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我が心の山


  渡辺 克紘 ((株)保坂組 富士協会)

アンナプルナT峰で

ベースキャンプ

アンナプルナT峰のナイフリッジ
 私が今最も熱中している趣味はゴルフですが、その原点には山登りがあります。ゴルフはその日のスコアが数字としてはっきり記録されるので、優劣が一目瞭然でわかります。しかし、山登りというのは、元来そうした競技性を問うものではないと思います。ですから今日の山行は、誰が一番であったかとかを言う事自体ナンセンスです。その時々の山行に人それぞれの思い入れがあり、その人なりの登山観を持って山登りをしていると思います。 
 今、中高年の登山ブームですが、それには、こうした山登りの特性が魅力となっているのではないでしょうか。日常生活の煩わしさから一時離れ、大自然の中に身をおき汗を流す。これは現代人にとって、登山に限らず最高に至福の時だと思います。
 私自身は、小学生、中学生時代にボーイスカウトに入り野外活動で山登りに目覚め、高校、大学と登山に熱中し、現在の会社に就職後も結婚するまで、休日は山登り、山スキー、渓流釣りと夢中で過ごし数多くの山に登りました。 
 自分の山歴の中で心に残る山の心象風景を考えてみました。これらは他の人にすると取るに足らない様なものかもしれませんが、自分にとっては心に焼きついて離れないものです。その一つが、会社の皆様の理解を得て長期休暇をもらい行くことが出来た、標高8091mのアンナプルナT峰(静岡県山岳連盟ヒマラヤ遠征隊)の7000m付近より遠望したチベット高原でした。ネパールヒマラヤの7000m付近まで登って、はじめて見る事ができたはるか後方のチベット高原を見た時、それまでの苦しさ、楽しさすべての事が自然と一体化するような不思議な感覚におそわれました。 
 結局私のヒマラヤ8000m峰挑戦は、7500mの最終キャンプが最高到達点でしたが、平地の3分の1程度の酸素で思考力の薄れた状態の中、妙にその風景が心の中に焼きついています。 
 その後、アラスカで見た大氷河や、東北朝日岳山頂で見た天の川大星雲と、心に焼きついた風景がいくつかあります。最近山には、あまり登っていませんが、これらの風景は自分の心の中の年輪として刻まれています。50才となった今、若い時と違った新しい風景を求めて、山登りをしたいと思っています。