出会いのひろば

官民が連携して、建設産業を「夢や誇りのもてる魅力ある産業」に
~静岡県建設産業ビジョン2019の策定~

■ 概要
 静岡県建設業審議会(会長:磯辺剛彦慶応義塾大学大学院教授)が策定を進めてきた「静岡県建設産業ビジョン2019」がまとまり、平成31年3月25日に磯辺会長と石井委員(静岡県建設業協会会長)が川勝平太静岡県知事に答申をしました。

川勝知事(左)に答申を渡す磯辺審議会会長(中央)と石井静岡県建設業会長
【川勝知事(左)に答申を渡す磯辺審議会会長(中央)と石井静岡県建設業会長】

「静岡県建設産業ビジョン2019」は、建設産業が経営力・技術力に優れた企業として生き残っていくために、建設産業の現状や環境変化等を踏まえて、行政及び企業が取り組むべき施策等を示したものです。
 建設産業においては、「少子高齢化の進展」「自然災害の多発による地域社会における役割の増大」「建設投資の減少と維持管理・更新需要の増大」「働き方改革の必要性の高まり」及び「景観・環境に対する関心の高まり」など、多くの課題が顕在化しています。
 こうした環境変化に的確に対応し、建設産業が目指す姿「新4K(給料が良い、休暇が十分に取れる、希望が持てる、きれいな現場と美しい景観の創造)」の実現による魅力ある産業への転換を図るため、行政と企業が連携して各種施策に取り組んでまいります。

■ 静岡県建設産業ビジョン2019の内容
(1)建設産業を取り巻く環境変化
〇少子高齢化の進展
 少子高齢化の進展に伴い、県内の建設業においても、若年齢層の就業者の割合が減少する傾向にあります

建設業就業者割合の推移(静岡県) 建設従事者数の推移(静岡県)
建設業就業者割合の推移(静岡県) 建設従事者数の推移(静岡県)

〇自然災害の多発と地域社会における役割の増大
 南海トラフ地震の切迫性が一段と増すとともに、気候変動に伴う局地的豪雨等により風水害、土砂災害が頻発・激甚化しています。建設産業は、災害時の地域のライフラインの復旧・確保など地域の守り手としてその役割は増大しています。

堆積土砂の撤去(ふじあざみライン) 埋足土塞土砂の撤去(数沢川)
堆積土砂の撤去(ふじあざみライン) 埋足土塞土砂の撤去(数沢川)

〇建設投資の減少と維持管理・更新需要の増加
 県内の建設投資は、平成3年度をピークに減少し、平成29年度はピーク時に比べて約4割以上減少しました。高度成長期に建設されたインフラの維持管理・更新需要が今後一層増加し、既存インフラの維持管理の最適化・マネジメントが必要です。

建設投資額の推移(静岡県) 建設後50年以上の橋梁数
建設投資額の推移(静岡県) 建設後50年以上の橋梁数

〇働き方改革の必要性の高まり
 平成30年6月に成立した「働き方改革関連法」により、建設業においてもその対応が必要となっています。

働き方改革関連法の概要(建設業関係抜粋)
・2024年4月1日から罰則付き上限規制が適用。
 ⇒時間外労働の限度時間 月45時間、年360時間(繁忙期は月100時間未満、複数月平均80時間、年720時間)

〇景観・環境に対する関心の高まり
 魅力ある地域づくりを進めるため、豊かな自然環境、文化、歴史等の地域の特性に応じた「場の力」を最大限に活かしながら、美しい景観や環境の保全を図るとともに、社会インフラの整備・活用と維持管理・更新を進める必要があります。

ふじのくに回遊式庭園の景観形成イメージ 生き物にもやさしい川づくり(庵原川)
ふじのくに回遊式庭園の景観形成イメージ 生き物にもやさしい川づくり(庵原川)

(2)建設産業の目指す姿
 本県建設産業を取り巻く環境変化や課題を踏まえ、行政、教育などの公共部門や他産業等と一層連携しながら、「働き方改革の推進」、「担い手の確保・育成」、「建設現場における生産性の向上」、「経営の安定化・地域力の強化」及び「美しい景観の創造力向上」の5つの柱で構成する施策を推進し、「新4K(給料が良い、休暇が十分に取れる、希望が持てる、きれいな現場と美しい景観の創造)」を実現し、夢や誇りのもてる魅力ある建設産業へと転換することを目指します。

【目指す姿】ビジョンが目標とする、建設産業が目指す姿
 〇新4K(給料・休暇・希望・きれい)の実現
 〇夢や誇りのもてる魅力ある建設産業への転換

(3)建設産業の魅力を高めるための方策
 5つの柱ごとに、次のような具体的な施策を実施していきます。

働き方改革の推進
 〇就労環境や処遇の改善
 〇働き方改革を促す入札・契約制度
 〇工事現場における就業者の安全及び健康対策
 〇社会保険未加入対策の更なる推進

担い手の確保・育成
 〇担い手の育成
 〇産学官が連携した理解促進
 〇「静岡どぼくらぶ」を活用した戦略的PR
 〇担い手確保・育成のための入札・契約制度
 〇就労環境や処遇の改善(再掲)

建設現場における生産性の向上
 〇建設生産プロセスにおけるICTや新技術の活用
 〇発注・施工時期の平準化の推進
 〇適切な工期設定
 〇市町への支援

経営の安定化と地域力の強化
 〇建設市場に対応した地域建設企業の経営プロセスの改善
 〇地域の守り手に配慮した入札・契約制度
 〇増大する社会インフラの維持管理・更新需要への対応
 〇災害対応力の向上・国土強靭化
 〇地域の多様な主体との連携強化

美しい景観の創造力向上
 〇きれいな現場の実現
 〇新設・維持管理・更新における美しい景観形成への意識醸成
 〇美しい景観を創造する技術力の向上
 〇美しい景観の創造に向けた入札・契約制度


◎「静岡県建設産業ビジョン2019」の本文は静岡県交通基盤部HPに掲載しています
 https://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-110/documents/vision2019.pdf