平成23年度は、東日本大震災、頻発する集中豪雨、台風12号、15号による被害など、日本が「災害列島」であることを強く認識させられた年であった。現在、被災地では、地域の建設企業が使命感をもって復旧・復興活動に当たっているが、復興スキームの遅れもあり、順調な進捗とは決して言えない状況にある。今後、復興に向けての具体的実施計画が早急に策定され、全国の多くの建設企業の参画のもと、東北地方の復興がスピード感をもって進むことを強く望むものである。
この東日本大震災等の影響により日本経済は深刻な打撃を受け、2半期連続のマイナス成長になるなど、極めて厳しい環境が続いている。政府は、平成24年度予算編成に当たって「日本再生元年予算」と位置づけ、震災復興経費を別枠で管理する特別会計等を含め予算規模は過去最大となる約96兆円の予算案を提出しているところであり、国土交通省所管の公共事業関係予算については、復興庁一括計上分を除いても約4兆3,800億円と前年度をやや上回る予算を確保している。
こうしたことを背景として、民間を含めた平成24年度の建設投資額の見通しは、前年度比2.3%増の44兆8,300億円と予測されているなど、建設業界にとってやや明るさも見えるものの、現状の建設業界、とりわけ地方建設業の経営環境は一段と厳しさを増している。
当協会が昨年7月に実施した会員の「業況アンケート調査」結果では、施工高が減少している、収益が悪化していると回答した企業が共に7割以上と極めて高い割合を示すとともに、業界全体の動向については、約9割が悪化傾向にあると悲観的な予測をしている。
また、建設業許可業者数をみると平成23年3月時点で全国では498,806者と前年より2.8%減少し、30年ぶりに50万を下回り、本県も前年比2.2%減の15,865者と全国と同様減少している。しかしながら、建設投資が大幅に減少している中での過剰供給構造には変わりなく、受注量の減少、競争激化、ダンピング受注の頻発等による利益率の著しい低下により、多くの会員企業が倒産・廃業に追い込まれかねない危機的状況にある。当協会傘下会員数も減少傾向に歯止めがかからず、23年度も既に12社の退会等により現在548社と、極めて憂慮すべき事態になっている。
こうした中、国においては、かってない厳しい局面に立たされている建設業者の活力回復と持続的発展を図るため、昨年6月に地方建設業の抱えている課題に初めて焦点を当てた「建設産業の再生と発展のための方策2011」を取りまとめた。現在も具体的方策の実施方法等について、検討を加えているが、この具体的方策が予算、制度に速やかに反映されることを期待している。
また、静岡県においては、建設業協会が長年要望してきた「静岡県建設業審議会」が昨年2月に再開され、5回にわたる審議を経て、11月4日に「力強く安全安心な“ふじのくに”づくり~静岡県建設産業ビジョン~」として知事に答申された。このビジョンに掲げられた取組みについて、今後とも審議会においてフォローアップをするよう要望するとともに、本ビジョンの実現に向けては、行政と当協会・建設業界が一体となって進めていく必要があり、当協会として取組むべき課題については、できる限り事業計画の中に反映させていく。
「公益法人制度改革関連三法」の施行を踏まえ、新しい公益法人を検討するため平成21年4月に協会内に「公益法人制度改革検討委員会」を立ち上げ、約3年の検討を経て、昨年11月9日の臨時理事会・臨時総会において、定款の変更等申請に必要な事項について承認をいただいたところである。
平成24年4月1日に登記を完了し、新法人がスタートする予定であるが、従来の事業を継続しつつ会員企業の期待に応えられるよう、新法人にふさわしい事業展開を目指していく。
また、長年にわたり建設産業の現場等の労働条件の改善を推進するために、独立行政法人雇用・能力開発機構の助成金制度を最大限に活用しながら、協会事業を展開してきたが、国の事業見直しに関連し、当機構が昨年9月末に廃止され、その取り扱いについては、静岡労働局に移管された。これに伴い、これまでの継続事業の円滑な実施が一部危惧されるところであるが地方中小・中堅建設業者の労働条件の改善や雇用対策は、他産業に比較するとかなり立ち遅れており、協会としても引き続き対応すべき重要な事業であると認識しているので、可能な限りの事業収入の確保に努めつつ、厳しい現状を打破し、事業の継続実施を図っていきたい。
以上のような現状を踏まえつつ、『技術と経営に優れた企業の集団であるとともに地域に密着した建設業協会』を目標として、次の項目を重点事業として実施する。
なお、事業執行に当っては、全国建設業協会が制定した「建設企業(団体)行動憲章」に基づく法令遵守の徹底と企業(団体)の社会的責任(CSR)への対応についても適正かつ厳正に取組む。
1. 会議等
(1) 総 会
(2)正副会長会議
(3)理 事 会
(4)協議員会
(5)全国建設業協会関係会議
(6)東海四県ブロック会議等
(7)その他の会議
2. 委員会
(1)総務・広報委員会
(2) 労務委員会
(3) 環境・災害対策委員会
(4) 特別委員会
3. その他
(1) 土木・建築関係
(2) 建設論文事業の実施
高校生等を対象の「第32回建設論文」事業を、今後の人材確保推進事業の一環として昭和会の協力を得ながら実施する。
(3) 関連機関、諸団体との連絡協調、防犯意識の高揚、交通安全意識の推進、しずおか男女共同参画推進、福祉事業等県協会の目的達成のための諸事業への参加等を積極的に実施する。