−事業主体となる新会社(株)ドリームヒルの設立までには、多くの困難もあったのでは。
井谷: 14年3月29日の大安の日に(株)ドリームヒルつまり夢の丘という会社を設立したわけですが、残土処分場の建設には、10億円近くの金がかかります。官公庁からの事業のバックアップはお願いするとしても、運営は民間会社ですので、多くのリスクも抱えます。まずは、資金面でしたが、銀行に相談に行きましたら、「分かりました。業者に金を貸すのでなく、この事業に金を貸します」と言われた時は、ホッとしましたし、心強く思いました。
−今回の事業はいま、公共事業の進め方として注目を集めている地域、開発事業者、行政の三位一体となった「協働」事業のモデル事業と言われていますが、ここまで来るには、簡単に言い表せないものがあると思いますが・・・。
塚本: まず地元の方にとって残土処分場というイメージについては、産業廃棄物の処分場と同様に考えられ、先入観もあり、なかなか理解を頂くには大変でした。また、当初、行政が前面で進めていたものの、途中で中止になった経緯もあり、勢い、民間事業者が出てきたという、戸惑いもあったと思います。そのため、袋井土木事務所、袋井市役所の関係者のアドバイスを受け、地元の大谷、友永、川会地区の3地区で構成する三川地区の代表者で協議会を作って頂き、我々も入り、会合を重ねる中で信頼を得る事に全力をあげました。
いろいろ、協議を進めていく中で、地権者の方が地元だけでなく、市外も含め150名近くいる事、現地の谷が深く、さらには一部ゴミ捨て場となっているため、工事も大変な事、また、残土をダンプで搬入するわけですので、搬入道路などの整備も必要などなど、多くの課題が出てきました。ちょっと、我々の力では、むずかしいのでは・・・と何度思った事か。
しかし、とにかく、県、市の方の強力な力添えを頂き、前に進める事が出来ました。会合は、地元の集会所、しかも大半が夜半という事でしたが、袋井土木事務所の村松前河川課長、石井現河川課長、袋井市役所の金原土木課長補佐が常に出席をして頂き、地元の方との調整に当たって頂きました。我々もその姿を見て、『とにかく、やらまいか精神でいくしかない!』と心に誓ったものです。
−いまお話のあった行政側のサポートとしては、どういったものがありましたか。
村松: 何よりも県と市の関係者が会合には全部出席してくれて、熱意と責任を持ってこの事業の指導・監督を行ってくれているのが「事業の信頼度」という大きな力になっていると思います。また、県も市も地域のニーズをよく理解し、公共事業そのものの進め方についても非常に前向きに取り組んで頂いています。それ以外に、残土問題への理解という点で、市は下水道工事などで発生する残土についても、リサイクルしようという事で強力な指導を頂いています。そこには、基本的なベースとして、我々地元建設業者との信頼関係だけでなく、市そのものが時代の要請に応えるべくISO14000を取得し、環境への高い問題意識があると思います。
−この受け皿となった三川地区活性化協議会の構成、さらには地元協議でのニーズなど、どう受け止められましたか。
村松: この地区の代表の方々を中心に大谷、友永、川会の方30名で構成して頂いています。会には、「安全対策部会」「環境対策部会」「跡地利用部会」の3部会を作り、地元、事業者である(株)ドリームヒル、行政から袋井土木事務所、袋井市の担当者で構成されています。これまで15回程度、会合を行ってきましたが、お互いのメリットを出すには、お互いの役割分担がある事を理解しあう事が大切だったと思います。これまでの公共事業とは違い、地元をよくするにはどうしたらいいのか、地元の方々が自ら考える事が大切である事を説明し、理解を頂きました。また、地元協議で、工事を進める中での安全対策、環境対策等について、個別の要望も出てきましたので、検討を進めました。安全面では、通学路となっている勾配部分にガードレールやカーブミラーを設置する等、既に実施しています。
跡地利用については、これこそ、地元の方が将来の夢の里になるよう、話し合って頂き、公園にするとか、集会場所にするとか、ゲートボール場なども備えるとか、いろいろ検討しています。モデルケースともなりますので、今注目を集めるNPO法人による跡地利用なども考えられています。こういう動きは、常に情報公開が大切で、「みつかわ活性化かわら版」を随時発行し、地元に配布しております。
−さあ、いよいよ着工し、処分場の工事がスタートしました。今後の予定を教えて下さい。
夏目: 1月21日の着工式には、来賓の柳沢伯夫衆議院議員も駆けつけて頂き、「新時代をかたどる画期的な事業。民間活力を生かす方法の一つとして大いに期待をしている。地元関係者、地元企業が参加する事に大きな期待がある」とのご挨拶を頂きました。
今年中に、ほぼ工事が完了いたしますので、予定では17年度から土砂受け入れを開始します。その後、太田川河川改修で発生する土砂74万立方mを順次受け入れ、平成24年度頃までに埋め立てを完了する予定です。処分場の建設については、この4社がしっかりスクラムを組んで、安全第一でやっていきたいと思います。
その後の跡地利用については、まだまだ地元の方や、行政とも協議が進められる中で、姿が見えてくるでしょうから、我々も協力できるところは協力していきます。なんとか「協働」のモデルケースとなれるように頑張っていきます。 |