緑に包まれた空港づくり

はじめに

富士山静岡航空完成予想図

富士山静岡航空完成予想図

空港建設地は牧之原台地から東にのびる尾根部、島田市と牧之原市にまたがる地域にあります。尾根部の平坦地のほぼ全面に茶が栽培され、傾斜地や沢部の多くはスギ・ヒノキの人工林や里山林となっていました。

残された赤松林や広葉樹林からなる里山林は、薪や炭をはじめとする様々な恵みや豊かな季節感を与えていましたが、ここ30年ほどの間に人が入って利用することが少なくなり、マツクイムシによる松枯れの被害や竹林の拡大・侵入などによって、衰退し荒れた場所が多くなっています。スギ・ヒノキ林の多くも間伐や下草刈りなどの手入れが行われなくなり、密生した暗い林となっています。

このように、空港周辺の自然環境は、本来、人の営みのなかで育まれてきた「里地・里山」であり、その失われつつある多様な自然を持続的に保全することが求められています。

空港の建設は周辺の環境を大規模に改変することになりますが、その影響を緩和するだけでなく、人々の求める里地・里山の自然環境の保全と再生に寄与する事業でありたいと考えています。駿河湾・大井川・南アルプスの山々、そして雄大な富士山という自然の眺望を誇る空港であるだけでなく、自然との調和を実現した地域作りのために、次のような環境保全対策に取り組んでいます。

  • 1.貴重生物の保護・保全

    地域の生物多様性が失われないよう、貴重生物等を移植・増殖により守ります。

  • 2.「空港の森」作りの推進

    空港の周りにできる造成斜面を郷土種により樹林化し、空港周辺に残る森林を安全で豊かな森へとエコアップします。

  • 3.野生生物の生息空間の復元

    失われていた谷戸田や消失する水辺の環境の代償として、調整池の活用や残される谷などを整備し、豊かなビオトープ(野生生物の生息空間)とします。

  • 4.オオタカの住む里山環境の保全

    オオタカを指標として空港周辺の広域における里地・里山の環境保全に努力します。

  • 5.生活環境の監視と保全

    空港の近隣または周辺に暮らす人々の生活環境を守るため環境監視や対策を講じます。

空港の概要

設置管理者 静岡県(第3種空港)
位置 松之原市・島田市
管理面積 約190ヘクタール
周囲部を含む取得面積は約500ヘクタール
滑走路 長さ2,500メートル、幅60メートル、標点の標高132メートル
大型ジェット機の就航が可能
開港予定 平成21年3月
概算事業費 飛行場約490億円(全体額約1,900億円)

空港の概要

空港の概念図
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貴重生物を守るために

開発の過程で、かけがえのない自然を絶やすことのないように、大切に守り続けます。

専門家による貴重動植物等の調査を実施し、移植や増殖を行っています。

空港の建設工事によって貴重な野生生物が失われることがないように、充分な注意を払わなくてはなりません。工事を始める前に、それぞれの工事箇所について専門家による貴重動植物等の生息状況の調査を実施しています。

その結果は、静岡空港環境監視機構や自然環境巡視連絡会に報告され、専門家からの助言や指導に基づいて対応しています。生育・生息に適した場所への移植、個体数の少ないものや移植が難しい生物は増殖して保全を図っています。

また、空港建設地の島田市湯日、牧之原市坂口地区に配置された2名の環境巡視員が、巡回するなどして環境へ悪影響はないかなどについて注視しています。

元気に育って!貴重な植物

静岡県版レッドデータブックで絶滅のおそれがあると選定された植物や空港周辺地域の植生を代表する草本類、木本類66種類について、移植などの保護対策を実施しています。

特に、生育数が少なく生育地が限定されているタコノアシ、フジタイゲキなどの植物は、千頭ヶ谷ビオトープ、赤坂池ビオトープなどの新しく生育に適した環境を整備し保護しています。

