掛川市粟ケ岳周辺
世界農業遺産に認定された「茶草場(ちゃぐさば)農法」を知る

世界農業遺産とは

 世界で59地域、日本国内では11地域が認定されている「世界農業遺産」。そのうち静岡県には二つの認定地域があることをご存じでしょうか。一つは静岡市など6市5町が認定を受けた「静岡水わさびの伝統栽培」地域。そしてもう一つが今回ご紹介する、掛川市をはじめとする4市1町(掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町)が認定を受けた、「静岡の茶草場農法」地域です。認定地域を二つ有する都道府県は静岡県だけとのこと。豊かな自然と人の営みが融合し、形作られた里山の美しい風景。その希少さを、改めて見直してみてはいかがでしょうか。

粟が岳周辺の茶畑

茶草場農法とは

 茶園の畝(うね)の間に刈ったススキやササなどを敷き詰めると、茶の味や香りが高まるのだそう。この敷き詰めるススキやササを「茶草(ちゃぐさ)」と呼びます。秋ごろから茶園周辺にある「茶草場」の茶草を刈り、畝に敷き詰める作業が行われます。毎年茶草を敷き重ねてきた畝の土はふんわりとして、これが茶の木の根を覆い、良質な茶葉を育てる土壌づくりにつながるのです。

2019年オープンの粟ケ岳世界農業遺産茶草場テラス「かっぽしテラス」

 2019年には「茶」の文字を山腹に抱く粟ケ岳の山頂に、粟ケ岳世界農業遺産茶草場テラス(通称・かっぽしテラス)が完成。「空と緑を五感で楽しむ」というコンセプトのもと、外観は茶草を干し束ねた「かっぽし」になぞらえ、1階に茶草場農法を紹介するシアターや掛川茶を味わえるカフェレストラン、2階テラスでは茶草場農法がいまも守られる近隣の美しい茶畑の風景とともに、富士山や駿河湾、南アルプス、静岡空港などが一望できる、魅力ある施設となっています。

かっぽしテラス かっぽしテラスからの眺望

「かっぽしテラス」周辺を楽しむ

 茶園や茶草場の緑豊かな粟ケ岳。標高532メートルの山頂へは、適度な運動になるハイキングコースでのアクセスがオススメ。東山いっぷく処を起点にしてのんびりと、トレッキングやサイクリングを楽しむ人たちの姿が多く見られます。近隣にはパワースポットとして人気の事任(ことのまま)八幡宮などもあり、「かっぽしテラス」とともに立ち寄る人の多い場所となっています。

東山いっぷく処 事任(ことのまま)八幡宮

粟ケ岳世界農業遺産茶草場テラス
https://www.chagusaba.jp/
所在地 〒436-0001 掛川市東山1051-1
電話番号 0537-27-0845
入館料 無料
休館日 月曜定休、その他荒天時はお休み ※テラス、トイレは常時一部利用可能