会社林工組 平成29年度 都市計画道路整備国交付金事業(防災安全交)(債務)(都)有玉南中田島線道路改良工事(その4) |
建築部門審査委員長 遠藤 正幸
((一社)静岡県建築士事務所協会 相談役)
審査委員会委員 | |
国土交通省中部地方整備局静岡営繕事務所 所長 | 宮下 吉広 |
静岡県くらし・環境部建築住宅局 局長 | 青野 直己 |
(一社)静岡県建設業協会 副会長 | 渡邉 雄二 |
(一社)静岡県建設業協会 理事 | 河津 市元 |
(一社)静岡県建設業協会 協議員 | 豊田 和壽 |
(一社)静岡県建築士事務所協会 相談役 | 遠藤 正幸 |
第36回(一社)静岡県建設業協会・建設もの創り大賞(建築部門)の応募は11作品あり、一次審査は一次審査委員が応募書類を基に実施。本審査では一次審査の結果を参考にして意見交換を行い慎重に審査を行った結果、現地審査対象作品を6作品選出、後日現地審査を実施しました。
最終審査は現地審査による各委員のコメントや採点を基に審査した結果、最優秀賞1点、優秀賞2点、優良賞3点を選出致しました。また、その中の優秀賞から特別賞を選ぶことが出来ました。
最終審査では、原則として各賞の合計を6作品とすること、規模に関係なく賞を決めること、発注機関にもとらわれないこと、特別賞の在り方等を確認したうえで実施し、各賞を決めました。
現地審査は、現場担当者とのヒアリング・お施主様が同席された場合には、監督員の対応や使い勝手等の意見もいただき実施しました。今回は、一部でしたが、建設業協会に所属している施工会社の皆様が私どもと一緒に回られ現場見学をすることが出来ました。
各建物の完成度はどれも素晴らしいものでした。現場審査ではそれぞれの現場監督が一様に自信と誇りをもって説明していただいたのは、大変うれしく感銘を受けました。
部門の区分けは、施工床面積1,000㎡以上をA部門、未満をB部門として審査し、小規模建築にも目を向ける事としました。最終審査に残った作品は、A部門が3、B部門が3となりました。最終審査で現地審査の点数をつけ集計したところ、審査員の順位が完全に一致しました。規模ごとの賞はバランスを取ろうかということもありましたが、皆さんの意見通りで問題ないだろうということで決定しました。
今回講評をまとめるにあたり、各審査員の皆様から講評をいただいており、それらをまとめる形で講評とさせていただきます。
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木内建設株式会社の施工による「平成29年度〔第29-Z1146-01号〕日本平山頂シンボル施設新築工事(建築)」とします。
本建物は、真正面に富士山をのぞむ絶好のロケーションに建つ展望施設です。鉄骨造ではあるが木材を多用した外壁や内装は、とても温かみのある雰囲気の建物でした。施工には数々の苦労や工夫が為され、特に木造の小屋組みや庇の施工には、BIMを活用し完成形を協力業者共々共有することが出来、人間の頭脳を超えるような部材同士の組み合わせを実現することができました。また、実際にモックアップを制作して確認するなど周到な準備をして施工されました。
契約時が鉄骨納期に時間が掛かる時期で、工期を遵守する為にも鉄骨柱脚部の固定位置を変更して基礎躯体を先行する方法で、工期を予定より1ヶ月短縮することができました。
その他電波塔に隣接した立地であるため、電波障害を起こさないようにレッカー作業の範囲が制限されたり、別途工事の業者間の調整があったりと様々な苦労がありましたが、設計事務所・構造設計者の協力や会社の全面的なバックアップの結果、県内外からこの施設を訪れる観光客をもてなす施設に相応しい出来上がりでした。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | その他(電波障害対策) |
個別技術テーマ | ― | 特殊デザイン、短工期、特殊構造体 | |
現場管理 | ― | IT利用、安全管理全般、地域貢献 |
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平井工業株式会社の施工による「株式会社三共製作所G&P棟新築工事(建築)」とします。
本建物は、工場とレセプション棟が併設された建物です。工場棟は傾斜地に建ち、法面に擁壁を設置し土木工事と建築工事がうまく融合していました。又、レセプション棟は、鉄骨柱が上部で放射線状に曲がり梁と接合するという複雑な取合いと溶接がきれいに収められ施工されていました。現場担当者は、3D図面と試作品を作成し、綿密な打合せを繰り返して完成させたとおっしゃっていました。内装も音響効果に最大限に考慮した材料を組み合わせてその施工にあたったようです。外装は、全面ガラスで庭木が見え、森の中に建っているような美しい建物でした。
また。クラシックホールとしての音響効果の件は、当初施主からの意向が伝わっていなかったようですが、柔軟に対応したようです。同社が敷地内にあるすべての建築にかかわっていることもあり、施工者としてのプライドと責任感を感じました。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | その他(緑化) |
個別技術テーマ | ― | 複雑構造物(曲面多角形等) |