タコノアシ フジタイゲキ
タコノアシ
湿地に生える多年草。8〜9月に花が咲く。花がタコの吸盤のように並んでつくため、名づけられた。
フジタイゲキ
草花に生える多年草。6月ごろに花を咲かせる。上部にあるほうの葉が黄色をしていて美しい。静岡県特産の植物。
エコエアポート達成度

工事着手前には、地表面の草木をくまなく調査します。
  この調査は平成9年より開始して、今年度中には予定していた調査区域をほぼ終了します。

◆自然環境モニタリング面積(平成19年12月末現在)
モニタリング面積293ヘクタール 貴重植物等のモニタリング風景

貴重植物等のモニタリング風景

貴重植物等を工事区域から保護した株数(平成19年12月末現在)
<静岡県版レッドデータブックに記載されている植物>

○全滅危惧(I種、II種)

 フジタイゲキ、ナギラン、クマガイソウ、ナツエビネ、ツルギキョウなどの8種・・・約400株

○準全滅危惧、要注目種

 タコノアシ、クサナギオゴケ、エビネなどの12種・・・約3,200株

<空港の周辺地域の植生の代表的な種など>

○草本類/スズカカンアオイ、コクラン、シュンランなどの23種・・・約7,200株

○木本類/ミミズバイ、クチナシ、クロバイなどの15種・・・約5,500種

ちょっと教えて!その1  「レッドデータブック」って、なーに?

絶滅のおそれのある種の危険性を的確に把握し、一般への理解を広めるため、環境省がまとめた「日本の絶滅のおそれのある野生生物」を“レッドデータブック”といいます。

また、静岡県がまとめた「まもりたい静岡県の野生生物」を静岡県版レッドデータブックと言います。

これは、貴重な野生生物をすでに絶滅したと考えられる「絶滅」、飼育や栽培の身で存続する「野生絶滅」というランクから、絶滅のおそれのある種はその可能性が高い順に「絶滅危惧T種(IA、IB類)」、「絶滅危惧U類」、「準絶滅危惧」と分けています。静岡県独自の区分としては「要注目種」があります。

生息し続けて!貴重動物

環境影響評価書において、両生類では貴重種としてカジカカエルが、静岡県において注目すべき種としてヤマアカガエル、ニホンアカガエルなどがあげられています。

これらについては、繁殖に使われる環境の復元を進めながら、工事等の影響を受けるおそれのある卵やオタマジャクシを工事区域から聖域に適した環境へと移植しています。

カジカガエル ヤマアカガエル
カジカガエル
フィーヨーフィーフィーフィーと美しい声で鳴く。清流の代表としていつまでも残しておきたい。
ヤマアカガエル
山地の家や湿地に2〜3月に産卵する。工事の影響を受ける恐れのある卵は、生息に適した場所に移植します。
エコエアポート達成度

静岡空港整備事業への環境影響評価書においては、「生息環境である水辺やそれに隣接する草地や
  樹林を整備する等、生息環境の整備・保全・創出に努めること」とされています。

貴重動物の保護の状況 (平成19年12月末現在)

●カジカガエルの移植数 約5,600個体

捕獲場所養勝寺沢、Y4調節地下流

放流場所湯日川支流、坂口谷川支流など

●その他のカエル類の移植数 約250卵魂

(1卵魂は500〜3,000個の卵の塊です)

                     約1,700個体

(ヤマアカガエル、ニホンアカガエル、アズマヒキガエル)

捕獲場所養勝寺沢、調節池など

放流場所造成したカエル池(柿木沢、赤坂池上流など)

ヤマアカガエルの卵魂

左:カエルは空港周辺に整備された池に移植している
右:ヤマアカガエルの卵魂

●ゲンジボタル、ヘイケボタルの増殖数 約2,200個体

捕獲場所自衛隊峠付近など

飼育場所空港ビジターセンター

放流場所養勝寺沢、水ヶ谷地下流など

ゲンジボタル

左:ゲンジボタルの放流風景
右:ゲンジボタル

ちょっと教えて!その2 ゲンジボタルの増殖ってどうするの?

