熱海伊豆山で心をつなぐ集い
「御霊の安寧と地域のつながりを」


 2021年7月3日、熱海市伊豆山地区の逢初(あいぞめ)川流域で大規模な土石流災害が発生し、死者26人、行方不明者1人、半壊・全壊家屋128軒に上る甚大な被害を出しました。伊豆山町内では、地区の町内会・観光協会・旅館組合・温泉組合など関係諸団体が一致協力して「熱海伊豆山で心をつなぐ集い」(大舘節生世話人代表)を発足。慰霊碑の建立や月命日の開催といった行事を開き、犠牲者の慰霊を行っています。

 同会を代表して大舘氏、牧野文弘氏(熱海伊豆山温泉観光協会長・熱海伊豆山温泉組合長)、秋山敏富氏(熱海伊豆山温泉旅館組合等専務理事)に設立の経緯や今後の活動などについて聞きました。

般若院での慰霊法要 同院の一部も被災した 境内に設けられた慰霊台
同地には元々足湯が存在したが土石流に流された
佐野茂樹委員長(写真手前)に同会について語る秋山氏(写真左奥)、
大舘氏(写真中央)、牧野氏(写真右奥)
伊豆山神社での慰霊神事 同会は1月23日に正式に発足した

 同会設立の経緯について秋山氏は、「慰霊の催しが必要だという話は発災直後から出ていましたが、行方不明者の捜索が落ち着いてからの方が良いという意見を踏まえ、松本前伊豆山温泉組合長の発案により11月に町内会や旅館組合・観光協会などの各団体に声掛けを始めました。その後12月にかけて設立の賛同書面を送付し、皆さんから快く賛同を頂くことができました」と語られました。

 「熱海伊豆山で心をつなぐ集い」という名称には、昨年逝去された松本前温泉組合長の「伊豆山地域の絆の再構築と亡くなった方々の御霊の安寧を祈る」意思が込められています。

 大舘氏は自宅が土石流の被害にあいながらも、建設協会の長として被災地の復旧に尽力されています。同会の世話人代表に就任した経緯として牧野氏は、「ご自身が被災されながらも、先頭に立って復旧工事を行っている大舘氏にこそ代表をお願いしたいと思いました。また氏は観光協会の役員も務めており、伊豆山町内会・観光3団体・町で暮らす人々みんなで地域の絆を大切にしたいという同会のスタンスにもご理解を頂けると考えました」と話されました。

 その後、伊豆山の頭文字に符合する1月23日に、伊豆山神社での慰霊神事と会合を開き、同会は正式に発足されました。

 現在は、毎月3日の月命日に伊豆山神社、般若院、交互にて慰霊神事、慰霊法要を行っています。慰霊行事では、各団体の世話人に長半纏、一般の方には小忌衣(おみごろも)を配り、誰もが気軽にお参りに来られるような体制を整えています。

 大舘氏は、「亡くなった方々の御霊の安寧と地域の絆を再構築する大切な催しとして、毎月コツコツと続けていきたいと考えています」と述べられました。


復興支援ポスター 伊豆山神社にゆかりのある
源頼朝、北条政子を描いている

 また同会では現在、伊豆山のゆかりのある源頼朝・北条政子を描いた復興支援ポスターを作成しています。

 3月には地域の人々に向けたアンケートを配布しました。そこに記載された方々の様々な思いを受け、今後の事業展開については「同会はあくまでも亡くなった方々、被災された方々とご家族の心の安寧を築くことが目的です。本年7月3日には熱海の仏教会や神社に協力して頂き、発災から一周年の慰霊の催しを実施できるよう調整しています」と考えています。

 併せて、「23年の3回忌まで義援金などの受け付けも可能ならば継続し、我々の活動が被災地の復興ひいては伊豆山前進の一助となれるようにしていきたいです」と意欲を語られました。