麦とホップと水と…。情熱。「HORSEHEAD LABS」

 1994年の酒税法改正。最低製造数量基準の引き下げにより、小規模なビール醸造会社が全国各地に誕生。「地ビール」と総称されるブームの始まりです。
 それから四半世紀。2022年睦月、「HORSEHEAD LABS」は、東海道15番目の宿場町・静岡県の蒲原宿(かんばらしゅく)に暖簾を掲げました。「悠久の時の流れのひと刹那、この場所をお借りしてお酒造りをします」(代表取締役社長の髙見祐輔氏)

HORSEHEAD LABS(ホースヘッドラブズ)

公式Web https://horsehead-labs.com/

HORSEHEAD LABS株式会社(髙見祐輔代表取締役社長)
『地域に貢献するまちづくり企業』スルガノホールディングス(栗山勝訓代表取締役CEO)の酒造事業会社。

 現在は第一工場(静岡市清水区蒲原2ノ4ノ8、スルガノヴィレッジ内)で、試験的に木、金、土曜日に直売。
営業時間は次の通りです。
木曜日 10:00 - 19:00
金曜日 10:00 - 19:00
土曜日 11:30 - 19:00

こだわりは自社で育てたビール麦、ホップ

 「HORSEHEAD LABS」は、スルガノホールディングス(栗山勝訓代表取締役CEO)の酒造事業会社です。栗山CEOは「地ビールと呼ばれるのなら、可能な限り"地"のモノで造りたかった。自社で育てたビール麦、ホップ、農産物をぜいたくに使ったクラフトビールが誕生しました」と話し、「ワインや日本酒、ウイスキー。ビールから始めましたが、"蒲原"ブランドの酒造会社に発展させたい」と、今後の展開も見据えます。
 そのためにも、栗山代表が代表取締役を務める駿河重機建設株式会社(静岡市清水区)には、林農業事業部があります。建設業と林業・農業は、非常に"はたけ"が似ているのです。
 同部の市瀬健一郎氏は、「HORSEHEAD LABS」で使うビール麦、ホップを畑で育てています。もちろん、地元の畑。その広さ1500坪です。市瀬氏は「収穫した麦は、麦芽粕となり、その後、堆肥化します。SDG'sの一環だと捉えています」と話します。

ホップ畑全体ホップ収穫前ホップ
麦畑全体麦収穫前麦芽粕麦芽粕 堆肥化

一口メモ

ビール製造工程

  1. 麦芽を粉砕し、57℃前後の湯に投入。1時間ほどかけて、酵素の力で麦芽のでんぷんを麦芽糖に変化させる。
  2. 麦芽糖が大量に含まれた麦汁を循環濾過し、清澄化した麦汁をケトルに移動して60~90分煮沸する(この際に複数回に分けてホップを投入する)。
  3. 100℃の麦汁を熱交換器を利用して一気に20℃前後に冷却し、発酵タンクに移送する。
  4. 発酵タンクに移送された麦汁に酵母を添加する。
  5. 1週間程度発酵させる(この際に香りづけのホップを添加することもある)。
  6. 酵母澱を排出し、3週間程度熟成させる。
  7. 容器に充填してラベル添付して出荷。
1000リットルの仕込釜が二つ<左側の釜が糖化槽(マッシュタン)、右側がケトル>。
ビール麦はここで麦汁に。

クラフトビール

髙見社長(左)と市瀬氏=第一工場内、左に並んでいるのが発酵タンク

 地ビールは、小さな醸造所だからこそ、文字通り手塩にかけ、じっくり作ります。職人技・クラフトマンシップが込められていることから、「クラフトビール」とも呼ばれています。
 「HORSEHEAD LABS」の髙見社長は「私たちは世界で一番仕事を楽しむ醸造技術集団」と胸を張ります。そして「雄大な富士山のふもと、おいしい水と、太陽と潮風が育んだ私たちの作品をぜひお楽しみください」とも。
 髙見社長たちの造るビール。飲みたくなってきませんか?