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“海洋深層水”って聞いたことはあるけども・・といった方も多いのでは。そんな疑問に分かりやすく答えてくれる施設「深層水ミュージアム」が焼津新港の一角にある。駿河湾深層水の魅力を広く知ってもらいたいとPRに努める鈴木克宏館長に深層水の特性や利用状況、今後への期待について聞きました。
原 深層水ミュージアムの目的と経緯から伺います。 鈴木 深層水ミュージアムは、焼津市が深層水の利用促進と恵みを与えてくれる駿河湾の良さをPR しようという施設です。その経緯を見ますと、平成13年に最深部が2500mと日本一深い駿河湾を有する静岡県は焼津新港内に海洋深層水の取水施設を整備し、全国で唯一、黒潮系(水深397m)と亜寒帯系(687m)の起原の異なる2層取水をしています。1日各2000トンを取水する規模で、14年から原水(海水)の給水を始めました。 また焼津市は深層水を広く利用してもらい地域の活性化を図るため、深層水の原水の脱塩水など4種類の水に加工する施設を14年に整備し、15年から給水を始めました。そして16年4月には深層水ミュージアムと水産試験場の駿河湾深層水水産利用施設が業務を開始し、このエリアは産業振興のみならず研究や学習の場となっています。場所も焼津新港の前に位置し、交通の便もよい所にあります。 原 ミュージアムでは映像や体感もでき深層水の魅力が分かりやすいですね。 鈴木 当ミュージアムでは、一般に無料開放しており、多くの方に利用してもらっています。展示室のシアターでは映像により、深層水の特徴や利用や深海の生物などを紹介したり、パネルやタッチパネルで深層水を勉強してもらえるような工夫をしています。エントランスでは、脱塩した深層水の試飲などの体験や深層水を使用した商品の展示なども行っています。特に地元の小・中学生が総合学習の一環で見学や社会科・理科などの勉強に訪れてくれます。
原 深層水は触ってもさらさらしていて、加工した純水は飲みやすいですね。そこで深層水の特性について教えて下さい。 鈴木 深層水は太陽光線が当たらない200〜300mより深いところにある海水で、表層水とは異なる3つの特性があります。一つは低温安定性です。深層水はもともと表層の水が冷えてもぐってできたものですから10度C以下の非常に冷たい水温が保たれています。2つ目は清浄性です。有機物が少ないものですからそれをえさにするバクテリア類が少なく、また、表層の水と深層水はほとんど交流しないため人為汚染物が極めて少なくきれいであることが挙げられます。3つ目は高栄養性です。表層水では、植物プランクトンの光合成で消費されるチッソやリンが深層水では光が届かずに光合成をすることなく消費されずに溜まっていき植物に必要な栄養素が高くなる点です。 深層水概念図 原 では深層水の利用方法について伺います。 鈴木 深層水の3つの特性を利用して、まず、水産業への利用として低水温できれいなことから漁獲物の鮮度の保持や輸送時などへの利用、水産試験場では魚介類、藻類、プランクトンなどの培養研究をしています。例えばタカアシガニなどの深海性甲殻類の生産研究、また、高栄養性のため、海藻がよく育つので磯やけ対策の研究がされています。 また、ミュージアムに隣接する脱塩施設では、深層水を逆浸透膜方式と電気透析方式の2種類の装置で淡水化し飲用できる、「駿河純水」、濃縮された深層水である「駿河濃水」、カルシュームやマグネシウムの濃度の高い「駿河硬水」、塩分が約10%と塩辛い「駿河塩水」の4種類の水に加工し、10リットル100円で供給しています。一般の利用者は1日平均100人程度、業者の利用もあり、1日の平均給水量は3〜4トンくらいです。深層水原水は、通常200リットル100円で供給していますが、毎月第1土曜日は「駿河湾深層水の日」とし、深層水原水に限り20リットルを無料で給水できます。お風呂に少し入れると湯冷めがしないということで持っていかれる方がいますよ。 さらにここで給水した深層水は食品加工への利用ということで地元焼津の水産加工・食品加工企業が中心となって積極的に利用を進め、多くの商品があります。そして、駿河湾深層水の信頼性、類似品の違いを明確にするため、静岡県は独自のブランドマークを作成し登録しています。駿河湾深層水を利用している企業が中心となって「駿河湾深層水利用者協議会」を発足し、このブランドマークのPR、監視、深層水商品の販路拡大や情報提供を行っています。 また、深層水を利用した健康施設であるタラソテラピー施設「アクアス焼津」が18年7月にオープンしますのでこの周辺は一大深層水エリアとなります。 原 どうもありがとうございました。 |
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