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株式会社杉浦組の施工による「(仮称)ひよこ新貝小規模保育園 創設工事」とします。
本建物は、傾斜地に建つ小規模保育園です。コアとなるRCの階段部分と鉄骨基礎は、敷地の高低差によってそれぞれが配置されていて根切り底の設定や位置の確認には精密な測量が必要であり、苦労されたようです。加えて敷地が狭いので建設重機や生コン車等の搬入や生コン打設には難しい工事であり、その為の仮設計画をしっかりとされていました。特に現場担当者は、施工図面作成や現場測量、そして協力業者との綿密な打合せを十分に行って、工事を進める努力をほとんど一人で担当されていたようです。
又、全体に工期が短く着工(9月)から完成(3月)までの間で、しかも当時の鉄骨工事の納期の遅れも相まって鉄骨建て方が12月下旬となったこともあり、内外装の仕上げ工期はたった2ヶ月になってしまった。その中で、工期に間に合わせる為に全社を挙げて取り組み、各工事の協力業者と綿密な打合せと準備を整え見事に完成されたことには、拍手を送るとともに敬意を表したいと思います。
昨年若い監督にも光を当てたらどうかといった意見があり、今回の特別賞は各賞の中から、RC造とS造の混構造で極めて短い工期や、傾斜地での作業といった困難に挑戦した若い担当者に敬意をこめ特別賞とさせていただきました。こちらも全員一致の結果となりました。
余談ですが、この建物を最優秀賞にするか迷った審査員もおりました。施工者の建築に対する情熱と愛情でできたこの園舎は卒園した子どもたちが将来自慢できる施設になると確信しています。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | その他(工砂崩れ防止) |
個別技術テーマ | ― | 複雑構造物(曲面多角形等)、特殊デザイン、短工期 | |
現場管理 | ― | 安全管理全般 |
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イハラ建成工業株式会社の施工による「平成29年度 観文文財 第5号 仮称三保松原ビジターセンター建築工事」とします。
本建物は、景勝地に建つ観光施設で、建設場所が観光客の順路と現場とが隣接する為、その区分けをしっかりとする必要があったようです。特に看板類はデザインを重視したものとし美観を高めたようでした。また海岸に近く常に風が吹き、コンクリート打設時期が夏だったこともあり暑さと風対策に創意工夫をしたそうです。コンクリート打は、硬化を遅くしてクラックを防止する為に薬剤を散布する等の対策をしたそうです。
建物の見せ場である外壁のカーテンウォールの施工は、木製の斜材と天井ボードとの取合いに見切りを付けたり仮設の工夫で見事に完成させました。
【工夫事例】 | 個別技術テーマ | ― | 複雑構造物(曲面多角形等) |
現場管理 | ― | 安全管理全般、地域貢献 |
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平野建設株式会社の施工による「平成29年度 卓球場・アーチェリー場建設工事」とします。
本建物は、卓球場は、木造大断面構造で長辺方向は約80mにも及ぶ建物でした。構造体の柱や梁は塗装して仕上げになるので、その精度には大変気を使っての施工だったようです。特に建て方精度の確保は重要で、その為に誤差の範囲を極力抑えるために施工図面を作成したうえでの工場での部材寸法や、アンカーのセット位置等の確認をしっかりとしたようです。又、屋根はカラーガリバリウム鋼板で、1本80mの長尺で屋根が湾曲しておりその施工には30人もの人力で、雨漏り対策をきちんとして施工されたようです。また、現場が公園区域内であったので、第三者に対する安全と現場の状況も仮囲いに透明パネルを設置するなどの工夫もしたようです。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | 狭敷地対策 |
個別技術テーマ | ― | 特殊デザイン | |
現場管理 | ― | 安全管理全般 |
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大河原建設株式会社の施工による「富士山静岡空港2階コンセッション他工事」とします。
本建物は、使用中の空港ターミナル施設で拡張する増築工事を別業者(JV)が施工している中で、平行して行う内装工事の現場でした。したがって、JV側との工程の調整には苦労されたようです。特に、工事は夜間工事が中心で限られた時間で予定された工事をする為に、綿密な準備や別途工事(電気設備や機械設備等)業者との打合せが必要であり、その調整が大変だったようです。毎日30人から40人集めての工程調整打ち合わせしたようです。
また臭気や騒音に配慮しながらの工事でした。仮間仕切りや段取り・朝早くのコンクリート打ち等工程管理が大変な現場でした。仕上げのワックスまで匂いの強い物を避けるなど利用客への配慮が行き届いた工事でした。
【工夫事例】 | 外部環境 | ― | その他(利用客対策) |
個別技術テーマ | ― | 特殊デザイン | |
現場管理 | ― | 安全管理全般 |
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