ゲンジボタルの増殖ってどうするの?
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豊かな森にするために

新たに造成された斜面(のり面)などは、地域の樹木を植え、豊かな森に育てます。空港用地内に森林を残し、安全で生き物の豊かな環境の保全に努めます。

空港の周りの斜面を樹林化

新たに造成された斜面は、一般的に行われている草の種子を吹き付けて緑化する工法ではなく、空港建設地やその周辺で採取した種子から生産した「郷土種」の苗木をはじめ、工事区域から掘り取った幼木や伐採した後の根株を植栽するなど、「郷土種」による森林の復元を進めています。

郷土種にこだわるのは、もともとあった地域の植生を変化させないだけでなく、同じ種類の植物でも地域ごとに遺伝子的な違いが知られているからです。また、他の地域から苗を持ち込むと一緒に思いがけない植物の種子や昆虫などが持ち込まれる危険もあります。

造成斜面

植樹により緑化された造成斜面

ちょっと教えて!その3 どうやって盛土斜面に森を復元するの?

自然の植生遷移を応用して、植生を早期に回復させ、樹林化によって安定した盛土斜面の保全を図ります。先駆植物や落葉樹と、常縁樹を混植し、時間の経過とともに目標とする森林を造成します。
植樹の構成

将来中心となる常緑樹を主体(6〜7割)とし、残りは落葉樹を植えます。

植樹の区分

造成斜面の高さに合わせて植える樹木の種類を変えます。

植樹の密度

郷土の苗木を1平方メートルに1本植えます。

緑化基盤

伐採木した枝、葉、根株のチップを利用したリサイクル堆肥と現地の土を混ぜて造成斜面を覆います。厚さ30センチ。

斜面の保全

盛土斜面の初期侵食や乾燥を防止、増加を抑えるために、伐採木のチップを敷き詰めます。厚さ5センチ。

どうやって盛土斜面に森を復元するの?
エコエアポート達成度

緑あふれる「空港の森」をつくるため、郷土種の苗木を島田市湯日、松之原市坂口の生産プラントなどで
  育てています。苗は盛土斜面や切土斜面、農地跡地などに植えています。

◆おもな生産樹種

シイ、タブノキ、イチイガシ、アラカシ、ヤマモモ、クスノキ、ヤマザクラ、コナラ、リョウブ、ミミズバイ、ムラサキシキブ、ネズミモチ、クサギなど

ポット苗の生産実績 (平成19年12月末現在)
樹種数72種/これまでの生産数約40万本
静岡空港苗木生産プラント

静岡空港苗木生産プラント
(牧之原市坂口圃場)

空港用地内に残る森林のエコアップ

緩衝緑地として空港のまわりに残される山林には、人の手が入らなくなったため過密で暗い林になり、表土が流出して地面が露出している場所や、竹林の拡大・侵入などに取り荒れた場所などが多くありました。

そこで、林のなかに日が差し込むように、放置されたスギ、ヒノキ林や広葉樹林の間伐、竹林の抑制などを実地して、安全で多様な生物が生息できる環境へと復元していきます。

森林環境のエコアップ前

森林環境のエコアップ前

森林環境のエコアップ後

森林環境のエコアップ後

農地を自然林に復元

空港事業用地内には、茶畑などに利用されていた農地があります。この農地を里山環境の復元のために、自然林として復元しています。復元に当たっては、盛土斜面と同じく郷土種の苗木の植樹や工事区域からの根株移植等により、周辺自然環境との調和に留意した整備をしています。

復元前

復元前

復元後

復元後

ちょっと教えて!その4 森林整備ってどうするの?

