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内田会頭

 伊豆湘南道路は、観光・防災・医療道路など多面的な役割を持つとともに、静岡県東部地域と神奈川県西部地域を結ぶ規格の高い道路、また箱根から下田までの広域的な道路として早期実現が期待されています。平成10年8月には、4市4町と議会、熱海商工会議所などが協力して「伊豆湘南道路建設促進期成同盟会」が立ち上がり、国や県に要望活動を行っています。これにより、令和2年度からは、調査費の補助金を国から受けて、静岡県と神奈川県の両県が調査を始めました。
 次の段階に向けて地元熱海の期待は高まるばかりです。熱海商工会議所の内田進会頭に、早期実現に向けての熱い思いを伺いました。聞き手は、静岡県建設業協会総務・広報委員会の佐野茂樹委員長と三尾祐一副委員長。

委員静岡県内では、中部横断自動車道、伊豆縦貫自動車道、三遠南信自動車道の整備が非常に力強く進んでいます。主に中部・西部の道路事業が進む一方で、伊豆半島においては観光交流人口が4000万とも言われる(現在コロナ禍で減少)道路事情が非常に悪い。その中で、伊豆湘南道路を実現するため建設促進期成同盟会は、50年近く活動を展開していますが、平成10年からさらに力強く活動しています。伊豆湘南道路実現に向けて熱い気持ちをお聞きしたい。

内田私が中学校に入学した昭和33、34年のころ、熱海周辺の道路事情は大変ひどいものでした。
伊豆湘南道路に関しては、昭和38年に小田原-沼津間の道路として国から提案されたのが最初です。当時は東名高速道路が未開通で、おそらく東西交通は、国道246号または国道1号の箱根峠越えが主なルートであり、冬期にはトラックが上れなかっただろうと思います。このため、繁忙期には小田原-下田間が万年大渋滞となっていました。
 また、平成30年に発生した台風では、小田原から熱海にかけての沿岸では異常な高波が発生し、国道135号で救急車やパトカーを含む車両が取り残されました。(事業が前進するために)あのインパクトが相当大きかったと思います。
 1年半ほど前、前段階となる予算を国からいただきました。道路が将来の伊豆のために大変役に立つと考え活動を続けてきました。長い間の陳情がやっと実ったかなと考えています。

内田会頭にインタビューする委員

委員伊豆湘南道路の利点は。

内田観光の基本は、道路アクセスと鉄道です。それを考えると、東京、神奈川から来るお客様は、東名を使って、小田原から熱海に入ってきます。一方、平塚、小田原、横浜からのお客様は東名よりも、西湘バイパスを使うとすぐに伊豆に入ってくることができます。さらに、伊豆縦貫道も遠からず出来上がることが視野に入ってきましたので、商圏として非常に大きな絵が描けることになってくると思い、大変期待しています。
 観光では、「伊豆・箱根」といっていますが、実際は道路事情が悪く、伊豆と箱根を行ったり来たりできません。伊豆湘南道路、伊豆縦貫道がつながれば、横浜圏のお客様が十分に入ってくるでしょう。
 また、効果として大きいのは観光ですが、非常時に緊急輸送道路となるものです。何年か前に、雪で御殿場の道路が止まって、箱根も上れないとなったとき、トラックが全部、熱海に入ってきました。海岸線はここしかないとなり、市内とその周辺が大渋滞となりました。こういったケースでは、また避難道路として機能を発揮するのではないでしょうか。

委員最近の要望活動の動向は。

内田これまで長い間、市単位で要望していましたが、全国の要望が集まる中で早く検討のテーブルに乗るためには首長、地域の経済界の人達、出身の議員が揃って要望活動する必要性があると分かりました。このため、市、商工会議所が中心となって、やり方を変えていくこととしました。
 また、今後、この道路の恩恵を受けるであろう地域の方も期成同盟に入っていただき、組織を大きくして、機運を高め、要望を展開していきたい。

インタビューする佐野委員長(左)と三尾副委員長

委員次はルート決定ですね。

内田いくつかのルート案が示され、その中から決まってくるのでしょう。国直轄となるのか、事業主体も決まらないといけない。原案では熱函道路につながるようになるのですが、個人的な意見として、熱函道路を機能拡充して、上手く使っていただきたい。人家のないところを選んで整備することで、開通までの期間を短くしてほしい。観光業、旅館は今、大変苦労していますので、神奈川県側も同じような状況であり、一刻も早く通してもらいたいと言われます。

委員道路の終点は港。港に行けば船があり、海につながります。道路整備が進むと、港湾も重要になります。

内田港湾については、スーパーヨットの話が進んでいます。超大型クルーズ船に対しては湾が小さいので、スーパーヨット対応の港湾施設づくりを進め、世界の富豪を相手にした熱海港としたい。以前、ロシアのスーパーヨットが熱海港に寄港した際は、大きさと豪華さに驚きました。

委員最後に、コロナ禍で観光地の熱海も非常に苦労されていると思いますが、状況はどうでしょう。

鈴木熱海は観光業に関する80%超のお客様が、現在(5月25日現在)緊急事態宣言が出ている東京、神奈川、千葉、埼玉から来ています。ですから、非常に苦戦をしています。ただ、旅館業も大変なのですが、とりわけ夜の商売の方が超苦戦しています。静岡県は、緊急事態宣言対象地域になっていませんので、支援金などの補助が一切無い状況です。個々の経営者が何とかしないといけない状況に追い込まれています。ここに来て、本当に来客が減ってきましたので、今はワクチン接種を本当に早く進めていただきたいと願うばかりです。

伊豆湘南道路

 静岡県(伊豆エリア)と神奈川県(湘南エリア)を結ぶ、豊かな広域圏の未来を結ぶ道路です。  令和2年度から調査費の補助金を国から受けて、静岡県と神奈川県の両県が調査を行っています。調査は、地域の課題やどういった路線が必要かなどについて、令和3年度も継続しています。令和4年度以降も調査を行う予定で、県では国に補助金の要望を行っていくとしています。
 調査が進むと、その後、静岡・神奈川県が概略ルートを決めることとなります。

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