浜松市天竜区に2025年6月30日にオープンした自然体験型宿泊施設「atago feels(あたごフィールズ)」は、廃校となった下阿多古中学校をリノベーションした「泊まれる学校」。ランドデザインが企画、設計、運営する同施設は、子どもの遊び場を作りたいという思いで作られた。教室の面影を残す宿泊施設、地元の特産品を集めたマルシェ、自然に囲まれたキャンプ場が特徴で、内装は自然由来の素材にこだわっている。今回はatago feelsにお邪魔してランドデザイン代表取締役 河野陽一さんに事業について話を聞いた。
――この施設をオープンした経緯について
保育園や幼稚園、障がい者施設などの社会福祉施設を設計する中で、子どもの在り方について考えることが多くなりました。日々子どもたちと接する中で、便利な時代になった反面、生きづらさを抱える子どもたちが増えていることを実感するようになり、子どもが自然豊かのなかで遊べるような場所を作ろうと思ったことがきっかけです。候補地を探すうちに、不要になった公共施設の利活用を検討するプロポーザルについて知る機会があり、応募したことで事業がスタートしました。
―施設のこだわりは
「もりのごはんや」で提供する食事は、できるだけ体に良い素材を使い、体にも心にもやさしい料理を届けたいと考えています。また、宿泊施設では装飾や家具に至るまで、自然由来の素材を用い、人の手で丁寧に作られたものにこだわっています。手仕事のものは丈夫で長く使えるだけでなく、どこかぬくもりを感じられるのが魅力です。
さらに、一部浴室では阿多古の井戸水を使用しており、地域の自然を感じていただけます。図書室には幅広いジャンルの絵本やボードゲームをそろえ、子どもから大人まで思い思いの時間を過ごせる空間づくりを心掛けています。
―オープン後1年が経過して
地域の皆さまに気軽に足を運んでいただけるよう、月に1~2回ほど陶芸教室やヨガ、ピラティス、各種ワークショップなどを開催しています。今年は浜松交響楽団による演奏会を企画しており、子どもたちや地域の方々に音楽に親しんでいただく機会をつくりたいと考えています。また、「あたごアートキャンプ」と題し、子どもたちがさまざまなアートやものづくりに触れるイベントも計画しており、文化や芸術を通じた地域交流の場を広げていきたいと思っています。
おかげさまで開業から1年を迎える中で、地域の皆さまにも少しずつ認知していただけるようになり、あたごフィールズが地域に根付いてきたことを実感しています。
また、県外の官公庁や福祉関係者の方々による視察も増えているほか、東京や大阪をはじめとする遠方からの宿泊利用も増えています。公式SNSでの情報発信や、お客様からの口コミによってあたごフィールズの魅力が広がり、新たなご縁につながっていることを大変うれしく感じています。
―今後の展望は
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| スタッフ集合写真 中央 河野様 |
まずは地域の皆さまに愛される施設になることが一番の目標です。地域の方々に気軽に利用していただき、ここに来ると少し元気になれる、ほっとできる、そんな場所でありたいと思っています。
また、遠方からのお客様にも足を運んでいただき、あたごフィールズならではの体験を楽しんでいただきたいと考えています。実際に訪れた方に喜んでいただき、その満足感がSNSや口コミを通じて広がることで、少しずつファンを増やしていければうれしいですね。
今後は体験活動をさらに充実させていきたいと考えています。田んぼや果樹園などの農業にも携わりながら、子どもから大人まで自然に触れ、体験できる場づくりを進めていきたいです。四季の移ろいや自然の恵みを感じてもらい、昔ながらの暮らしや営みに触れる機会を提供できれば面白いと思っています。
便利な時代になった一方で、自然や人とのつながりを感じる機会は少なくなっているように感じます。この施設でのさまざまな体験を通して、子どもたちはもちろん、大人にとっても元気を取り戻したり、ふっと心がほどけたりするきっかけをつくっていきたいですね。