下刈り

植えた苗木の生長を促進するために下草を刈る。

伐採

残したい木を守るために、密生した場合など必要に応じて木を切る。

エコエアポート達成度

緑あふれる「空港の森」をつくるため、緩衝緑地にある森林のエコアップや、
  農地の自然林復元を実施しています。

実施面積 (平成19年12月末現在)
森林環境のエコアップ面積85へクタール 農地の自然林復元面積
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野生生物の生息空間の復元をするために

さまざまな動物や植物を育む豊かな野生生物の生息空間を復元しています。

多様な動物や植物が生息するためには、それぞれに適した環境が必要となります。
専門家の指導を受けながら、水辺等の改善の創出を進めています。

よみがえれ!多様な生息環境

野生の生き物が生存するためには、えさが豊富で成長できることと、子孫を残すことができる環境が不可欠です。この条件がそろっていて、自然に暮らして行ける場所をビオトープと言います。ゲンジボタルやカジカガエルには清流が、チョウにとっては草花の咲く草原が不可欠です。空港では、千頭ヶ谷<里山・谷戸田>ビオトープ、赤坂地<せせらぎ・湿地・草原>ビオトープを整備しています。

千頭ヶ谷<里山・谷戸田>ビオトープ
千頭ヶ谷ビオトープ・地図

※散策の道(ハイキングコース)があります。(所要時間:約30分)

千頭ヶ谷ビオトープ
●ビオトープの動植物
エリア 動植物
谷戸田 タコノアシ、オオバギボウシ、ショウブ、セキヤノアキチョウジ、ホトトギス、ヤマホトトギス、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル、アズマヒキガエル
草原 ヤマユリ、コバノミツバツツジ、キヨスミミツバツツジ
谷戸のせせらぎ エズネ、オオバノハチジョウシダ、オオナギボウシ、ショウジョウバカマ、ホトトギス、ヤマホトトギス、クチナシ、ミミズバイ、モチツツジ
再生の森 キキョウ、キンラン、ササユリ、ションラン、クロバイ、クチナシ、ミミズバイ、モチツツジ
水源の森 キンラン、クサナギオゴケ、ウスギムヨウラン、タシロラン、キジョラン、コクラン、ションラン、スズカカンアオイ、シタキカズラ、キダチニンドウ、クロバイ、クチナシ、トキワガキ、ナナミノキ、ミミズバイ、モチツツジ
マンサクの群落 シュンラン、マンサク
竹林 タシロラン
駐車場 ウツボグサ

ちょっと教えて!その5 どんな復元をしたの?

千頭ヶ谷池につながる谷のひとつは、竹林が放置され周囲の山や田んぼの跡に竹が侵入するなど荒れ果てていましたが、谷間の田んぼ跡地を水辺に復元し、周囲のうっそうとした森林も常緑樹の森から落葉樹の森に変えてゆく中で、谷間に豊かな光が差し込むようになりました。復元した水辺では、ニホンアカガエルやアズマヒキガエルなどのカエルがたくさん産卵するようになりました。里山の多様な環境復元を進めたことにより、マンサクやミツバツツジ類、シュンラン、オオバノハチジョウシダ、キキョウやヤマユリなどの美しい野生の草花は生育するようになりました。

放置された自然/再生した自然
赤坂地<せせらぎ・湿地・草原>ビオトープ
赤坂地ビオトープ・地図
赤坂地ビオトープ
●ビオトープの動植物
エリア 動植物
明るい丘 フジタイゲキ、ヤマユリ、キキョウ
棚田と池 タコノアシ、ショウブ、ハンカイソウ、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル、アズマヒキガエル、メダカ
せせらぎ水路・湿地 カジカガエル、ゲンジボタル、カワヨシノボリ、サワガニ

調整池周辺の斜面の緑化

調整池の斜面は、平常時は水に浸かっているわけではないので、緑化が可能な場所について草本などによるろ緑化を進めています。空港の周りに整備される12箇所の調節池のうち、10箇所で斜面を緑化します。

S4調整池と空港本体盛土

S4調整池と空港本体盛土

S4調整池と空港本体盛土(標準図)

ちょっと教えて!その6 ビオトープっはどこにあるの?

下の地図のとおり、赤坂地と、千頭ヶ谷の近くに2ヶ所あります。

ビオトープっはどこにあるの?
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オオタカの住む里山を守るために

オオタカの住む里山環境全体の保全に取り組んでいきます。

オオタカ

平成8年6月に空港建設地でオオタカの営巣が確認されたことから、専門家で構成する「静岡空港オオタカ保護対策検討委員会」を設置し、4年間、3営巣期にわたりオオタカの生態の現地調査を実施し保護対策が検討されました。

平成11年12月、委員会から「空港周辺にある複数の営巣地を含む広範囲で、環境改善を実施することで、実効性のある保護が達成できる」との提言があり、これに基づく保護対策を進めていきました。

空港建設工事が進められている現在でもオオタカの生息は継続しています。

オオタカの住む里山を守る

<空港周辺にある4ヶ所の営巣地の保全>
  • オオタカの営巣に重要な範囲について、土地所有者などに理解と協力を求め、県が保全と管理を行います。
  • 空港建設地に隣接する営巣地の県有地化を図るとともに、他の3営巣地については、地形改変の防止、営巣木や周辺の山林の存続を図るため、山林所有者と保全協定を締結しています。
<里山環境の保全>(空港周辺の4000haの保全対象区域)
  • 環境改善を施すことで営巣林として利用される可能性のある森林(営巣可能林)を抽出し、森林整備を実施しています。
  • 空港建設地の山林の除・間伐や造成地の再樹林化により、採餌に必要な動植物の生息環境の整備をしています。
  • 赤坂建設地の里山の環境整備を進めています。
  • 地元市町と鳥獣保護や銃猟規制についての協議をして銃猟禁止区域を設定しました。
<継続的な保護対策の実施>
  • 空港建設地や周辺でオオタカ営巣状況などのモニタリングを継続しています。
  • オオタカ保護連絡調整会議を設置し、自然環境保護団体、県、地元市町で保護対策の調整を図っています。

エコエアポート達成度

保護対策の対象範囲(4,000ha)内の営巣地について繁殖状況モニタリングを
  継続して実施しています。このモニタリング結果は、保護対策に反映させています。

◆営巣環境の保全と整備
繁殖状況 平成9年
1998
平成10年
1999
平成11年
2000
平成12年
2001
平成13年
2002
平成14年
2003
平成15年
2004
平成16年
2005
平成17年
2006
平成18年
2007
平成19年
1998
営巣確認
地点数
4 4 3 2 4 3 5 5 3 2 3
巣立確認
地点数
1 4 2 1 1 3 5 5 3 2 0
巣立ち
雛の数
1 6 3 3 1 6 9 10 4 3 0

(注)巣立ち確認地点数は、営巣確認地点のうち巣立ちが確認できた地点数

ちょっと教えて!その7 保護対策の対象範囲4,000haてどの範囲?

保護対策の対象範囲

空港を含む周辺の4,000haが保護対策の対象範囲

空港建設地

オオタカ

富士山静岡空港事業に関連してこの地域に生息するオオタカを保護するため、事業区域(500ha)だけでなく、より広範囲な区域4,000haをほご対策の対象範囲として、最大4つがいのオオタカが繁殖できる営巣環境を保全・整備しています。

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自然環境保護のための仕組み

自然環境の保全対策は、環境アセスメントを踏まえ、
静岡空港環境監視機構などの指導・提言により進めていきます。

環境アセスメント

富士山静岡空港の建設に伴う環境アセスメントの手続きは、「運輸省所管の大規模事業に係る環境影響評価実施要領」(昭和60年運輸大臣通達)及び「静岡県環境評価要綱」(平成4年)に基づいて実施しました。

現況調査(昭和63年〜平成6年)

●公害項目 気象、大気、水質、騒音・振動

●自然環境 地形・地質、植物、動物、警官、野外レクリエーション地

環境影響評価準備書告示

環境影響評価準備書の縦覧、地元説明会の開催、関係住民意見書の受付、知事意見(環境担当)の受付

環境影響評価書告示

環境影響評価書の縦覧

自然環境保全対策の検討

富士山静岡空港の建設地および周辺区域の自然環境の保全・復元を図るため、環境影響評価書による調査に引き続き、動植物の専門家等(26名)による自然環境保全対策検討委員会を平成7年12月に設置し、この地域の動植物の詳細を調査し、復元方法を検討しました。平成9年3月の報告書では、郷土種による植生の復元、自然保全・復元区域の構想、自然代替地の検討などの具体的な保全対策の提言されました。

また、オオタカの保全については、別途オオタカ保護対策検討委員会(平成8年9月〜平成11年12月)が調査、保護対策の検討を行いました。

自然環境保全の体制

専門家の指導や地元の意見に基づき、動植物の生息環境を保全ない、貴重種の移植や工事地域の緑化を図っていきます。

自然環境保全の体制

「人と自然にやさしい静岡空港」宣言

静岡空港は、環境との共存を最重要課題としてとらえ、これまでも郷土種による森づくり、森林環境のエコアップ、水辺の環境の整備等、自然環境保全対策に積極的に取り組んでまいりました。空港建設も最盛期を迎え、こうした先進的な取り組みをさらに強力に推進していくとともに、開港を見据え、今後の環境対策の決意を、「人と自然にやさしい静岡空港」として、改めて宣言しました。(平成15年10月 静岡空港環境未来フォーラム)

環境問題は、私たちが21世紀を会的かつ安全に生きるため全力で取り組まねばならない、大きな課題であります。

静岡空港の建設にあたって、私たちは地球環境との共存を図るため、空港周囲部の里山をはじめ水辺や農耕地に広がる多様な自然環境、貴重な動植物等の保全に努めております。今後は、これらに加え、空港の活動によって生じる地球環境への負荷を軽減し、資源・エネルギーの循環を基調とする持続的発展が可能な空港を目指します。

このため、人と自然にやさしい静岡空港の実現に向けて、下の事項を積極的に取り組んでまいります。

  • 地域住民とともに空港を取り巻く会的な地域環境づくりを行います
  • 豊かな自然に包まれた空港を実現します
  • ユニバーサルデザインを取り入れた親しみのある空港にします
  • 環境負荷の抑制に努めるとともに、循環型社会に向けての活動を推進します
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生活環境を守るために

空港の近隣または周辺に暮らす人々の生活環境を守るため
環境監視や対策を講じています。

空港本部工事、アクセス道路工事等が周辺地域に及ぼす影響について
把握するため、水質汚濁、粉じん、建設作業騒音・振動、道路交通騒音・振動について
監視を行っています。

環境監視(調査)

調査結果については、静岡空港環境監視機構に報告しています。

  1. 水質汚濁
    • 河川の水質調査・・・湯日川、坂口谷川、勝間田川の13地点で実施しています。
    • 河川の水質調査・・・湯日川、坂口谷川、勝間田川の13地点で実施しています。
  2. 大気汚染
    • 粉じん調査・・・空港ビジターセンター、島田市金谷、牧之原市坂部で年1〜4回実施しています。
    • 降下ばいじん調査・・・島田市湯日・柿木沢ほか10ヶ所で通年にわたり実施しています。
  3. 建設作業現場
    • 騒音振動調査・・・空港ビジターセンター、S4調査池ほか4ヶ所の民家近くで測定しています。
  4. 道路交通
    • 騒音振動調査・・・島田市湯日下湯日、牧之原市坂部において年3回測定しています。

ちょっと教えて!その8 「生活環境調査」はどこで行っているの?

生活環境調査地図
水質調査

水質調査

降下ばいじん調査

降下ばいじん調査

建設作業騒音・振動調査

建設作業騒音・振動調査

環境保全対策

  1. 環境影響評価書での、公害防止のための措置を踏まえ工事中の対策を実施しています。
    • 低騒音、低振動、排ガス対策型の作業機械を使用しています。(写真(1)参照)
    • 散水によって粉じんの発生を防止しています。(写真(2)参照)
    • 民家や茶畑に接する場所では、必要に応じて防砂ネットを設置しています。
    • 資材運行車両が集中しないように経路を分散し、道路交通騒音・振動・排出ガスを防止しています。(写真(3)参照)
    • 切土、盛土面は、緑化することで濁水の発生源対策をしています。(写真(4)参照)
    • 調節池では、沈砂やろ過により濁水の発生防止に努めていきます。(写真(5),(6)参照)
    • 監視調査で異常値が発生した場合には、追跡調査と改善対策を実施していきます。
  2. 地元住民代表、工事請負業者、地元市町で工事協議会を組織しています。
    • 地元2市1町の4地区に設置しており、それぞれ年1、2回協議会を開催しています。
    • 各年度の工事計画を説明するとともに、工事騒音、交通安全等について協議しています。
●写真で見る環境保全対策の実施状況
1.低騒音・低振動・排出ガス対策型の重機の使用

(1) 低騒音・低振動・排出ガス対策型の重機の使用

2.空港本体部の散水

(2) 空港本体部の散水

3.旗などの目印で工事車両を明示

(3) 旗などの目印で工事車両を明示

4.造成法面の樹林化

(4) 造成法面の樹林化

5.シルトフェンスの設置

(5) シルトフェンスの設置

6.調整池の浚渫

(6) 調整池の浚渫

●現場監視カメラシステム

空港建設事務所では、空港建設現場に設置した遠隔操作カメラをモニターすることにより、ダンプトラック等の走行によるホコリなどの発生状況を把握し、迅速に散水の頻度を増やすなどの措置をして周辺への影響を軽減するように努めています。

ソーラーカメラシステム

ソーラーカメラシステム

監視カメラ

監視カメラ

エコエアポート達成度

浮遊物質量(SS)が環境影響評価書で定めた保全目標を超えることがありましたが、保全対策を
  実施して、防止に努めるとともに、水質や水生生物の調査を継続していきます。

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開港に向けての今後の予定と流れは次の通りです。

8月 滑走路全面完成
9〜11月 開港へ向けての手続き、検査等
11月8〜9日 イベント(スカイジャパーン&エアーポートフェスタ2008in静岡)
一般の参加、見学は自由です
スカイ・レジャー・ジャパン&エアポートフェスタ資料
(PDF FileSize:99.8 KB)
スカイ・レジャー・ジャパン&エアポートフェスタ資料
1月 ターミナルビル完成
3月 富士山静岡空港開港

開港に向けての空港見学は、団体、個人でも随時見学できます、10名以上は職員が同行して説明をいたします、ぜひビジターセンターにお越しください。

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どこへ行けるの?どんな空港ができるの?みんなの疑問にお答えします。

富士山静岡空港 ビジターセンター

ビジターセンターでは、空港のこと、静岡とつながる世界のことなどを模型や映像などを使い、わかりやすく紹介しています。東名高速道路吉田インターチェンジから車で15分、入場無料。建設現場を一望できる「展望台」とあわせて、お気軽にお立ち寄りください。

富士山静岡空港 ビジターセンター
〒427-0113
静岡県島田市場湯日3801
TEL&FAX.0547-38-5788
ホームページ
http://airport.pref.shizuoka.jp/
ビジターセンター地図 静岡県空港部

静岡県空港部

〒420-8601 静岡県静岡市葵区追手町9-6
TEL.054-221-3355
FAX.054-221-2159
ホームページ:http://www.pref.shizuoka.jp/kuukou/contents/
E-mail:airport-suishin@pref.shizuoka.lg.jp
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